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141. BOOKMARK 19 Fat but/and Fun 【フリーペーパー】

翻訳家の金原瑞人氏が中心となって作っている小冊子です。
毎号テーマを定めて、それに沿った海外作品の紹介と著名人のエッセイが掲載されます。
本を紹介するのは、全員その本の訳者。一般の読者とは違った視点からお勧めしてくれるので、毎号読むのが楽しみです。

今号の特集は「長編小説」。1冊でどどんと分厚いものもシリーズが長いものもとりどりに、16作品が紹介されています。巻頭エッセイは桜庭一樹氏。(桜庭さんは「少女七竃と七人の可哀想な大人」しか読んだことがないけれど、これは中々好きだった記憶があります。今amazonで試し読みしたらやっぱり好きそうだったから、また読み直したいな)

16作品の内、読んだことがあるのは0、知っているのは4作品。
紹介を読んで気になったのが以下の3つでした。

・白い鳩よ、翼を貸しておくれ チベットの愛と戦いの物語ーツェワン・イシェ・ペンバ
”未開の土地”チベットにキリスト教を根付かせようとするアメリカ人宣教師と、チベットの人々の衝突を描いた歴史大河小説だそうです。
そう聞くと堅苦しく聞こえますが、「ハラハラドキドキ心休まる暇もなく展開して」いくそうなので、意外と読みやすいのかも?
チベットの小説は読んだことがないですし、歴史にも文化にも明るくないので、まずはここから入門してみようかな、という気持ち。

・源氏物語 A・ウェイリー版
源氏物語なのに表紙がクリムトなんて! というのがまず最初に思ったことでした。
内容も、源氏物語を英訳したものということで、生活もかなりヨーロピアンなご様子。

「ヴィクトリアン源氏」。
エンペラーや貴族たちはパレスから馬車で行為人のもとへ駆けつけ、ワインを片手に愛の詩を交わします。姫君はドレスを纏い、シターンやリュートをかき鳴らします。どこか見知らぬ宮廷の物語のよう。それでいて本格的正当な「源氏物語」なのです。

とのことで、日本の古典文学が英訳されてそれがまた日本語訳された本作は、口語訳された「源氏物語」ともまた違った楽しみがありそう。源氏はお恥ずかしながら完読していないのですが、これを読んだら逆に読みたくなりそうです。
紹介文最後の「シャイニング・プリンス・ゲンジの物語を楽しんでいただけますように!」という一文から、何となく本文のノリが感じられて微笑ましかったです。

・世界収集家
「アラビアン・ナイト」や「カーマスートラ」を訳したイギリス人、リチャード・フランシス・バートンの、インド駐在・メッカ巡礼・東アフリカ探検を虚実ないまぜで描いた小説。
19世紀のイギリスおよびインド〜アフリカの様子が垣間見れるなんて、絶対わたしの気に入るに違いない!と今からワクワクしています。
筆者も自らインドに暮らし、アフリカを徒歩で横断し、メッカ巡礼をした経歴の持ち主とのことで、その話も後書きか何かで読めるのでは、と期待しています。


このフリーペーパーを読むと読みたい本がどんどん増えちゃう、嬉しいような困ったような冊子ですが……(笑)
手のひらサイズで持ち運びもしやすいし読みやすいので、お見かけの際はぜひ手に取ってみてください〜。

ではまた。

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