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兄貴

会社で私が「兄貴」と呼ばれるようになってからだいぶ月日が経ったが、いまだにこの兄貴という呼び名に慣れていない感があるのは否めません。年齢的にはたしかに最年長者に当たるので間違いではないのは事実として…。

実際の私はというと二人兄弟の弟で、しかも兄の後ろをいつもついて周るような弟の中の「弟」。これまで気持ち良く、このぬるま湯の中で生きてきました。

そういう私にとって「兄貴」という呼び名は、ストレスとは言わないものの居心地の悪さという点では程よい刺激になっており、個人の成長という面では必要な緊張感でもあります。

呼び名をつけてくれたのは社歴では後輩で、年齢では年下の私の上司になります。私自身がこのネーミングを喜んでいるかどうかは別として、彼が私を兄貴と呼ぶようになったのにはそれなりの理由があってのことだと思います。

最近ではこの「兄貴風邪」が社内でも広がり、後輩の末端に至るところまで(人にはよるが)「兄貴」と呼ぶ声が広がってきました。

先日、新卒で入社した2年目の若手と飲む機会があり、「兄貴に一つ言いたいことがあります」というので、なんだなんだと言いつつも聞き耳をたててみると、「入社前はあんなにフレンドリーで愛想も良かったのに、入社をした後は丸っ切り関わりがすんと無くなり正直寂しいです」というものでした。

メッキの兄貴が剥がれていることをズバリと射抜かれたというところで「こりゃ、いかん」となる訳です。この時になって気付くのではいけないわけですが、もはや私は面倒を見る側に立ち、弟からは脱却をし、期待値以上の兄貴に変化していかなければなりません。

かと言って、素直に期待値に見合ったキャラを目指すようなタイプではありませんが、自分らしさの延長にある「兄貴」という象徴にはもっと近づいていかなければならないのだと思うのでありました。






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