文鳥烏がうたう頃。
とっておきのまじないひとつ。
教えてあげる、あなたにだけ。
夢見鳥の風切り羽みっつ。
氷フクロウの嘴ひとつ。
乙女の祈り三年分と、
少年の挫折少々。
新月の光は眼差し分。
ケラケラ草ひとつかみ。
雪ホタルの翅、ななつ。
其々を
良く砕き、刻み、擦り下ろす。
ハクメイ銅のナベに順に入れて、
よーーーくかき混ぜる。
地獄の門番の涙を注ぎながら花火にかけて、軽く煮込む。
ぐつぐつ煮込んで、くるくる混ぜて
入れた材料が全部溶けるまで、火にかけて混ぜ続ける。
少年の挫折が赤から藍色に変わったら火を止め、粗熱をとる。
満月の思惑を三滴、激動の太陽を一滴たらす。
底から掬い上げるように七回、大きくさっくりと混ぜたら、クロガネオオカミの巣で寝かせる。
寝かせると上澄みと沈殿物に分かれるのでその上澄みだけ掬い取る。
掬った上澄みをシルクに染み込ませて完成。
これを枕の下に挟んで眠ると、自分の未来の姿を夢で見る事ができるらしい。
だけども、本当に未来が見えるかは定かではない。
だって、
これを使った者たちは皆、
誰一人として未だ、夢から醒めないのだもの。
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