風、紙と水。
AIR最終日。この滞在ではこの間に制作した作品を一点寄贈します。
万年筆による絵のある和紙と繋がる木片と金輪は、この宿で採集した桶の破片です。サウナを案内してもらった際、バラバラにほどけた古い桶が、そのままそっと置かれている光景に出会いました。水を汲む役割とそこに流れた時間をその身の跡に刻み、箍(たが)のはずれた美しい欠片。
湖北には130体以上の仏像があり、住民が心を込めお世話しているそうです。中でも長浜市高月町は「観音の里」と呼ばれます。
渡岸寺観音堂へ訪れた際、長浜の方に頂いた古い台帳用の和紙に、その場で描かせて頂いた十一面観世音菩薩像。私はしばし呆然とし、あの桶を思い出しました。
繋いでいる紐は、その和紙を宿の方と私で一人一本ずつ捻り、結びつけたものです。
これで一旦レジデンスは完了です。が、日に日に興味が増し、また行く理由ができてしまう場所でもありました。湖北はまたいつか。
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