見出し画像

友あり、近方より来る

 時々、日頃連絡を取り合っていない友人から連絡がある。
「久しぶり、何してるの?ランチでもどう?」
「いいよ、平日ならいつでもあいてる。」
 と返事するのだが、その後に
「私も仕事辞めたから、いつでもいいんだ~。」
 とくる。

 ああ、そういうことね
わたし専業主婦代表じゃないんだけど…、いつでも捕まると思われてるらしく、仕事を辞めて平日に時間ができたというタイミングでよく声がかかる。
 思い出してもらえることは光栄なので、誘いは断らない

 身近な友人は、子どもを通じてできたママ友や、昔の職場繋がりが多いので、大抵立場や環境が似ている。
 子どもの成長に合わせて働き方を変えてきて、子どもが巣立つ頃、これからの生き方を考え始める。
 気持ちはよく分かる

 今回の友人は同じマンションだから、ランチにでかける必要もない。
「いつ来る?」で終わり。
 ちょっと階段を行き来すれば会える距離なのに、家に上がってもらうのは何年ぶりだろう、どれだけ忙しかったのだろうと不思議な気持ちになる。
 ケーキを持ってきてくれたので、コーヒーを淹れる。

「子どもが大きくなったらフルで働けると思ってた!」
 うん、わかるよ。子どもがいなければ働けるのにとか、そういうことじゃないんだよね。
 それ以外にも色々あるよね。

 食べてしゃべるだけ、アドバイスがしたいわけでもしてほしいわけでもない。
 子どものことや、親のことや、仕事のことも話したけど、ああこれを聴いてほしかったのかという話題にも気づくことができた。
 私には聴いて、共感してあげることしかできないけれども。

 結局午後いっぱいずーっとしゃべり、”楽しい”とはちょっと違う時間だったけど、充実した時間になった。
 お互いに話すことがあって、聴いてくれるひとがいて、それだけのために時間が使えるというのは幸せなことだ。

 おしゃべりって、その場で終わらない。友人が帰ったあと、さっきまでの会話について、反芻する。
 考えさせられることも気づきも、いっぱい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?