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【マンガ感想文10】「進撃の巨人」が終わっちまった

進撃の巨人が終わったので感想書こうと思ったら、まさかnoteの特集にまで上げられているとは思わなかった。まあそれだけ衝撃的で面白い作品であったことの証拠だろう。

正直最初はただのグロいインパクト勝負のマンガだと思ってて、なんでそんなに持ち上げられるのかがわからなかった。でもエレンが巨人になったり、裏切り者の影が出てきたあたりから物語としてもどんどん面白くなっていった。ストーリーの深さとメッセージ性はARMSとからくりサーカスに匹敵する、マンガ史上最高クラスかもしれない。

※ここからネタバレが含まれますのでご注意ください。

巨人の正体と島の外の存在が明らかになると、巨人と裏切り者たちの存在が単純な悪だと言えなくなっていった。むしろ裏切り者たちもまた深い絶望と仲間たちへの裏切りへの苦悩が明らかになってくる。そして壁の存在も人類を守るものではなく囲うものだということが明らかになる。

すごいざっくりとした流れを書くとこんな感じである(うる覚えの部分はある)

1.巨人現る

2.エレンが巨人に変身する

3.特殊な巨人が現れ、兵団内に裏切り者がいることがわかる

4.壁内部の政権を奪還し、巨人を制圧する。

5.壁の外が島であり外部に海の向こうに大陸があることがわかる。同時に巨人の正体があきらかになる。

6.大陸にマーレ国があり、エレンらエルディア人はマーレ人によって厳重に管理されていた。

7.一部のエルディア人によって革命が計画されていることがあきらかになる。

兵団の強化によって島から巨人が一掃されても、戦いはまだ終わらない。むしろ本質的な戦いは始まったばかりだった。しかもその戦いもまたなんともやるせない。エルディア人は巨人の力を潜在的に持っていたため、マーレ人によって管理され差別される。エルディア人にとって地位を向上させるためには巨人としての力をマーレ政府に示すことだけだった。

裏切り者たちの目的は島に潜入して始祖の巨人の力を手に入れることだった。そのために兵団の仲間を演じ、騙し、殺した。同族であるにもかかわらず。裏切り者たちも苦悩をしたけれどもやらなければマーレに住む家族や同胞を救うことができなかった。

エルディア人に罪はあっただろうか?潜在的な力があったことは間違いない。しかし彼ら自身が何かをしたわけではない。ただ放置するには危険すぎただけである。その危険性はマーレ人にとって差別するには十分な理由だったのだろう。

ジークとエレンはエルディア人とマーレ人の対立の根本的解決を願った。この異母兄弟の考えはいずれも大量虐殺をしなければ叶わないという発想で、実際にそれが現実であり、エレンは人類史上に残る大量虐殺を実行に移した。

エレンにあったのは、自分しか実行できないという力を持っていただけで、それを実行する義務なんてなかった。今後人類が生存する限り最悪の悪名を残さなければならないほどの義務はなかった。でもそうしなければエルディア人の差別もなくならなかった。

しばしば戦争なんてせずに話し合いですませばいいじゃんという人はいる。

実に正論だ。

でも現実は話し合いですまないから戦争が起こるのである。血を流さずに革命は起きない。そして現実に迫害されている人間はいて、彼らは支配者を倒したいと願っている。被支配者には話し合いのテーブルに立つことさえできない。暴力以外の解決策がないから戦争は起こる。

ミカサやアルミンたちの活躍で戦いは終わった。エルディア人の地位は向上するだろう。壊滅的な被害のあとで、しばらくは各国に戦争をする体力はないだろう。でもきっとまた戦いは起こる。それもまた現実だ。

本当に人間というものはどうしようもなく愚かだということを認識せざる得ない漫画であった。ハッピーエンドとは言えないが、納得のいく終わり方であった。

最後に諫山創先生の次回作を期待しています。


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