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映画「ソウルメイト」に心を浄化されました。

映画館を出ると、外は夕闇に覆われていた。
終電も近いためか、駅から離れた映画館前には行き交う人は少なく、オレンジ色の街灯の光だけが煌煌と輝いているだけだった。
私は歩道を歩みだし、今見た映画のことを思い出した。
「最高の映画だったなぁ」
思わずそう呟いていた。

その日はあまりついていない日だった。
仕事終わりに映画を見に行く予定だったのに退社直前に急な仕事が発生してたり、慌てて向かったら道を間違えてたりして、元々見たいと思っていた映画の開演時間に間に合わなくなっていた。
意気消沈しながら、仕方なくその時間に上映していた「ソウルメイト」という映画をみることにしたのだった。

映画館は空いていた。
映画を見終われば22時を過ぎるような時間なのだから当たり前かもしれない。
期待も前情報もなく、私はチケットを買って、座席に深く腰をおろした。

それは女の子二人の運命と人生、友情と愛情を描く物語だった。
偶然に出会った二人は、性格も生まれた環境も全く違うのにまるで姉妹のように、いやそれ以上の親密さで惹かれ合い、魂レベルで共鳴をしていく。
映画の中に散りばめられた伏線、美しい夢のような風景、二人の人生の対比と深い愛情。
最後にすべてか一本の線で繋がり、あまりにも素晴らしい映像と物語にエンドロールが流れたあとも座席からしばらく立ち上がることができなかった。

映画館から出ると、外は夕闇に覆われていた。駅から離れた映画館前には行き交う人は少なく、オレンジ色の街灯の光だけが煌煌と輝いているだけだったが、私には世界が光っているように見えた。
こんなに素敵な物語がこの世界にはまだ隠されている。心を揺さぶられて、世界をみる目も変えてしまう物語が、まだこの世界に埋まっている。
そう思うとわくわくとして、今日の嫌なことも、今までの辛いことも全部が吹き飛んでしまった。

私はあまり映画を多く見るわけではない。
それでも、2時間で人の感情や人生を変えてしまう力が映画にはあることを知っている。音が、映像が、セリフが脳内に木霊して、その人を変革することがあるのだ。

私は歩道を歩みだし、今見た映画のことを思い出した。
「最高の映画だったなぁ」
思わずそう呟き、私は何度もため息を付くのだった。

↓ソウルメイトを観た人向けPodcast

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