新保吉伸/Niiho Yoshinobu

精肉店サカエヤの店主です。 飲食店や精肉店で働いてる若い人、うちのスタッフへのメッセー…

新保吉伸/Niiho Yoshinobu

精肉店サカエヤの店主です。 飲食店や精肉店で働いてる若い人、うちのスタッフへのメッセージ的な内容が多いです。経験豊富な大人には当たり前のことばかり書いてるのでつまらないと思いますが、ご一読いただければ幸いです。

最近の記事

SAKAEYA STEAK KNIFE "LOUIS"

初回300本を制作し、即日完売したのでほっとしていたのですが、「レストラン サカエヤ+」で使うナイフを確保し忘れていて、再販の声もたくさん頂戴していたこともあり、300本追加で制作しました。 完売後に「iFデザイン賞」を受賞したこともあり、海外からの問い合わせもぼちぼち。 iFデザイン賞(iF design award)は、 IDEA賞(アメリカ)、レッドドット・デザイン賞(ドイツ)と並び「世界3大デザイン賞」と呼ばれています。 設計のときから、松浦さんが取材してくれて

    • 皮から革へ命をつなぐ

      僕と繋がりのある方でSNSをやっていない方向けに、noteでも共有させていただきます。 畜産業界に詳しい方ならお分かりかと思いますが、牛肉一頭買っても内臓は付いてきません。内臓を手に入れるには特殊なルートか太いパイプが必要です。なので新規で焼肉店を考えている方のネックは内臓なのです。断念される方も多いのです。 さらに入手が困難、いや絶望的なのが牛の皮です。例えば、◯◯牧場の近江牛を一頭買い付けたからと言って、その牛の内臓はもとより、皮は100%手に入りません。 地方によ

      • 料理人のタイプ別

        延び延びになって2年が経過、門上武司さんの古希のお祝い食事会は、「洋食おがた×茶禅華」のコラボレーション。テーマでもある「町中華」に一応寄り添う形で、一皿ごとに緒方シェフと川田シェフが合作するという、おそらく最初で最後の共演でした。 洋食おがたのスペシャリテ「ハンバーグ」に川田シェフが麻婆豆腐を合わせ、茶禅華のスペシャリテ「雲白肉」には、走る豚に生姜焼きのたれをかけると言う特別バージョン。最後に普段は表に出ることがない厨房スタッフも全員集合で、1人づつにスポットが当たる素晴

        • プロとアマチュアの違い

          和食は関西、フレンチは関東と言われていますが、東京で定期的に通っている和食屋さんが一軒だけあります。牛肉は最後のごはんのときに煮たものを少しだすだけ。すべての料理がシンプルで派手ではないですが飽きないです。 ハイブランドの洋服を着ている人を街中でよく見かけますが、昨日見た人は凄かった。 上下違うブランドで、スニーカーにバッグもこれまた違うブランド。体中ロゴだらけ。帽子にサングラス、すべて違うブランドで、歩くデパートみたいな人でした。ぽっちゃりした体型で、なんか可笑しくて、

        SAKAEYA STEAK KNIFE "LOUIS"

          慎重

          昨日は日帰りで東京でした。友人がハンバーガー専門店をやりたいとのことで、試食を兼ねてメログラーノへ。さすがにハンバーガーだけ食べて帰るわけには行かないので、和牛経産サーロインとブラウンスイスの肩ロースを焼いてもらった。後藤シェフと付き合って7年ほどかな。質より量、焼き続けた結果は、お客さんのリピートに繋がっている。 サカエヤのスタッフは20代が多く、仕事は一生懸命やるのだがミスが多い。失敗は誰にでもあることなので、もちろん僕もいまだにやらかします。ただ、同じミスを何度も繰り

          見学について

          当初は、新設の冷蔵庫の見学を取引先のみと限定していたのですが、あまりにも多くの要望があり、とは言っても、だれかれと受け入れるのは危険な感じがしていました。 ここ数日、悩むほどでもないのですが、いろいろ考えた結果、料理人の方のみ見学可能に変更することにしました。サカエヤの肉を使っていなくても、学びたいと言う方には開放します。「知る」ことで、料理の幅が広がれば良いかなと思います。ただし、私も時間を調整してやりくりしますので、事前の申し込み内容によっては、お断りさせていただくこと

          肉の香りの出所

          中東さん(草喰なかひがし」の大将と2人旅、今年は函館へ。目的は農楽蔵とコルツだったが、ミスターコンサドーレ曽田さんが車を出してくれることになり、余市まで足を伸ばして、ドメーヌタカヒコ、SAGURA、途中で山田農場チーズ工房へと立ち寄ったのです。帰りは夕張の味道広路でお昼をとり、いま千歳空港でフライトの時間待ち。 「サカエヤの肉は香りで分かる」と感想をいただくことがある。1人や2人ではない。なによりも嬉しい言葉である。 牛肉において、僕がいちばん重要視しているのは、「保存」

