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サカキシンイチロウのおいしい手帖

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おいしいお店。おいしい料理。 愛着があってずっとこのままでいてほしいなぁ…、と心から思える宝物みたいなお店や料理を紹介します。
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2021年1月の記事一覧

すばらしきサービス、すばらしきかつ丼

ときおり無性にかつ丼を食べたくなる。 とんかつ定食じゃなく、かつ丼。かつ丼という料理は元気と勇気とサービス精神に溢れた料理だと思う。ご飯の上にドサッとかつ煮がのっかり湯気をもうもうと立てて熱々。 玉子でとじられてもなお存在感を消さぬとんかつ。油に脂、汁をたっぷり飲み込んでふっくら仕上がる卵にご飯。 左手のひらで丼を持つ。手に伝わってくるあったかさ。手のひらが感じる重みに器に触れる唇が食べる前からもうおいしい。 そして食べるとそういう予感以上においしい…、そんなかつ丼を食べに「

炒めスパゲティーの最高峰!

築地にちょっと用事があってフォーシーズン。 築地場外。ビルの二階にある朝早くから営業している喫茶店。早い時間帯は飲み物だけの営業で、9時半からはじまるスパゲティーが人気。 今日も9時半ちょっと過ぎに来たらすでに先客がいて、場外に買い出しに来た飲食店の人たちでしょう。大きな籠にどっさり食品を詰め込み床においてコーヒーを飲んでいた。 スパゲティーは20種類ほどあるかなぁ…。 スープスパゲティーの種類が充実していて、朝早くから河岸で働く人たちの冷えた体を温めために熱々スープが良

熱烈におなじみさんになりたいお店

野暮用で浅草。銀座線の浅草駅のひとつ手前の田原町の駅でおり、ちょっと歩いて「アロマ」に来てみる。 好きな店です。昔ながらの喫茶店でカウンターだけ。矍鑠としてゴキゲンなシニアなご主人。おなじみさんがのんびりコーヒーを飲んで語り合っている。 空気がやわらかで、おなじみさんたちが醸し出すムードがよくて、そのあったかい輪の中にいつか入ってみたいもの。 この店のために浅草界隈に引っ越すっていうのも悪くないかも…、って思わせる店。オキニイリ。 コーヒーはネルドリップでまとめて落とす

アラスカと一緒に寿司をつまむ…。

伊勢丹会館の寿司清にくる。 カウンターの一番端の一席もらう。 厨房の出口の横で、ちょっとせわしなくはあるのだけれど職人さんの手元が見える一等席でもあるのがウレシイ。 2人で一番よく行った寿司屋は回転寿司の沼津港。 気軽でたのしく、朝ひらめいて昼には椅子に座って寿司を食べられる。十分おいしく、けれどちょっといいことがあったり仕事のがんばりが報われたりしたときはもうちょっとだけいい寿司を奢りたくなり、来るのがここ。 前日の夜に宣言します。明日のお昼は寿司清だ…、って。 晩ご飯は

薄いのにスゴい!ステーキ

銀座の「吉澤」に肉を食べにくる。 肉屋さんがやっている日本料理のお店で、一階に精肉販売店があり地下の広間で昼は気軽においしい肉が食べられる。 すき焼きやサイコロステーキ、ハンバーグのような料理もあるけれど一番の売りは「薄切りステーキ」。 そしてその薄切りステーキをタナカくんは「スゴい料理」と評して愛でた。 いい店っていうのはムードやサービスを含めた総合点で決まるもので、案外多い。けれどいい店の料理がすべてスゴい料理かというと決してそんなことはない。 店の雰囲気がどうであろう

散歩の先のとびきりのゴチソウ

最近、歩くことをサボってる。ちょっと体が重く感じてテクリテクリと新宿御苑の東側を歩いて千駄ヶ谷につく。 バードアンドルビーのパニーニを食べたくって30分ほどの散歩となった。 小さな店です。 まるで屋台が小屋に突っ込んだみたいな姿。屋台の前にベンチとテーブルが置かれてよければ、そこで食べてってもいいですよ…、って感じでもありその客席部分よりも圧倒的に厨房の方が大きい。 使い勝手のいい作業台に立派で大きなエスプレッソマシーン。パニーニを焼くためのプレス式のグリドルがあり、奥

今もキラキラ、ココロの救い

東京でおそらく一番キラキラしているところに行こう!と、それで銀座ウエストにした。 ドアはずっと半開き。外は寒くてときおり冷たい風が入ってくるけど今は対コロナの戦時中です。しょうがない。 とは言えお店に入ると浮世のさまざまをすっかり忘れさせてくれます。 好きなお店が閉店したり、営業が続いていてもかつての状況からかけ離れた哀しい様子になっていたり。人が人を信用できないさみしいムードに気持ちが縮む。 けれどこの店にきて、今もテーブルの上には真っ白で洗いたてのテーブルクロスがか