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温泉紀行(神様からのお告げにより発見された神授の湯:長門湯本温泉 恩湯)

台風6号がちょうど山口県に再接近している日に山口県長門市の湯本温泉に行ってきた。

湯本温泉というと星野リゾートの参入で街並みが様変わりしたとニュースで耳にしたことがある。そうした変化に伴い、湯本温泉のシンボル的な公衆浴場の「恩湯(おんとう)」は再建リニューアルされ、「礼湯(れいとう)」は閉湯してしまったようだ。

まずは再建リニューアルされた「恩湯」に行ってみることにした。長門湯本温泉駐車場から竹林の路を降りるとすぐ左手に目的の恩湯がある。

台風の影響で人はまばら
礼湯の泉源跡
カフェのようなおしゃれな平屋が恩湯だ
この日の温泉情報

恩湯は加温することもあるのだがこの日は幸いなことに加温なしの源泉100%を堪能することができた。冬は加温するらしいので加温なしで体験するには、ぬる湯ということもあり夏の時期が一番適しているのかもしれない。

開放的な休憩スペース、飲み物などが注文できる

受付で「恩湯のたしなみ」という冊子が貰えるのだが、それの説明によると、応永34年(1427年)、曹洞宗・大寧寺三世の定庵禅師が長門国一宮の住吉大明神からのお告げによって発見した神授の湯として伝わる寺湯が今日の恩湯であり、ありがたくも今回入浴体験できるというわけだ。

さっそく脱衣所を伺うと先客の気配はなし。これ幸いと浴室のドアを開けると硫黄の温泉香が鼻をぬける。

硫黄の香りはするが泉質はpH9.5〜pH9.9のアルカリ性単純温泉。加水なし加温なし(条件により加温する場合もあり)の自然噴出源泉100%掛け流し温泉だ。

浴室に入るとすぐ左手の洗い場が目に入るのだが、はて湯船が見当たらない。浴室入り口正面の細長い路をさらに進んでいくと最奥に小さめの湯船が鎮座していた。

向かって湯船の奥側は広い空間となっており、上部にはしめ縄が左右に渡され、その下にある剥き出しの岩からは湯が流れ出している。さらに奥には像が祀られており、黒色で統一された浴室と合わさってなんとも神秘的な雰囲気を醸し出している。

オーバーフローしている小さな湯船は半分までが階段状になっており、そこから先はへそ上あたりまでの深さがある。座れるスペースは湯船手前の階段部分と湯船の周りに一段段状になっている一部分で、かなり限定されている。

恩湯は岩盤湧出の泉源の他に足元湧出泉という泉源を利用しており、それを活かすためにこのような作りになっているらしい。また、湧出量に対して男女それぞれの湯船に十分な量の湯を割り当てるために湯船も小さめになっているとのことだ。

湯は無色透明のサラサラしたぬる湯で気持ちよく、神秘的な浴室空間と相まって違う世界に入り込んだかのような錯覚に陥る。

湯の鮮度と質、雰囲気は最高と言っていいだろう。

幸運にもこの日は独泉できたのでゆっくり堪能することができたが、混雑時は烏の行水になってしまう可能性も考慮に入れておいた方がいいかもしれない。

この後、軽く散策した後近くの原田屋旅館に宿泊したのだがそれは別記事で。

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