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「門と龍」多層ガラス絵(2層)

前回描いたドローイングなどから、作品の指針が見えてきたので、描いてみることにします。
 目の前の古びた門と、歴史の龍という異なる現実を、2層で表現する予定。

 国昌寺の開かずの門の伝説では・・・
 昔、見沼ではしばしば湖面をのたうち回る龍がいたため、日光東照宮の「眠り猫」で有名な、左甚五郎に木彫を彫ってもらい、寺に納め釘を打ち込んでおいた。しかし、葬列がその門を潜り抜けた際、棺が軽くなったので開けて見てみると、なんと中身が食べられていた。それから寺では門を開けなくなった、とのこと。

龍、掻き出し。

 ぬっと暗闇から出てくる感じにしたいので、奥の方はフェイドアウトの描画。

門。こちらも掻き落とした後、着彩。

 門は古びた杉戸の質感、菊花紋章や金具(八双金物というのを知りました。)の少し古色のある金色、乳鋲等の緑青の雰囲気なども表現したい。

重ねる。

 それぞれを描いた後、重ね合わせて一つの作品に。

 釘打ち龍の伝説のもう一つ、大門神社の愛宕社は元は円福寺の境内にありました。円福寺は不動明王が本尊で、明治四年に廃寺に。現在は大門神社にありますが、要はもともとは見沼の田を荒らす龍だったという事です。
 ちなみにこちらは雌雄二匹の龍で、五寸釘を打ちこんだところ洪水が亡くなったそう。

 国昌寺も愛宕社もどちらに伝わる伝説も酷似しています。
 その理由として、
 ・見沼の東岸を、日光御成道が通っていること→大崎と大門はこの道に隣接しているという環境的要因。
 ・大雨時の排水不良によって発生した耕地の水没「水いかり」が見沼代用水開削後、発生しなくなった変化を龍への崇敬の念によって説明。
 ・曹洞宗の寺院が、地域で発展していく際、民衆教化の為、地域信仰を取り入れた。

などが考えられる。
 参考文献「見沼の龍神と女神」宇田哲雄著

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