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【暴論13】無知と無責任が生んだ電力逼迫の危機

2022年6月末現在、すでに東京をはじめとする日本各地で35度を超える猛暑日となった。ただでさえ電力が逼迫すると予想されている中で、この夏の暑さは命の危険がある。毎年夏冬に電力の逼迫が言われているが、なぜ改善されないのだろうか。

1.火力発電所の新設・増設への反対圧力

神戸製鋼所の火力発電所の増設反対運動、千葉県袖ケ浦市の新設火力発電所の九州電力の撤退、山口県宇部市の火力発電所の新設の中止など、火力発電所の新設・増設への社会的圧力は大きい。

これは地球温暖化への危機感という、反対派からすれば正義感(か政治的な活動)からの行動なのだろう。しかし活動に積極的だったドイツは、ロシアからの天然ガスが滞った途端に、石炭火力を利用するという緊急措置を発表する。なんともご都合主義である。

2.老朽化する火力発電所

JERAは火力発電所9基を廃止することを3月に発表していた。いずれも1960〜1970年代に建設され、すでに50〜60年稼働している古い発電所である。このような発電所は発電効率が悪く、メンテナンスに費用がかかり、いつトラブルが発生するかわからない。電力会社からすれば当然の経営判断だろう。

しばしばこれまでは大丈夫だったのに、なぜどんどん悪くなるかと言う人がいるが、モノは必ず劣化し壊れるのです

上記の新設反対派はその意識が全くないようです。現代技術では、どれだけ頑張っても火力発電所をゼロにすることは絶対にできません。であるならむしろ新しい火力発電所を建設し、効率を上げる方が地球温暖化防止につながります。何より日本の石炭火力発電所の技術は世界トップクラスです。反対派は短絡的発想を止めて、長期的視点で考えてほしいです。

3.いつまでも再稼働しない原子力発電所

東日本大震災から10年ほど経ったが、新しい審査基準のもとで原子力発電所の再稼働は遅々として進まない。島根県の丸山知事は中国電力が島根原発2号機の再稼働を容認したが、実際に再稼働するにはまだ時間がかかるだろう。

北海道電力の泊原発について、札幌地裁は津波対策が不十分として住民の意見を受け止めて運転差し止めを命じる。この裁判によって泊原発の再稼働はもちろん、全国の原発の再稼働に大きな障害となっただろう。

たとえ規制委員会が再稼働を容認しても、工事や検査などで非常に時間がかかるので、実際には2、3年はかかるだろう。

4.電力逼迫は誰が悪いのか?

一連の電力逼迫は一体誰が悪いのだろうか?
電力会社?政治家?規制委員会?

悪いのはきっと日本国民のみんなである。

みんなとはなんとも主体性のない言葉であるが、多分この表現が一番適切である。原発や火力発電に積極的に反対する人はいても、積極的に賛成する人はあまりいない。そんなことを言えば即座に叩かれるからだ。だから政治家も声を大きくして言えない。

安全のために原発停止、地球温暖化防止のために火力発電停止。なんとも聞こえはいい。しかし非現実的である。この非現実的な意見を黙認しているのがみんなである。

「僕のお父さんは東電の社員です」に、毎日小学生新聞に一人の少年が、僕のお父さんは東電の社員ですという投稿をする。果たして福島第一原発の事故の責任は全て東電に帰するのかという勇気ある発言であった。改めて大人一人ひとりの責任について考える機会が来ているのかもしれない。

今年の夏の熱中症の死者は過去最多になるかもしれない。そうしたらまた日本国民の意識が変わるだろうか。

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