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ペルーの町中華で食べたチャーハンが忘れられない

忘れられない町中華の味がある。
でも、その味は二度と味わえないかもしれない。

町中華が好きだ。
日本にいてもよく近所の中華料理屋さんに行くし、
各町のお気に入りの中華料理屋さんはマッピングしている。

昔、バックパッカーで南米を回っていた時の話。

ウユニ塩湖やマチュピチュなど有名な観光地を何日もかけて周り、南米の旅も終盤を迎えていた頃、ペルーのリマという街に立ち寄った。

南米はどこの国も味付けや食文化が似ている。
ポテトの山盛りや、肉を焼いて塩胡椒をかけただけのものとか、もう何日も似たような味付の物を食べ続けていた。
きっと気温が高く塩分の摂取を求めた結果、自然とこのような味付けになったのかもしれない。

そろそろ日本食を食べたいなと思ってジャパレスを探して街を彷徨うが
いい店が見つからない。
そうやって街をぶらぶら歩いていると一軒の中華料理屋さんが目に止まった。

日本食を食べたかったが、値段もそんなに高くなくなかったので
そのお店に入ることにした。

多分、記憶は確かではないが店員さんの中に中国人はいなかったと思う。
だから味にはそこまで期待していなかったけど、
ペルー人が作る中華料理というのがどんな味なのか興味があった。

しばらく待つと料理が運ばれてきた。
私が注文したチャーハンは色がしっかりと付いていて
どこかしょっぱそうな印象を受けた。
日本のチャーハンと比べると随分と色が濃い。

「あーこれはハズレだったかなぁ」と思い一口食べてみる。

その瞬間、雷が落ちたような衝撃を受ける。
めちゃくちゃ美味しい。米はパラパラしており、味付けもちょうど良い。
それは日本のように塩胡椒をベースとした物ではなく、
特別なソースを使っているのかとても繊細な味がした。

そして横に添えてあるチキンをほぐして一緒に食べるとさらに美味しくなる。
2段階で楽しめるのだ。

あまりの美味しさに私は夢中になって米をかき込み、
結局次の日も店を訪れて同じ物を注文した。
3食これを食べても飽きないと思った。

あれだけ美味しかったのに店名もお店の場所も覚えていない。
写真も一枚しか撮っていない。

もし次ペルーを訪れたとして、再び同じ店に辿りつけるだろうか。
もう店を畳んでしまっているかもしれない。

きっともう二度と食べることはできないだろうという確信がなぜかある。

砂漠の蜃気楼のように、私にとって幻の味として
旅の思い出と一緒に心の中にしまっておこう。

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