見出し画像

230212 女ふたりヨーロッパ旅【vol.3 パリ】


ついに今回のヨーロッパ旅行最後の都市、パリ。



2/6

2/6(月)この日は早朝にバルセロナを出発し、お昼頃オルリー空港に到着。

ひとまずホテルを目指すが、驚いたのはパリの地下鉄がほぼ階段仕様であること。大きなキャリーケースを持ってエレベーターやエスカレーターのない中を移動するのは本当に疲れた。そしてバルセロナが体感として日本の街や地下鉄に近かったため、それに比べて少し暗く狭いパリの地下鉄駅は若干の怖さがあった。

改札では切符を通してからゲートが開くのだが結構なパワーがないと押し開けられないため、手間取ってしまい荷物を持ったまま1人取り残されてしまった。ゲートを通過した友人に端で待っててもらうよう伝え周りを見渡すが、窓口は無いし係員はいない。通話ができる呼び出しボタンを見つけ、英語でこの状況を伝えるがフランス語で返されてしまい何も分からない。係員が来る気配もない。終わった。さよならパリ。さよなら私の楽しい旅行。
しかしめげずにもう一度ボタンを押し、申し訳ないが英語でお願いしますと伝えると、英語を話せるスタッフに代わってくれ、マシンを空けたから通れと言っているよう。しかし今度はこちらの理解力の無さゆえ、どのマシンのことを言っているのか分からない。途方に暮れていると、通りすがりのおばさまが声をかけてくれた。説明すると代わりにボタン越しに係員と話してくれ、ゲートの通り方を教えてくれた。やっとのことで友人と合流できた。本当にありがとう。命の恩人。あのおばさまにこれ以上ない幸福が待っていますように。

ついにホテルに着いてチェックインするが、なぜかスムーズにいかない。こちらには何も言わないが、スタッフの顔を察するに明らかに予約が取れていない。旅行会社を通してホテルを取っていたので私たちに責任はないが、気分が下がる。

通された部屋は狭く、Wi-Fiもうまくつながらず、疲れているし、まだパリっぽいもの見てないし、お腹すいたし、もう嫌〜〜〜〜!!この旅行で一番落ちに落ちた時間であった。

こんな感じで始まったパリ一日目。

とりあえずそれっぽいもの見て何か食べて元気出そうと街に出た。
陽があるうちに凱旋門に向かい写真を撮った。まぶしさとやはり抜けきれない疲労感によって表情が弾けきれてなくて、見返すとちょっと笑える。

凱旋門から続くシャンゼリゼ通りには高級店が立ち並ぶ。ロクシタンとピエールエルメのコラボのお店に入り、マカロンを食べた。やはり甘いものは正義。元気が湧いてきた。マカロンは甘ったるいイメージがありあまり頻繁に食べたことが無かったが、ここのマカロンは甘さがしつこくなく最後にスッと抜ける感じがした。エスプレッソとの組み合わせも良く、心身ともに疲れ切った私たちに染み渡った。

86champs L’Occitane × Pierre Herme


その後、引き続きシャンゼリゼ通りを歩きながら、友人が予定していたDiptyqueを探す。しかし店舗違い再来。またもめげずに探し直して向かうことに。夜までやってくれている店舗があって良かった。私は元々Diptyqueで買い物をする予定はなかったが、歩きながら話しているうちに私も欲しくなり、結局買った。香りは記憶と紐付くので、この香りを使う度にこの旅行のことを思い出すのだろう。いい買い物ができて嬉しい。

夜ご飯は目当てにしていたビストロがあったが予想以上に混んでいたので諦め、ここまで(ここに書くほどですらない)内輪ネタにしていた「我らがマック」についに入店。一応日本に無さそうなメニューを食べた。チキンがちゃんとチキンで美味しかった。そしてデカい。そして高い。

パリの始まりはもう最悪と言っても過言ではないくらいだったが、美味しいものを食べ、街を見て、いい買い物をしたら、結局楽しい一日になった。これがパリパワーか、またはヨーロッパ旅行の苦難を乗り越えてきた私たちの力か。どっちもか。

ヨーロッパ旅行の終わりが見えてきて寂しくなりつつ、明日のパリディズニーにわくわくしながら眠りについた。



2/7

2/7(火)は一日パリディズニーの予定。
火曜日はお休みになる美術館が多いのでディズニーをこの日に。

この日の開園時間は9:30〜22:00だったが、郊外で移動に少し時間がかかることや夜の地下鉄は治安があまり良くないことを考慮して、17時ごろにディズニーを出るつもりで行動した。

