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建築材料 × 伝統手法 × 特許

こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井です。
この記事は「軽い雑談」です。
「建築家・藤森照信と外壁材としての焼杉」について書きます。

以前にも「藤森建築が気になりすぎる!」と投稿をした事がありました。

上記記事を要約すると

・地元で建築家・藤森照信先生が設計された「旅館」建設中
・藤森先生好き!
・クラウドファンディングやってる!
・ ⇧ で、材料を作るワークショップもあるとのこと

・・・というものでして、ワークショップが気になり過ぎていたわたくし・・・。

<ここから、上記記事からの転載です>
銅板曲げの日がいいか?

https://motion-gallery.net/projects/fujimori_ryokan

「ファイヤー!」と、焼杉を作る日がいいか・・・?

https://taneya.jp/la_collina/blog/detail/63

どちらも複数日あるそうなので、
「どの日程がいいかな・・・?」と、うんうん悩んでいます。

<転載ここまで>


・・・と、本気で悩みました結果
ファイヤー!

・・・っと、
「焼杉ワークショップ」に参加させて頂くことにしました。

天候しだいではありますが、今の予定では今週末の12月3日(土)、
弊社のお隣・茅野市まで杉材を焼きに行きます。(楽しみー!)

楽しみすぎるので、藤森先生の講演録で「焼杉」の予習もしました。
こちらです⇩

焼杉という技術は、関西にいらっしゃるみなさんにとっては当たり前のものでしょうけれど、実は、名古屋や岐阜県より東の地域では、焼杉はありません。
   (中略)
私が外国で焼杉を使用したこともあり、焼杉という名前が世界で通用するようになり、世界的にも相当大きなブームになっています。アメリカでは、とんでもない量の焼杉が供給されていて、そのうちに、クオリティの低い焼杉が現れ始めたことが問題となり、今ではアメリカへの焼杉の輸出にすごく力を入れている日本の会社も出てきました。アメリカで焼杉がどのように使われているのかというと、なんとインテリアにも使うのだそうです。日本とは基本的な考え方が異なり、焼杉の上にニスを塗り、壁や天井に張ることで、真っ黒な空間がつくれるのです。ニスを塗ることで、角度によっては光沢のないものになったり、うまくいくと焼杉を焼いた後しばらく現れる虹色の反射を残すことができるらしいです。

https://www.tozai-as.or.jp/mytech/18/18-fujimori06.html

西日本では古くから使われている手法だが、
東日本には従来なかったもの。
藤森先生が使うようになって、アメリカで使用量が増えている。
とのこと。

古くから使われているのなら、
単に「木材を焼いて表面を焦がすだけ」では、権利化は難しいんだろうな・・・? と思いつつ、さらっと特許を眺めてみました。

予想通り数は多くないものの、
160件程度の特許出願が確認できます。
1970年代から 毎年数件ずつ出願され続けています。

そして、藤森先生の「もともと西日本で使われていたもの」とのお話から
出願人の住所(都道府県)に着目してみると、
古い出願ほど、出願人住所は高知県とか

福岡県の出願人も。

西日本では古くからなじみのある材料、という点が
40~50年前の特許出願にも表れているな、と実感できました。

一方、

私が外国で焼杉を使用したこともあり、焼杉という名前が世界で通用するようになり、世界的にも相当大きなブームになっています。

ということで・・・
最近の特許出願では

大手企業の特許出願で、本文中に「焼杉」の言及があったり

【0027】
また、屋内空間6の開口部4と対向する面には間仕切壁72が形成されている。そして屋内空間6の開口部4と直交する一方の側面は屋内外を隔てる外壁73であり、他方の側面は受付用カウンタ34の一部をエントランス空間32と隔てるように形成された屋内壁面74である。屋内壁面74は焼杉板の壁化粧材75が敷設されている

特開2020-197069 (積水ハウス株式会社)

触っても手が汚れない「焼杉風」の化粧材も見受けられました

【背景技術】【0002】
建物の外装壁面、内装壁面等の表面化粧に使用される素材の一例として「焼杉」のように木材表面を焦がし炭化させることで耐久性を向上させた物がある。この焼杉は耐久性の向上に留まらず、建物等の外観の特徴を表現する要素としても用いられることもある。その場合に、焼杉は木材の表面を炭化させたものなので、実際の焼杉を用いると素手で触れたときに表面の炭化した木材が磨耗し易く、炭が手に付着してしまう欠点がある。この欠点は化粧フィルム(化粧材)に焼杉の模様を付すことで解消することができる。

特開2021-160128 (大日本印刷株式会社)

「焼杉そのもの」の権利化は難しそうに思いましたが
「触っても汚れない焼杉風の内装材」が出てくるとは!
これ、海外での注目度の高まりに目をつけた特許出願かもしれませんね。


それでは、近いうちに「焼杉ワークショップ」参加してきます。
写真等を撮る余裕があれば・・・またNOTEでご報告するかもです。
お楽しみにー!

追伸:クラウドファンディングは、まだしばらく続いています。
ワークショップは終わってしまっていますが、
泊まってみたい建築好きさん、いらっしゃいましたらこちらも是非!



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