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西櫻亭の洋風弁当。月命日のオゴチソウ
今年最後の月命日を西櫻亭のゴチソウにする。
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タナカくんが突然逝ってしばらくの間、おいしいものを食べることが後ろめたくって、ゴチソウレストランに行けなかった。
食欲もそんなになくて体重だけじゃなく体力までもがなくなってった。
一ヶ月くらいたったころかな…、こんなことじゃいけないと伊勢丹に来た。まず伊勢丹の空気をお腹いっぱいに吸い込んでそれからここに飛び込んだ。
メニューのビフカツの写真がおいしくみえて食べたらこれがおいしくて、生きてるってこんなにステキなことなんだ…、って思ってちょっと元気になった。
食べることって生きること。豊かに食べるってことは豊かに生きるってことでもあるんだってしみじみ思った。思い出の店。
今日は洋風弁当を選んでたのむ。
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まずコーンポタージュ。甘くてなめらかなことにウットリしながら、お腹の入り口をパカンとあける。
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メインの洋風弁当は2段のお重で…。上の段にはビーフシチュー、エビグラタンにカットステーキ。
つややかなデミグラスソースをまとったビーフシチューの色っぽいこと。
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塊肉を箸でつつくとホロリと崩れる。
コキール皿で焼かれたグラタン。
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お皿の縁が軽く焦げててそこはカリッと香ばしく、ベシャメルソースはポッテリなめらか。マカロニがクニュッと潰れてソースとひとつになってとろける。エビがプルンと爆ぜる食感がよいアクセント。
カットステーキはミディアムレア。噛むと奥歯でクチャっと潰れて奥歯、歯茎にまとわりついてずっとおいしい肉汁を吐き出しながら消えていく。
ここのサラダがボクは好き。
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野菜の種類が豊富で状態もよい。
野菜の持ち味を邪魔しない控えめな味のドレッシングをほどよき量だけ使う気配り。
どんなに野菜にこだわっても、まるでドレッシングを食べさせるみたいなサラダじゃ興醒め。もったいないもの。
パリパリシャクシャク、食べてお腹と体を潤しメインの主役の揚げ物食べる。
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エビフライにクリームコロッケ、メンチカツ。細かく砕いたパン粉で軽くおおわれて色は薄色。低温の油でじっくり揚げて仕上げる。断面を見れば衣の薄さは一目瞭然。口に含むとハラッと崩れて散らかるまもなく包み込んだ素材と混じって消えていく。ときおり感じるパン粉の食感、香ばしい油の風味がこれは揚げ物とささやくものの、後口軽くて思わずニッコリ。
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コロッケの中はカニとベシャメルソース。箸で持ち上げることができるグラタンみたいな風合いで、なんともなめらか。
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細かく挽いた牛肉が、肉汁のがさずふっくら仕上がるメンチカツ。ご飯にのせてビーフシチューをかけて食べるのがオキニイリ。シチューの旨み、渋みに軽い酸味がカツの風味を一層おいしくしてくれて、ご飯までもがおいしくなってく。
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上等なエビを使ったフライは文句なしのおいしさで、最後にしっぽのついたところを残して今日の昼の〆。デザート代わりにしてパクリ。
上等なエビフライのおしっぽはパリポリ壊れる食感といい香ばしさといいエビ本体から独立した、独自のゴチソウのようでありよき昼食のよき〆くくりを果たしてくれる。
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食後の紅茶にミルクをたっぷり注いで気持ちを落ち着け、席を立つ。
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