特急の中でアトラクションを回る順番を考える。パリディズニーにはパークが二つあるが、一日でどちらも楽しめる規模感。

日本から持ってきた色違いのカチューシャを準備して、ついに入園。入っていきなりミッキーとミニーのお出迎えがありテンションは最高潮。私はディズニーに詳しくなく日本でも誘われたら行くくらいのスタンスだが、それでもやはり楽しい。ディズニーすごい。

パリディズニーのシンボルは眠れる森の美女の城


最初にハイパースペースマウンテンに乗ると、そのスピード感に驚く。最後停止する時に後頭部を打った。要注意。正直中の演出は日本の方が凝っている感じで、パリのアトラクションはスピードや揺れる感覚が強い。

爽快感のあるアトラクションでスタートして、その後も順に回っていく。プリンセスパビリオンでは直前までどのプリンセスと対面できるか分からないが、私たちはジャスミンとお話して写真を撮った。超可愛かった。

こちらのディズニーにもタワー・オブ・テラーがあるが、日本のタワテラが呪いをテーマにしているのに対してパリではトワイライトゾーンを題材にしているため超常現象やミステリー感があった。流れる音楽がB級映画感あってちょっとウケた(怒られそう)。国によってホラーのテーマが違うのは民俗的な要素も関係しているのだろうと推測したので、少し調べてみても面白そうだと思った。アトラクションは言わずもがな怖かった。喉が裂けた。

パリのアトラクションの中で私のお気に入りは、ウォルト・ディズニー・スタジオ・パーク内にある「ラタトゥイユ」と「クラッシュコースター」。「ラタトゥイユ」はパリを舞台にした「レミーのおいしいレストラン」をテーマにしたアトラクションで、マシンに乗りながらストーリーを追う。レミーと同じ目線で、温度や香りや風を感じながら駆け抜けていくのが楽しい。「クラッシュコースター」は待ち時間が長いと聞いていたが最後の最後に乗ることができ、回転しながら猛スピードで進むマシンに思わず声を出して笑ってしまった。

夕方でパリディズニーを去るのは惜しい気もするが、満足度も高く、安心してホテルに帰るため早めに切り上げた。


あとは特急に乗って帰るだけ、と思ったら、またもパリの洗礼を受けることになる。
ストライキによって電車が止まっており、パリ市内に帰ることができない。

ホームに続くゲートにはテープが貼られ、そこに立つスタッフに聞いてみると今は動いていないとのこと。俺には分からないからあっち進んで聞いてくれと言われてその通りにすると、その先ではさっきいたホームを案内された。結局ぐるぐると駅の中を歩き回り、線が違うから連携が取れていないのだろうと分かった。最後に声をかけたお姉さんがバスかタクシーしか無いわよと教えてくれた。もう特急(バスと共通)の切符は買ってしまっていたしタクシーだと相当高くつくので、時間はかかるが頑張ってバスを探すことにした。何が何だか、これがストライキか、と思いながら探していると、運良く市内方面に向かうバスに乗ることが出来た。停車駅からさらに乗り継ぐ必要があったが、運転手のおじさんも英語が苦手そうだが一緒に歩いて教えてくれた。

こうしてなんとかパリ市内に着き、ホテルの近くのお店で夜ご飯を食べることにした。単語を検索しながらトリュフのパスタと魚のタルタルを山ほど食べた。半分寝てた。

ストライキを経験したことで、ひとまわり強くなった気がする。元々よくあることだとは聞いていたし、飛行機が飛ばないとかもっと大変なことにならなくてよかったとは思うが、それでも異国の地で頼りの電車が動かないというのは怖い。ただどこかでなんとかなるとは思っていた。元からある程度楽観主義者ではあるが、こちらに来て数日で、英語が拙くても人に聞いてコミュニケーションを取ることへの恐れは少し薄れていた。その日中に帰れなくてもとりあえず生きていればなんとかなるので、あまりせかせかし過ぎず出来ることを探せば大丈夫だということが分かった。もちろんこれは一緒にいる友人がしっかりしているからこその感覚なのだけれど。ありがとう。

とにかくパリのディズニーも楽しむことができ、ストライキの洗礼ももはや楽しむことができた。この旅行の中で困難を一緒に乗り越えるハイタッチ案件はいくつもあったが、これは上位に来る経験だった。



