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任せない経営は裏切りを生む

「僕はこれでいいと思ったんだけどね、まぁしょうがないよ、社長は厳しすぎるから…」
「それ、社長とやってるプロジェクトでしょ?俺は知らないよ~」

そんな、マネージャー陣のセリフで胃が痛くなっていた時を思い出す。

2017年ごろ。
私が唯一「会社をやめよう」と思った時期だ。

当時は会社のトップである私が社内一の嫌われ者という状況だった。
管理職の”裏切り”もあった。

ただ、今になって思う。
嫌いになりたいと思って嫌いになる人なんていないし、
裏切ろうと思って裏切る人なんていない。
そうさせてしまう組織力学が生まれてしまっていたのだ。
そして、それを作ったのは紛れもない私。

今日は自分の過ちを回顧しながらブログを書く。

この悲惨だった時代から学んだことは、「社長は仕事をきちんと任せることが重要である」だ。

過去の過ち

全ての元凶は、私が社長でありながら直接メンバーのマネジメントを行ってしまっていたことだと思っている。

メンバーに直接、厳しいフィードバックをしていた。
これが、大きなひずみを生んでしまっていたのだ。

当時の仕事の流れはこうだった。

  • メンバーからマネージャーに成果物を提出する

  • マネージャーがOKを出す

  • メンバーやマネージャーが私に成果物を提出する(提出される前に口出ししてしまうときもあった)

  • 私から成果物に厳しいフィードバックをする

これはメンバーの前でマネージャーの仕事に「No」を突き付けているのと同義だ。
当然、マネージャーに様々な影響がでていた。

「圧死」と「裏切り」である。

・圧死
一生懸命にマネージャーの仕事をしている人が特に、この現象に陥ってしまっていた。
自分が「いい」と思ったことに、会社トップから「No」を突き付けられるので、部下を前に立場を失っていた。部下からの信頼も失っていく。
社長である私と部下との間で居場所をなくしてしまったマネージャーも多かった。

・ 裏切り
保身に走るパターンが「裏切り」だ。
一度圧死を経験したり、周りのマネージャーの様子を見て、「圧死したくない」と思ったマネージャーがとる行動だ。
「この仕事、社長とやってるプロジェクトでしょ?私はこの仕事分からないんだよね~」
「いやー。私はいいと思ったんだけどね…しょうがない、社長はなんか厳しすぎるから」
こんな風に、真正面から圧死することを避け、自分の仕事を放棄するマネージャーもいた。

もちろん、彼らも不真面目じゃないし、一生懸命やってくれていた。

彼らはマネージャーの仕事としっかりと向き合おうとしていたからこそ、この結果になってしまったのだ。
私が組織力学のひずみを作ったのだ。

社内アンケートも私への罵詈雑言ばかりが並んでいた。
メンバーたちはひどく戸惑っていたし、苦しんだマネージャーは圧死していた。

初めて会社をやめたいと思った。

この状況になって、当時の私は何をしたか。
私は何の対応をすることもなく、一度「諦めた」。
社内でひたすら黙ったのだ。指摘もしない、前線に立つこともしない。

タイムマシーンがあったらこの時代に戻って、自分を殴りたい。

ただ、この時期に気づいたのだ。

社長である私が、よかれと思ってマネージャーの仕事を奪ったことが全ての元凶だと。

このまま黙っていても、何も変わらない。でも、前のように自分がメンバーに直接フィードバックしても、同じことが起こるだけ。

どうすればよいかと考えたとき、「きちんと任せる」という選択肢に行きついた。

「きちんと任せる」ということ

「きちんと任せる」を私なりの定義で説明すると、「部下の領域を侵害せず、自分はフィードバックに徹すること」である。
たしかにこの時期も自分はフィードバックをしていた。でも、部下の仕事に直接フィードバックしてしまっていた。

マネージャーの領域を侵害していたのだ。
当時の私は、きちんと任せられていなかったのだ。
これに気づいた後は、私は徹底的に仕事を任せるようにしている。

もちろん、口だししたくなるときがないわけでもない。
でも心を鬼にして、私は任せることにしたのだ。


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