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王位継承──ヨーロッパで何が議論されたのか

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ヨーロッパでは、20世紀後半から王位継承法が変わり、女王容認、絶対的長子相続への変更が進みました。これらの動きに呼応して、日本でも女性天皇容認、女系継承容認論が唱えられていますが…
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#イギリス

「男女平等」か「ジェンダー平等」か──イギリス王位継承ルール変更の「パンドラの箱」(令和6年5月31日)

「男女平等」か「ジェンダー平等」か──イギリス王位継承ルール変更の「パンドラの箱」(令和6年5月31日)

2013年イギリス王位継承法は、「王位継承をジェンダーによらない(not depend on gender)ものとし、王族の婚姻に関する規定を設ける等の法律」という長文題名がついているように、「ジェンダー平等」を明確に謳っている。〈https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2013/20/enacted

ところが、以前、紹介した河島太朗・国会図書館主任調査員の翻

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男子優先の王位継承ルールとは何だったのか? 歴史的検証が微塵も見当たらないイギリス下院特別委員会議事録(令和6年5月29日)

男子優先の王位継承ルールとは何だったのか? 歴史的検証が微塵も見当たらないイギリス下院特別委員会議事録(令和6年5月29日)

イギリス下院の政治・憲法改革特別委員会は2011年、王位継承ルールの変更について検討し、同年暮れに報告書をまとめた。その内容は、①男子優先から絶対的長子継承へと変更し、②カトリック排除の規定を廃止することを歓迎するというものである。

興味深いのは、すでに書いたように、報告書本文を読むかぎり、男系主義で続いてきた王位継承の意義について検証した形跡がないことだ。王位、王権、王朝の意味や男系主義との関

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大変革のときを迎えたイギリス王室──男女平等継承どころではない(2011年10月15日)

大変革のときを迎えたイギリス王室──男女平等継承どころではない(2011年10月15日)

 報道によると、イギリスのキャメロン首相は、イギリスの王位継承の制度を男子優先から長子優先に変更する手続きに着手したと伝えられます。
http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011101301000073.html

 1701年制定の王位継承法は男子優先を定めていますが、これを改正するには、イギリス国会で改正を進めるだけでなく、イギリス国王を元首といただくイギリス連邦

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