2/8


ついにパリ観光最後の日が来てしまった。

この日はホテルの朝食を食べたあと、サント・シャペルへ。ここはゴシック建築の礼拝堂で、2階は大きなステンドグラスで囲まれている。よく晴れていたので光が差し込んで綺麗だった。天気や時間帯によっても色合いが変わって面白そう。この旅行中雨に降られたことは全くなく、ずっと天気に恵まれていた。日頃の行いが良いからかなとふざけていたが、実際ここまで恵まれていると、これから先も徳積み頑張ろうという気になった。

しかし天気は良かったが、フランスは寒い。
バルセロナがとても暖かかったから余計にパリの冷たい空気が刺さる。朝早くから外を歩いていたので手も足も感覚がなくなり、慣れてきたはずの石畳でよくつまづいた。

サント・シャペルの見学のあとはルーブル美術館へ。どの見学場所も、もちろんルーブル美術館もチケットを事前に買っていたがそれでも並ぶ。私たちが凍えながら寒さに耐えていても、現地の人や韓国人などは薄着で平気な顔をしていた。寒さによく慣れているのだろう。ヘソ出しのお姉さんたちがお腹を壊していないといいな。

並んでいる間も、あのピラミッドが近くにあるのでルーブル美術館らしさがあって良い。
私たちはあまり時間がなくスケジュールがカツカツだったので、必ず見るべき作品を2時間で回る予定でいた。美術館全体はコの字型をしており、三つのエリアに分けられる。私たちが見る予定をしていたものはほとんどドゥノン翼に集まっていたのでここから攻めた。

本当ならもっとじっくり立ち止まりながらそれぞれの作品を鑑賞すべきだと分かってはいるが、何せ私たちには時間がない。そしてローマなどでも色々な美術館を回ってきて、必見作品をサクサク見ていくのが私たちには合っていると感じていた。絵画の鑑賞が常でない私たちは、それ以上欲張って時間をかけると疲れてしまうので、心地よい回り方を心がけた。

美術館に入って少し歩き、一番最初に目に入ったのはサモトラケのニケ。大階段に配置されるそれは、明るく広い、最も多くの人が通るであろう場所にあり、貫禄があった。それぞれの作品の場所を事前にチェックしていても館内で迷子になったので何度もこの階段を通り、もはやお馴染みの作品になってしまった。お土産にニケのピンバッジを買った。

サモトラケのニケ


「モナ・リザ」はルーブル美術館の中でも、今回見た他の美術館を含めても、一番厳重に守られていた。距離がありガラスの中にあったが、それでもあの神秘的な目はとても印象に残った。
他、「民衆を導く自由の女神」、「ミロのヴィーナス」「皇帝ナポレオン一世と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」など名だたる作品群を見た。「夏」や「レースを編む女」などは見つからなかった。係員に尋ねてみるとアムステルダムに行ってしまったらしい。残念。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」



ヨーロッパの美術館で日本と違うところは学芸員の少なさと、仕事してる感の無さである。ほぼみんな座ってスマホいじってる。休んでる観光客かなと思ってたら学芸員だったみたいなこと、めっちゃある。
スーパーの店員も椅子に座っているし、これくらいの気楽さは日本にあってもいいような気がする。スマホは微妙だけど。

見たい作品を一通り見て、ちょうどお昼時。
元々近くにあるアンジェリーナというお店に行こうとしていたが美術館の中にも店舗があり、しかもすんなり入ることが出来た。ここは知り合いのフランス人に教えてもらったお店だがガイドブックにも載る超有名店。コーヒー味のモンブランが一番人気らしい。私たちもそれに倣ってモンブランとコーヒーを。
しっかり濃厚、もったり重めのペーストで美味しい。コーヒーも栗もどちらも負けておらず、今まで食べたモンブランとは一味違う感じだった。ケーキ一つでお昼代わりなど少し不安でもあったが、さすがヨーロッパサイズ。これ一つで満腹になった。

アンジェリーナのモンブラン


お腹を満たした後は午後のヴェルサイユ宮殿へと移動。宮殿は市内から少し離れているのでまた列車で少し揺られる。

ヴェルサイユ宮殿は「〜の間」がたくさんあり、そこで勤めていた使用人の多さや用途によって部屋を分けていく潤沢な資金や豪華な生活を感じた。
同じ人間でも生まれた時代や場所によって全く違う生活を送っていて、私からするとここが家で生活の場であるということが全く信じられない。しかし確かにそこに歴史はあって、ここに生きた人がいたということ、ここで命を落とした人がいたということ。話してみたらどんな人だったのだろうと、叶うわけもないが少し想像した。

