2022/08/14(日)

彼女が友人三人で日帰り温泉に出かけた今日を、僕は軽めの二日酔いで目覚めて、冷蔵庫で冷やしておいた水を飲むところから始めた。ベランダに出るとほのかに雨の匂いがして、でももう降っていなくて、植物たちの土は乾いていた。

「二日酔いの僕よりも飲むね、みんな。」

水は土を黒く潰しながらぐんぐん奥底まで染み込んでいった。果てしない砂漠はその面積だけでなく、深さも終わりがないのだろう。こんな風に染み込むくらいの雨が降ったら、いいなぁと思った。が、砂漠は砂漠としてずっと存在していたわけで、返って迷惑な話かもしれない、とも思った。

「いっぺんに世界中を幸せにすることはできない。」

昨日僕を幸せにしたお酒は、今日の僕を叩きのめそうとしていた。

「そういうことじゃない、ね。」

昼食に唐辛子をたっぷり入れたパスタをさくっと作ってもりもり食べ、分厚い文庫本に疲れた腕を揉みながら一眠りした。

彼女がいない、何の連絡もないまま家で過ごす1日は長く、しかしすぐに過ぎていく。

ベランダから見える幹線道路は車が少なく、日曜日であることとお盆であることを静かに教えてくれていた。

ぬるくなった水を飲んだ。

彼女の好きな玄米を早めに浸水させる。

いてもいなくても、彼女と生きていくことに変わりなんかなくて、人生っておかしなものだなと呟いた。

二日酔いはもうだいぶよくなっていた。

・・・

今日も夜が来ました。

Good night.

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