          環境と育成

          ワインコレクターの知人が所有しているワインにSINAEの大東シェフが料理を合わせる食事会。ワインはもちろんのこと、この日の料理が素晴らしかった。肉は経産サーロインを40日熟成させたものを炭火で。普段お目にかかることのないワインばかりなので、飲みすぎました。 先日、某ホテル内にあるレストランで打ち合わせを兼ねて食事をしたのですが、食事後に支配人から厨房に案内されまして、まだ営業中なのでシェフのもと、スタッフ6名が忙しく動いていました。 シェフは短い言葉で指示は出すものの、す

          地産地消

          石垣島で育てたジャージー牛を預かって30日が経過した。このあたりが限界かな。エイジングしてみたが、フレッシュのほうが良かったかも。以前もジャージーをエイジングして思っことかある。ジャージーはカビをつけずにドライで仕上げたほうがいい。 地方へ行けば行くほど地産地消にこだわっているシェフが多い。しかし、美味しくなければ意味がないと思っている。僕の仕事もそうだけど、手当てだ熟成だと言ったところで、食べ手の心に響かなければ、どれだけ手間暇かけても評価はされない。 現在、取引先は北

          肉を選ぶ

          新設の枝庫の扉がオープンになるのは、セリで購買した枝肉が入荷したときだけなので、開いているところを見た方はラッキーかも。 取引先のシェフやソムリエ、オーナーからの注文は、一部スタッフが担当していますが、基本は僕が受けています。ここ数年は、LINEやMessengerが主流となり、そのやりとりは1日500回を超えることも。スタッフに肉を用意させることもありますが、簡単に一発で決まることは、ほとんどありません。 『近江牛・サーロイン』といった具体的な注文があれば、在庫から選べ

          脱水庫

          昨日は、岡山の「はすのみ」加藤シェフ、静岡の「シンプルズ」井上シェフとスタッフのみなさんが来社してくれました。実際にいろんな肉を見て意見交換できるので、お互いにとって有意義な時間となりました。 新設した豚肉の脱水庫は、それなりの投資になりましたが、僕の経験だけを頼りにメーカーに特注したので、正直なところ成果がでるのかどうかは稼働してみないと分かりませんでした。 僕が思うには、豚肉は入荷から14日までに仕上げて商品化しないと品質が落ちると感じています。普通の冷蔵庫では、ネト

          和食と牛肉

          和食と牛肉はいつも悩ましい。先付けから良い流れなのに牛肉が前後の料理の邪魔をしたり、派手な牛肉にお腹がいっぱいになりごはんまでたどり着けなかったり。かと思えば、いつかの冬に食べたヒレのすき焼きがいまも記憶に残るほど美味しかったり。和食に牛肉を組み込む場合は、主役にもってくるのではなく、全体の流れにうまくハマる肉かどうかだと思うのです。 僕個人としては、最後のご飯までおいしく食べたいので、牛肉は重くなく野菜のイメージで選んでいます。 理想は、見た目は派手でも脂は気にならず、

          質問力

          豚肉の脱水庫がようやく完成しました。 落語家の林家木久蔵さんに仲良くしていただいてまして、たまに食事をご一緒したり、僕が主催するイベントにお越しいただいたり。 木久蔵さんのご縁で何度か食事の席でご一緒している「やっさん」と呼ばれている方がいます。ときにはお一人で、ときにはご夫婦で参加してくださる素敵な方です。 お会いして何度目だったかな、「いまさらですが、やっさんは何をされてる方なんですか」と木久蔵さんの耳元でできるだけの小声でお聞きしたところ、「えーーーっ!」と店内に

          売りたくても売れない

          各方面から「愛農ナチュラルポーク」の販売はないのですか?、、とお問い合わせをいただいてまして。はい、いまのところ予定はないです。 と言うのも、あくまでも農業高校の実習で飼っている豚であり、もともとは、生徒や先生たちの給食用で、余ったものは学校で加工品作って販売したり。 ビジネスラインに乗っていないので、学生たちちが種付けに失敗したり、仮に豚を増やそうとしても豚舎の増設も土地と金銭的な問題で難しく、年々減っていくばかり。今年はまだ一頭も入荷がありません。 ときどき、給食に

          売りたくても売れない

          近々報告

          結局1年かかりましたが、3基の冷蔵庫(枝庫・熟成庫・豚専用庫)がやっと完成しました。昨日電源を入れ、温度と湿度を設定し、安定しているので、何本かロースを入れて様子を見てみます。 庫内に良い菌が回り始めるまで半年〜1年はかかりますが、ロースだけで常時150本はストックしていくので、熟成期間も細かく設定して、今以上にシェフの好みに合わせていきたいと考えています。 「レストラン サカエヤ+」のほうは、こだわり強すぎて趣味の世界に突入してますので、来月も引き続き絶賛工事中になりそ

          くまの肉

          過日、antica locanda MIYAMOTOの宮本シェフから興奮気味に「くま」の肉が信じられないほど美味しいと連絡があった。電話越しに伝わるシェフの熱量に、ついに牛肉にとどまらず熊肉にまで手を出したのかと思いきや、話をよく聞くと「くま」とは熊本の球磨地方のことだったのです。「くま」と読むんですね。知らなかった。 なんとも紛らわしい話ですが、それだけおいしかったと言うことでしょう。その後も、ときどき球磨地方で育てられた経産和牛が入荷してきてはいたのですが、熊本に縁があ