豪華絢爛なヴェルサイユ宮殿を夕方には後にして、市内に戻り最後の見学スポットであるエッフェル塔へ。

パリのシンボル。
ここでも天気は良く、夕方の晴れた空によく似合っていた。

エッフェル塔


実はヴェルサイユ宮殿に向かう列車の中で予定を巻けばジャックジュナンというチョコレートショップに行けることが分かり、そのつもりでエッフェル塔を後にし向かったが、まさかの休業していた。お店のガラスにあった貼り紙をGoogle翻訳すると、この旅で一番まともな日本語に訳されてちょっとムカついた。
しかしそれ以外は全て完璧。完璧だからこれ以上欲張るなということかなと落ち着けて、夜ご飯に向かう。

フランスではクレープやガレットをよく食べると聞いていた。おやつとしてはもちろん夜でも軽い食事として食べるのだそう。
知り合いが繋げてくれたフランス人が、事前におすすめのガレット屋さんを教えてくれていた。向かってみると雰囲気も良く現地人しかいない穴場のお店らしく、とても良かった。大きなガレットだったが味が美味しくてペロリだった。また食べたい。きちんとしたお店で食べるのはここが最後。

お店はモンパルナス駅付近にあり、聞いていた通りこのあたりは治安が良さそう。飲食店も落ち着いた雰囲気で、立ち並ぶアパレルショップやスイーツのお店も明るく綺麗。もう少し時間があればこのあたりで買い物もしたかったな。

名残惜しさを感じつつホテルに帰る。

明日になれば早朝に出て空港に向かわなければならない。

たくさんのお土産をパズルのようにスーツケースに詰めながら、あっという間のヨーロッパ旅行を振り返る。家に帰るまでが旅行ではあるけれど、あまりにも早く最終日が来てしまったことを驚きつつ、こんなにも充実した10日間を過ごせたことに感謝しながら荷物をまとめた。




私にとって初めての海外旅行。

英語も大して出来ないのに一丁前にヨーロッパに憧れがあり、大学卒業の記念についに叶えることができた。初海外、しかも女ふたりでヨーロッパって大丈夫なのと心配もされ、実際「今スリ狙われてるな」の瞬間はあったし、夜道に路上駐車している車の横を歩くのは怖かった。しかし事前に色々と調べ、対策もし、楽しみながらも周りに気をつけていたので無事全ての工程を終え帰ってくることができた。

行く前から本当にたくさんの友人知人に情報をもらい、そのおかげでガイドブックに劣らないしおりができた。人脈は人脈を呼ぶのだなと思ったし、集合知は強い。たくさんのピンがついた私のGoogleマップはそこらの案内サイトより有能になった。

助けてくれたのは友人達だけではない。
現地では右も左も分からない私たちに多くの人が声をかけてくれ、笑いかけてくれた。あのときバス停を教えてくれたおじさんがいなければ、改札を通れるようにしてくれたおばさまがいなければ、駅まで一緒に歩いてくれたお姉さんがいなければ、私たちはここまで充実した旅行にはできなかったかもしれない。もちろん沢山調べていたし自分たちでもどうにかしようと尽くしていたが、異国の地の旅行ではそれでもカバーしきれない部分はどうしてもあって、結局そういう時に頼れるのは人である。私たちの拙い英語を理解しようと耳を傾けてくれ、身振り手振りで説明してくれた全ての人に最大の感謝を。愛してます!

そしてこの旅行に誘ってくれ、たくさん調べ、一緒に走り抜けてくれた友人にも。
旅行に誘うことは、私にとってはある程度のハードルがある。一日中どころか数日間一緒にいれば、疲れたり機嫌が悪くなったりもする。そして私にはその自覚がある。信頼があってお互いにある程度許容できる関係性でなければ、楽しい旅行にするのは難しい。一緒にヨーロッパに行こうと誘ってくれた時点で私は彼女からの信頼を感じ嬉しかった。準備しているときも現地にいるときも、私の面倒くさがりでだらしない部分をカバーしてくれたのは彼女の堅実で細やかな気遣いであった。ありがとう。初めての海外旅行を君と一緒に行けて良かったです!LOVE!


あーー楽しかった!

ここまでこの旅行記を読んでくれた人、ありがとう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?