透きとおるようなあさ
久しぶりに懐かしい顔と会ったから、心地よいアルコールの巡りに唆されたせいか、昨日は少しも眠ることが出来なかった。
濃紺のビロードが波打つそこに、めいっぱい宝石をぶちまけたみたいな夜空。
のみ込まれそうな、くろ。
それがだんだんと白けて遠くに行くような夜明け、くろとあおの狭間が過ぎれば、
透きとおるような、あさ。
夜が開ける直前の、空気がすきだ。
なんの音もしない、だれの気配もない。
そんな空気。
静かに、ただ時計の音だけが耳を支配する。
世界にたった、ひとりのようだ。
それがなんとなく不安で、とてつもなく心地よい。
もう少しだけ待っていて欲しい。
鳥のさえずりと郵便配達のバイクの音が、その静寂を破る時まで、
少なくとも今、この瞬間。
この世界をひとりじめできるから。
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