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王位継承──ヨーロッパで何が議論されたのか

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ヨーロッパでは、20世紀後半から王位継承法が変わり、女王容認、絶対的長子相続への変更が進みました。これらの動きに呼応して、日本でも女性天皇容認、女系継承容認論が唱えられていますが…
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#ジェンダー

「男女平等」か「ジェンダー平等」か──イギリス王位継承ルール変更の「パンドラの箱」(令和6年5月31日)

「男女平等」か「ジェンダー平等」か──イギリス王位継承ルール変更の「パンドラの箱」(令和6年5月31日)

2013年イギリス王位継承法は、「王位継承をジェンダーによらない(not depend on gender)ものとし、王族の婚姻に関する規定を設ける等の法律」という長文題名がついているように、「ジェンダー平等」を明確に謳っている。〈https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2013/20/enacted

ところが、以前、紹介した河島太朗・国会図書館主任調査員の翻

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王位継承ルールの「変更」を検討したイギリス下院特別委員会報告書──伝統主義を捨てたのか(令和6年5月19日)

王位継承ルールの「変更」を検討したイギリス下院特別委員会報告書──伝統主義を捨てたのか(令和6年5月19日)

イギリス下院の政治・憲法改正特別委員会(Political and Constitutional Reform Committee)は2011年、政府(キャメロン内閣)が提案する王位継承ルールの変更を検討し、報告書をまとめた。委員会で何がどのように議論されたのか、あるいは議論されなかったのか、同年12月に発行された報告書をもとに、概要を以下、紹介する。

委員会のメンバーはグラハム・アレン議員(議

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「王朝の支配」を吟味しないブラックバーン教授の調査報告書(令和6年5年15日)

「王朝の支配」を吟味しないブラックバーン教授の調査報告書(令和6年5年15日)

イギリス下院の政治・憲法改革特別委員会の報告書「Rules of Royal Succession, Eleventh Report of Session 2010–12」(2011年12月)に、ブラックバーン教授(キングズ・カレッジ・ロンドン。憲法学)の調査報告書(同年11月)が載っている。

同年10月のパース協定(Perth Agreement)以後、イギリス国内では王位継承に関して、どのよ

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キャメロン首相はゲイ・コミュニティに訴えた──ピンクニュースを読む(2024年4月24日)

キャメロン首相はゲイ・コミュニティに訴えた──ピンクニュースを読む(2024年4月24日)

イギリスに、LGBT+コミュニティ向けのオンライン新聞、ピンクニュース(PinkNews)がある。設立は2005年。月間1億5千万人以上がアクセスする、世界最大かつ、もっとも影響力を持つメディアを自認している。

ピンクニュースで「David Cameron」を検索すると、2389件(4月23日現在)の記事がヒットする。そのなかのいくつかを読んでみると、創刊以来、ゲイ・コミュニティがキャメロンを熱

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