見出し画像

「顔のないヒトラーたち」

2022年7月

「顔のないヒトラーたち」
Im Labyrinth des Schweigens
監督:ジュリオ・リッチャレッリ
ドイツ 2016

名作でした。
昨晩観て、まだ胸が苦しい。

戦争は終わり、
西ドイツの美しさたるや!という雰囲気で始まる。

(東ドイツを描いた作品との東西のギャップよ!
と本筋と関係ない事を思いながら見始めた)

タイトルからして重い作品と覚悟しつつも、
あらゆる美しさに暫くは惹かれて観ていました。
建物や石畳、乗り物、人々の身なり、
抑制の効いた堅牢そうなデザイン。

主役は若い検事。(これまた美しい…)
2回目の世界大戦が終わって15年も経ってないけれど、
すでに若い人はアウシュビッツを知らない。
図書室にも資料はほぼ無い。
経験者の中高年は口をつぐんでいる。
どの国にだって捕虜の収容施設ぐらいあっただろう?
と一般化して話を終わらせようとする。
同僚の検事ですら、
あのアウシュビッツの映像はプロバガンダだよ、気にするなと一蹴する。

戦争は終わったのだからと
人々は敗戦の傷を忘れたように生きている。

ある切っ掛けから主役の若い検事が、
過去の事実を裁こうとするのだけど、
実際彼も色々と知らない、知らされてない世代。
その事で映画を観る方も一緒に知って行けるので、
真実を知りたい知らせなければいけないという、
彼の疾走感に乗って行くことができる。

彼の協力者が少しずつ増えていく姿なども、
人間としての希望を感じさせてくれる。

衝撃だったのは、
今やこれほど世界が知っているアウシュビッツの非道さ、残忍性を、
当時の彼らが「まさか!」という驚きを持って知って行く様子。
「犯罪はあったかどうか」をまず聞こうとした彼が、
「大勢の人が殺された」と聞かされただけでも、
ポカーン…という間。

観ている私たちだって、
「そんなに知らないの!?」
とポカーン。
(でもそこから徐々に閉じていた蓋が開いてゆくかんじ)

自らの過ちを覚悟を持って学んでいる
というイメージしか私は持っていなかったドイツ。
ドイツにもそんな時があったのか!!
という衝撃でした。

どこの国だって一朝一夕に立派なんじゃないんだ、
こうして苦労して傷付きながらこじ開けて来たんだ、
という、心強さと、尊敬と、
やはり絶望が入り混じるのだけど。

「ヒトラーはもう死んだんだ。
一般人は指示に従っただけだ。
なぜ傷をこじ開ける」

と詰め寄られる。

それでも彼を動かしたのはなんだったのか、
私達は突き付けられる。

一般人は善良で、
悪かったのは指導者だけだ。
で割り切れるのだろうか?

黙り続ける一般人全員の罪では無いのか?

これは私達のための映画だ。
と思わずにはいられませんでした。

作中でも、主役の彼自身も追い込まれる様子が描かれる。

アイヒマン、ローゼンベルク、ヨーゼフメンゲレ
実在のナチスの戦犯の名も登場します。

2枚目の写真は、
現在もご存命のイタリア人女性リリアナ・セグレさんが2020年に語った証言の本。

彼女は映画「ライフ・イズ・ビューティフル」は絵空事だと仰っているそうです。
好きな映画だそうですが、
でも監督ベニーニは「あれはおとぎ話だ」とどこでも言っていない。
と仰っていました。

映画って、
フィクションでもドキュメンタリーでも、
史実を元にしたエンターテイメントでも、
当事者や、
世界にも、
少なからず影響を与えてしまうものだってこと、

観るものを選ぶ側としても、
考えて推し活(?)して行きたいと思いました。

観てみないと分からないことが沢山あると思いつつ〜、
難しいですが🥲

#いつも私見ばかりすみません
#顔のないヒトラーたち
#ImLabyrinthdesSchweigens
#ジュリオリッチャレッリ
#アレクサンダーフェーリング
#HansiJochmann ←カッコいいおばさま!👍
#アウシュビッツ #リリアナセグレ
#ナチス #ヒトラー #第二次世界大戦
#アマプラ #映画 #movie #ww2
#映画鑑賞 #映画鑑賞記録 #映画記録
#ライフイズビューティフル

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?