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地球のためのデザイン (サスティナブルデザイン編)

いつかのだれかの幸せも願う

幸せはデザインのマナー。「人間らしさ。心地よさ。」を意識したデザインマインドで、今日よりも明日が1mmでも良い方角に改善できないだろうか。これについて語る「地球のためのデザイン」シリーズ。引き続き、第三弾「サスティナブルデザイン」について。

「地球のためのデザイン」は「人間が地球に住み続けるためのデザイン」とも言えます。生態として地球への負荷を最小限にすることが、私たち人間へのダメージの返りを抑えることにつながるだろうというスタンス。ですから、人間活動をみんな我慢しなさいというわけではありません。むしろ、人間みんなが心地よく過ごすための「住まいのルール」。共同生活ですから。丁寧に使うことは「住まい」すなわち「地球」を長持ちさせることにつながるという考えです。

(地球のためのデザイン「エコロジカルデザイン編」で語ったこと)

サスティナブルデザイン、一般的に「環境負荷を最小限に抑えながら、持続可能な未来を実現するためのデザイン」を意味する言葉として扱われていますが、これは極めて当たり前のことを指しているようで「当たり前あるべきことを当たり前に成立させる」究極の難しさであるといえます。持続を実現させるには、しっかりとした循環システムの設計が欠かせない。

しかし、いままでのデザインでは「偏り」が生まれていたかもしれません。より使い手にフォーカスしたもの、より生産効率を改善したもの、より強く長く残り続けるもの・・・など、鋭利なコンセプトであるほど視界が狭くなってしまう難しさもあるのでしょう。サスティナブルデザインを実現するためには視界の広さがキーになる。すなわち、前回までお話してきたユニバーサルデザインやエコロジカルデザインもこれに内包されますから、サスティナブルデザインは「大義のデザイン」と捉えられるでしょう。

そもそも思考

サスティナブルなシステムに向かうためには多角的な検証が欠かせない。常に「そもそも思考」で考えることが重要になる。適当にしてはいけない。「一般的な」「普通の」「基本的な」など、自分で検証せずに他責な「かりもの判断」は勘違いを起こしやすい。誰かが考えることじゃなくて、一人ひとりが自分にとって「そもそも、それって大事なの?」「そもそも、それって必要?」このような問いを一瞬立ち止まり自分に向かって話しかけること。

例えば、「この商品はサスティナブルである」と押し付けメッセージを添えて売られている状況には違和感を感じます。商品との関係を「どのように考えて、どう使うか」が重要。「この商品は私にとって幸せを与えてくれるから、長く付き合っていこう」と思わせることが大事で、その気持ちを支える仕組みまで設計するのがサスティナブルデザイン。「長くずっと使えなきゃサスティナブルではない。」とは思いません。使って、使い終わって、回収されて、また別の役目になる。この全体の地図が大事だと思います。

「使って捨てる」は一方通行

タンブラーが良くて、ペットボトルが悪い。そんなことは無いはずです。ペットボトルはゴミではなく、適切な分別・回収により何度も循環できる「資源」です。タンブラー需要以上に供給が溢れたり、とりあえず購入したけれど持ち歩いていなかったり、それこそナンセンスなお話です。だからこそ、作り手は、使う人に「愛着」を持ってもらうような「良いもの作り」を目指さなきゃいけないし、使い手も「愛着」を持ち続けられるか「確かな選択」をすることが大事。とりあえず買っちゃった系の「愛が少なめアイテム」って、結構あるんじゃないでしょうか。

例えば、
「邪魔になったら捨てちゃえばいい感覚で買った旅先のビニール傘」

これは決してプロダクトに問題がある訳じゃない。ファッションの目線で傘を選んだら、ビニール傘の方が素敵だったりもする。この課題が解決できそうな「傘のシェアリングサービス」はすでに存在しますが、定着しないのは作り手側の熱量に使い手の熱量が追いついていないから。まだまだどちらかに偏っている。 確かに地球目線で考えれば傘のシェアリングは良いことですが、現時点では購入した方が安く、高い価格に腹落ちするほど「借りたくなるようなデザインではない」とも思われている。さらには、返却のためのスポットも必要になり、面倒な気持ちが強まってしまう。

鶏が先か卵が先か

熱量に偏りが生まれてしまうと、素敵なビジネスモデルも絵に描いた餅に終わってしまう。

では、どうやってこのループをポジティブなループにスイッチできるか。
ここで「デザイン」。

人は感覚的な生き物であり、合理的な数字だけでは動かない。感情だけでも足りない。「情と理」のバランスがあってこそ、正しい方向に向かう。情を重視する人、情を重視する人、偏ってしまうのは自然である。この偏りを解決するために互いの価値観を話し合い、理解し合い、どちらが正解なのか探すのではなく「違い」を認め合うこと。そのきっかけを作るのが「デザインならではの思考」だと考えています。心に寄り添うのが得意なデザインによって「行動にワクワク」を作っていく。 

宇宙目線

持続可能な地球のためのサスティナブルデザインと向き合うには、目線をいかに高くできるかがポイントとなる。すなわち、地球の上から見るような「宇宙の目線」まで持ち上げられるか。

これはもしかすると、
「宇宙飛行士の能力」にヒントがあるのかもしれません。

NASAの「宇宙飛行士に求められる8つの特性」を見つけました。
 ◎自己管理
 ◎コミュニケーション
 ◎異文化
 ◎チームワークと集団生活
 ◎リーダーシップ
 ◎コンフリクトマネジメント
 ◎状況認識
 ◎意思決定と問題解決

ちなみに、JAXAの宇宙飛行士募集概要にも同類のものが示されています。こちらには「日本人としての誇り」という明記が特徴的ですが、やはり、俯瞰した思考の重要性を感じます。
 ◎目的意識・達成意欲
 ◎任務・訓練に耐えうる健康状態
 ◎知力・論理的思考力
 ◎ミッション遂行能力
 ◎進歩・変化への適応性や強靭性
 ◎日本人としての誇り、多様性の尊重
 ◎表現力・発信力
 ◎コンプライアンス意識

僕は今から宇宙飛行士を目指せる体力はありませんが、宇宙飛行士マインドにはなれるはず。まずはこの8つの資質を意識するところから始めてみたいと思います。
 
地球のためにも、地球人全体で宇宙飛行士を目指してみたら、いかがでしょう。


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