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お母さんは、彼女である。


「じゃあね、、。」2020年の夏。2LDKの一室から、この家の3分の2の量に値するであろう荷物を車に積んでカノジョは出て行った。

そう、ボクは今この瞬間、同棲に失敗したのだ。

人間には「男性・女性・母性」3つの性があると、何かの本で読んだ事がある。

男は一生、男性でいたいが、カノジョはいずれ母性になる。ボクがそのまだ見ぬ母性に甘えて、家事全般を仕事を言い訳に、自分ではやっているつもりで、カノジョに負担を強いていた事がボク達からこのコロナ禍に関係なくソーシャルディスタンスをとらせたのは明白だった。

2年近くの同棲生活。時間にして計算したら約6億秒ほど一緒に過ごしていたらしい。子供の頃、湯船に浸かるのが苦手だったボク君は「あと10秒数えてからでなさい!」と、母に言われた10秒すら永遠に感じていた事を思い出すと、改めてとんでもない時間を一緒に過ごしたんだなぁと、しみじみする。

だが、「もう、俺ら、ダメでしょ。」この別れの言葉を言って関係が終わるには2秒しかかからないのだから、これまた不思議なもんだなぁと、しみじみする。

ボクが同棲を経験して得た教訓はこれだ。

「男は同棲すると、カノジョはお母さんになる」※あくまでもボクの持論である。

やはり人間弱いもので、家の中ではふと、気が抜けるとカノジョをレディーからマミーとして扱ってしまう。要は甘えてしまうのだ。

血の繋がりもない男にそんなモノを求められたらそれは嫌になるに決まっているだろう。

そこで、一つの仮説が浮かんだ。


「じゃあ、お母さんをカノジョのように扱えばいいんじゃねぇかなぁ。」

言い忘れていた。ボクはけっこうバカなのだ。

カノジョをお母さんとして扱ってしまうなら、いっそのこと、お母さんを日頃からカノジョのように扱えば、気を抜いても結果的にカノジョをカノジョとして扱えるのではないか。という、

「サメは年間5人くらいの人間を食べるが、ココナッツは年間150人くらいの人の頭にぶつかって命を奪うのでココナッツはサメの30倍凶暴である。」という理論くらい乱暴な仮説を立てたので、試しに「何でもない日に突然のプレゼント作戦。」をやってみたのだが、これが案外バカにできないくらい効果があった。
※別れてから1年が経とうとしてる今現在、彼女はいないので効果があるというには嘘になる。

お母さんだって、女性だ。今は母性かもしれないが、ボクと同じくらいの年齢の時は普通にボクと同じように恋をしていたのであって、息子といえど男性に女性扱いされるのは悪くないらしい。

僕があげたスターバックスで買った500円ほどのケーキを、今年で50歳になるおばさんがあの手この手を使い、色々な角度から写真に収めていたところを見るとかなり嬉しかったのだろう。

結果的に、今現在、カノジョとの同棲生活の失敗という経験からボクが少しだけ幸せにできた女性は、お母さんだけなのかもしれない。

「まぁ悪いことじゃないし、いっか。」と、この記事を書いていたら気分が良くなってきたので今度は前好きだと言っていたチーズケーキでも買いに行くとしよう。

あー、彼女ほしい。

#あの失敗があったから

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