マガジンのカバー画像

サカキシンイチロウのおいしい手帖

426
おいしいお店。おいしい料理。 愛着があってずっとこのままでいてほしいなぁ…、と心から思える宝物みたいなお店や料理を紹介します。
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

№4で年末のお腹を甘やかす

今日は思い切り自分を甘やかそうと思ってNo.4。 四谷三丁目から東へ東へ、歩いて歩いて四番町。6年ほど住んだことのあるなつかしい町。 もっともボクが住んでた当時、ここはなくって朝夜さみしい町だった。 朝からやっていたのは立ちそばの瓢箪、喫茶店のルノアール、フレッシュネスバーガーぐらいだったかなぁ…。 そのとき、ここがあったら重宝してたに違いなく、タナカくんも悔しがった店であります。 こんな都心のど真ん中にあって、平屋の一戸建て。ビルの谷間の抜けのいい空間がなによりゴチソウ

メリークリスマス銀座ウエスト

クリスマスらしい食事をしよう…、と銀座ウエストにやってくる。 本当は朝に来たかった。 けれど週末は11時からの営業で、開店時間を狙って到着。丸ノ内線の銀座の駅から気持ちはスキップしておりました。 金色のリースが彩る入り口。中に入ればいつものように整うお店。 テーブルクロスや椅子の背当ての白いリネンが眩しくひかる。おだやかなのに心地よい緊張感に背筋が伸びる。 お店を満たす音楽はヘンデルのメサイアでした…、クリスマス。 オキニイリのトーストセット。 熱いコーヒーをお供にしまし

西櫻亭の洋風弁当。月命日のオゴチソウ

今年最後の月命日を西櫻亭のゴチソウにする。 タナカくんが突然逝ってしばらくの間、おいしいものを食べることが後ろめたくって、ゴチソウレストランに行けなかった。 食欲もそんなになくて体重だけじゃなく体力までもがなくなってった。 一ヶ月くらいたったころかな…、こんなことじゃいけないと伊勢丹に来た。まず伊勢丹の空気をお腹いっぱいに吸い込んでそれからここに飛び込んだ。 メニューのビフカツの写真がおいしくみえて食べたらこれがおいしくて、生きてるってこんなにステキなことなんだ…、って思っ

朝からビール…、の月命日

月命日の朝。今日はおいしいビールを飲んでやろうと「ベルク」を目指す。 ホットドッグがおいしいお店。 つまりそれはソーセージがおいしい店ってことでもあって、しかもビールまでもがおいしい。 お酒が好きなタナカくんではあったけど、朝から飲むようなことはあんまりしなかった。けれどとてもいいことがあったときや、機嫌がきわめていいときに、「今日は飲みたい気分だからつきあって」って言われて来てた。 飲むのは大抵、ハーフアンドハーフでそれを飲んでなつかしもうと思って到着。 入り口脇のサイ

寒い日の肉うどん。できたてのいなり寿司

ひさしぶりに「四国屋」のうどんを食べたくて、丸ノ内線にのって新中野。 実は四国屋は二軒あって、新中野駅の近くが本店。 けれどタナカくんとふたりで来ていたのはちょっと歩いたところのお店。 タナカくんが住んでた中野富士見町と新中野のちょうど中間くらいにあって、その駅からだとゆっくり歩いて5分ほど。 古いマンションの一階部分。 はじめて来たのは20年ほど前。そのときにも随分、年季の入った店だったけど、その年季の入り具合にますます拍車がかかって、暖簾なんかもうボロボロ。 でもこのし

ソーセージベーコンアスパラしめじ、スパゲティ

寒い土曜日。マフラー巻いて手袋はめてテクリテクリと歩いて四ツ谷。 丸の内線だとたった一駅。昔は地下鉄で来ていた町です。 四谷駅前に「しんみち通り」という路地がある。 表通りの一本北側。電柱が立ち並んで電線が空に模様を描いてる。 飲食店が通りの両側にぎっしりと。袖看板がにぎにぎしてくて新橋みたいな昭和な景色がいい感じ。 平日の昼は近所のオフィスの人たちでにぎわう通り。 週末なのにわざわざやってくる人たちも結構多くて目当てのひとつが通りの入り口にある洋食屋さん。 次がこの「スパ

とんかつ鈴新。かけかつ丼に牡蠣フライ

昼は荒木町の「鈴新」にした。 荒木町を代表するとんかつ屋さん。公園脇の角地にある小さな一軒家の一階が店。 お店の中はカウンターだけ。カウンターの中には厨房。コの字型のカウンターの端から端までぎっしり座って13席。 息子さんが揚げ場に立って料理を作る。お母さんがご飯や汁を準備して、お父さんが客席側でサービスをする。 サービスがひと段落すると入り口脇の椅子に座って、息子さんの仕事をじっと見守る。親子3人で仲良く営業するさまが、ここで一番のオゴチソウ。 荒木町というこの町のことが

神田一福、肉うどんに赤天そえて上機嫌

丸の内線にのって淡路町。神田まつやでそばを食べようと思って行ったら大行列。 最近は平日でも行列がいつもできてて大人気。 しかも蕎麦前をたのしむお客さまが多くて入れ替わるのに時間がかかる。 待ってまでもと思ってそれでちょっと歩いてうどんを食べることにする。 「一福」っていうさぬき流儀のうどん屋さん。 ここも人気のお店だけれど、そば屋に比べて回転がいい。 すべてがテキパキ。料理はテキパキでてくるしテキパキ食べてテキパキみんな帰ってく。 さぁ、なんにしようと券売機の前でお腹をなら

ざくろでしゃぶしゃぶ。夢を語るにふさわしき夜

ひさしぶりに夜の銀座でうまいもの。 去年の12月の第二金曜日に忘年会をした仲間と、今年もたのしく忘年会。 「ざくろ」にしました。 実は昨年も室町にあるざくろに行った。 ゆったりとした明るいお店で盛り上がりはしたのだけれど、しゃぶしゃぶ鍋の下にあるのはIHヒーター。 それが少々よそよそしくて、やっぱりしゃぶしゃぶ鍋の下には炭だね…、ってことで銀座のざくろを選んだ。 水を張った深皿の上に炭をおこした器を置いて、そこに深鍋。 煙突状のカバーをかぶせ、沸かしたスープの泡は細かく力

トリコロールは銀座の朝のタカラモノ

銀座で朝をはじめる金曜。トリコロールで朝食とする。 煉瓦造りの一戸建て。お店の前には小さいながらもクリスマスツリーが飾られて、銀座のクリスマスって格別だなぁ…、って思う。 回転扉を押して入ると、空気はにぎやか。 ピカピカに磨き上げられたカウンターには韓国からのお客さま。 ボクの隣には台湾からの若いカップル。 海外からのお客さまが増えましたね…、ってお店の人に言ったら、先日なんてほとんどのお客さまが外国の方で、海外で働いているみたいだったんですよ…、って。 みんな必ず、テー

民家を使った喫茶店。夫婦そろってのおもてなし

高円寺駅と中野駅のちょうど中間あたりにある喫茶店。「ばらーど」を訪ねる。 京橋にお店があった頃にたまに来ていたお店で、10年近く前かなぁ…、閉店された。そこはタナカくんとも何度か一緒に行っていて、ふとしたことで思い出す。 今はどうしてらっしゃるんだろうと調べてみたら場所を変えて今も営業していらっしゃるというので探した。 表通りに看板があって、そこから細い路地を奥へ奥へと進んだ先の一軒家。 靴を脱いで上がった先がお店。リビングルームを改装して使ってらっしゃるのでしょう…、B