見出し画像

まいにち子育てヒント#15 Big5の調和性について解説

心理学に関するこれまでの研究から、人間の性格には5つの基本次元、通称ビッグ・ファイブが確認されています。その5つとは、情緒安定性・外向性・経験への開放性・調和性・勤勉性とされています。
ここでは、調和性について解説します。調和性とは周囲の人間と協調して思いやりのある関係を築ける傾向です。利他的であることや、慎み深いことなどに分解できます。調和性が高い方が一般的に幸福度が高いというデータがあります。
幼児期に自身の協調性についてメタ認知することは難しく、小学2年生になると自身の協調性を評価する割合が増えることから、協調性について自分で認識できるのは小学校入学前後だと考えられます。3ー5歳では協調性について性差はありませんが、お互いを評価する上では男の子の方が協調性を重視する傾向があるという研究もあります。
また、協調性が子ども同士の人間関係の問題の中で発揮されるときは、単に協調的な態度であるだけでなく、協調的にその問題を解決する手段を知っているかという側面も重要になるようです。保育者など第三者の介入により協調的解決が強化されるというデータもあります。協調的なだけでなく、協調的な解決を提案する主張性が因子として挙げられる研究もあります。
調和性、あるいは協調性はほかの特性と同様に発達の中で身につけられるもので、特に3歳までは利己的であることが自然です。子どもがわがままで甘えたがりであることを悩む保護者の方もいらっしゃいますが、焦らずに向き合うことが求められます。

小塩隆士, and 浦川邦夫. "主観的厚生に関する相対所得仮説の検証―幸福感・健康感・信頼感―." 経済研究 63.1 (2012): 42-55.
柴田利男. "幼児における社会的コンピテンスの諸測度間の相互関連性とその個人差." 発達心理学研究 4.1 (1993): 60-68.
今井靖親, et al. "幼児期の子育てに関する親の悩み." 奈良教育大学教育研究所紀要 28 (1990): 25-33.
遠藤利彦, and 無藤隆. "幼児期・児童期における自己理解の発達: 内容的側面と評価的側面に着目して." 発達心理学研究 11.3 (2000): 176-187.
小林真. "幼児の対人葛藤場面における社会的コンピテンスの研究." 教育心理学研究 41.2 (1993): 183-191.
東敦子, and 野辺地正之. "幼児の社会的問題解決能力に関する発達的研究." 教育心理学研究 40.1 (1992): 64-72.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?