まいにち子育てヒント#12 Big5の外向性について解説

心理学に関するこれまでの研究から、人間の性格には5つの基本次元、通称ビッグ・ファイブが確認されています。その5つとは、情緒安定性・外向性・経験への開放性・調和性・勤勉性とされています。
ここでは、外向性について解説します。外向性が高い人は社交的で話し好き、陽気で活動的で積極的な傾向があります。また、他者に対して統率的な態度、すなわちリーダーシップをとるような傾向も外向性に含まれます。この尺度は、好奇心の強さ(開放性が高い)や楽観性(情緒不安定性が低い)といった傾向とも関連しており、他の尺度と重複する部分が多々あります。
外向性は働く上では重要な傾向の1つで、実際に双子を比較した研究で外向性が賃金に影響を与えるという結果が出ていたり、日本でも外向性が高いほど初職が正社員になりやすかったりと、好影響を与えやすいです。
また、コミュニケーションの取り方にも影響があります。他の人の甘えを受け入れる傾向が高く、表現力や解読力も高い場合が多いようです。
ただし、他の人と関わりを持ちながら遊ぶという行為は、生まれてすぐにはできません。発達とともに社会性も伸びていき、一人遊びから集団遊びへ移行するのはだいたい4歳頃と言われています。
基本的には、幼児期にごっこ遊びを不安なく集中して行っていた子どもたちは、大学生時点で外向性が高かったようです。
また、外向性が高いことは素晴らしいことのように思われますが、実は他の人からの好意的感情との相関はないという研究があります。これは、友好的な態度が好意的に受け取られる一方で、外向的な人は信用できる人物とみなされにくいことなどが理由として考えられています。
いずれにしても、外向的か内向的かは個性として焦らず見守ることが重要かもしれません。

参考文献
佐々木直美, et al. "大学生の心理特性と幼児期の遊び経験との関連について." 山口県立大学学術情報 10 (2017): 11-17.
佐々木直美, et al. "大学生の心理特性と幼児期の遊び経験との関連について." 山口県立大学学術情報 10 (2017): 11-17.
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Nimura, Hideyuki, Shiho Imashiro, and Jun Naito. "管理者層を対象とした性格検査・知的能カ検の妥当性のメタ分析と一般化."
藤本学, and 大坊郁夫. "コミュニケーション・スキルに関する諸因子の階層構造への統合の試み." パーソナリティ研究 15.3 (2007): 347-361.

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