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88. パーフェクト・ケア 【映画】

エンタメ映画って年にそう何本も観ないので、これはわたしの中では珍しい一本。
悪徳後見人というワードが気になって観に行きました。
(お金が掛かっていそうな大掛かりで綺麗な映像とちゃんと起承転結のあるストーリー、観たら楽しめるのは分かってるんですが、映画はドキュメンタリーの方が惹かれがち。)

案の定けっこう当たりで、悪人ばっかり出てきて胸糞シーンも多いのになぜか爽快! という不思議な感覚を味わえました。

ストーリーは、

マーラは認知症などで判断力の衰えた高齢者の面倒を見る法定後見人。
でも実は資産を搾り取るため、まだ元気な高齢者もあの手この手でケアホームに入ているという悪徳後見人なのです。
狡猾にことを進め裁判にも勝訴しちゃったり順風満帆。
だったのですが、ある時ターゲットに決めた女性の後ろ盾がマズかった。
儲けようと画策する内にマーラはアクション映画さながらの展開に巻き込まれていく。

という感じ。

絶対ネタバレしない方が楽しめる映画だと思うので、なるべく核心には触れないようにしつつ魅力をご紹介できたら……でもあんまり観る前には読まない方が良いかも……。


まず法定後見人というシステム。
作中では
医師に誇張した診断書を書かせ家庭裁判所に提出→本人や家族抜きで、被後見人を施設に入れることなどを決定→施設とも結託して家族が施設にいる被後見人に会えないようにした上で、家財などの財産を処分する→施設の費用は被後見人の財産から支払いつつ、保険金などでも稼ぐ
という流れになっていました。
日本でも本人・家族抜きで家庭裁判所に申し立てができるのかどうかはちょっと調べきれなかったのですが、後見人ビジネスというのは存在するらしく、少なからず搾取されている人もいる模様。
これまで後見人というシステムそのものを全然知らなかったのですが、必ずしも人ごとではないところにゾッとします。

で、そんな悪徳後見人であるマーラがとにかくかっこいい。
ハイヒール+サングラス+パンツスタイルで颯爽と仕事をこなす彼女は、「女性だからってナメるなよ」というのが基本スタンス。地位と権力を欲して、それを得るためなら何でもします。肝据わりまくりです。
知的だし、体も鍛えていて、スタイリッシュで魅力に満ちています。彼女はレズビアン(もしくはバイセクシュアルかもしれないが)なんですが、多分「男性に負けたくない」気持ちが反映されている脚本なんだろうなと思います。
パートナーとのやりとりはセクシーで妖しげ。最初はファッションレズなのかな? と思ったのですが、展開が進むに従ってお互い大切にしあっていることも分かって良かったです。

最近じわじわと、社会における男女格差というか女であることで下に見られる不条理を実感しはじめたので、強い女性の描写に痺れました。やってることは詐欺同然なんだけども、自分を磨き上げて手に入れた力でのし上がっていく姿には好感さえ覚えます。

ちなみに体を鍛えているというのは伏線にもなっていて、何度ピンチに陥っても自力で解決しています。(敵がちょっと弱すぎるというか甘いおかげでもある。この辺りはかなりご都合主義)
流石にわたしはマフィアと攻防するだけの頭脳も肉体も持ち合わせていませんし今後も持てるとは思いませんが、抜けた歯は牛乳に浸けて保存すると良いというのは覚えました。

個人的にはそんなマーラの公私とものパートナーであるフランのヴィジュアルがめちゃくちゃ好み。健康的でラテンっぽい雰囲気だな〜と思ったら、メキシコの女優さんでした。エイザ・ゴンザレスさん。
画像検索すると化粧の濃い写真ばっかり出てくるんですが、この映画は薄化粧でその方が似合ってると思う。あと、昔のバイト先の同僚にちょっと似ていて懐かしい感じ(笑)

まだまだ元気なのに強引に施設に押し込められてしまったおばあちゃん、ジェニファーも良い演技をしています。あとこのおばあちゃんもタフで、薬漬けにされようが足腰立たなくさせられようが、主人公を挑発し不敵に微笑み、必ず助けが来ると確信しています。

ご都合主義な展開だし、ラストはちょっと拍子抜けというか、えー護衛の一人もいなかったの? と思ったり、脚本は甘々でしたが、それぞれのキャラクターが魅力的でとっても楽しめました。
かっこいい女性が観たい時におすすめの一本です。あとほんと、エイザ・ゴンザレスさん素敵です。

ではまた。

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