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きゅうしゅうをめぐる旅「出発編」

前回の話はこちら!




ついに九州旅まで1週間となったある日。
ふと嫌な予感がして天気予報を調べた。

くじゅう連山に登るその日の天気予報だ。胸騒ぎがする。
筆者は、ジマンだが、雨男だ。いやジマンなんかしている場合ではないのだが、本当に、これでもかというくらいに雨が降る。

これまでいくらか一人旅をしている。そのほとんどで雨が降ってる。
そういう人間なので別にあきらめていたし、それでも何とかなる旅行を今まで組んできた。だから気にしていなかった。

しかし今回は違う。雨が降ると登山の不快度は想定を超える。
そもそも俺が山に登る理由は山頂で美しい眺めをみながら飲むコーヒーが世界で一番うまいからだ。

雨がふっては眺望は期待できないうえでにゆっくりコーヒーをのむことも憚られる。

案の定登山の日は雨予報だった。どうしてくれるんだ。
今回ばかりはさすがに納得がいかん。泣きわめくぞ!

急に旅行へのモチベを失った。毎回毎回なぜ俺の旅行は雨が降るんだか。
やけっぱちになりその日は深酒をした。夢の中で俺は雨のくじゅう連山で叫びながらスライディングをしてその距離と派手さを競うバトルをしていた。大勝利を収めたところで夢から覚めた。

旅行まで2日となった。相変わらず入山予定日の予報は雨である。
あまり、このことについては考えないようにしていた。
雨でも百名山だ。登っていくこと自体が楽しい山だろう。楽しめばいいだろう。

ついに当日となった。
雨予報のため装備が増えて重くなったリュックを背負い空港へ向かう。
朝の早い便は予約できず、大分空港に昼頃到着する予定だった。

飛行機の中では本を読むのが定番のひまつぶしだ。
今回は、普段は読まない歴史小説を持参した。雲仙普賢岳が江戸時代に噴火して、大動乱を引き起こすという内容の話を含む短編集「島原大変」である。

また、くじゅう連山に関する話も入っているとのことで購入したのだ。
ひとまず1~2ページ読んでみた。
一旦閉じてみた。

また2~3ページ読み進めてみた。

また閉じてしまう。

それを2,3回繰り返したあとに諦めた。
時代小説が、あまりにも読めない。

慣れの問題なのだと思う。独特なテイストで書かれている文章なうえに歴史用語が散りばめられていてかなり読みにくい。

この小説はまた後程取り掛かろう。他にも本は持ってきているのだから。

次に椎名誠の「岳物語」を取り出した。実は椎名誠はあまり読んでいなかった。人物としてはとても関心を持っている、人生の大先輩だが、あまり読む機会が無く、この際なので読んでみることにしたのだった。

そして、気が付いたら読み終わっていた。読みやすいし、こんなにも「自然な感情」を書ききることのできる作家だとは知らなかった。

今後もいろいろ読んでみよう。

まだ大分に着陸するまでは20分ほどあった。現地の天気を見てみると、晴れとまでいかずとも雨は降っていないようだった。

そこで、急にひらめいた。

別に明日じゃなくて今日登ってしまえばよいのではないだろうか。

そもそも今日は飛行機の到着が昼になってしまうので登山をするとは選択肢にも浮かんでなかった。当然のことだし、安全面を考えれば必然だと思う。

しかし、今日を逃せばまたいつ雨じゃないくじゅう連山に登れるかわからない。俺にとっては気軽に来れるような値段ではないのである。

そこで、急遽別府駅までのバスの時間とそこからくじゅう連山までのルートを調べた。

とんでもなく遠い。とんでもなく遠いが、不可能ではなさそうだ。
別府駅の近くのタイムズカーシェアを使って車でいけばなんとか日没までに下山できるルートがつながった。

こうして九州旅行は1日目から計画の大幅な変更を決断するところから始まったのだ。

旅はまだまだこれからだというのに全く、どうなることやらとニヤニヤがとまらない。

次の話はこちら!


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