マガジンのカバー画像

天皇の祭りの「米と粟」

22
神嘉殿で行われる宮中新嘗祭、大嘗宮で行われる大嘗祭で、もっとも重要な神饌は「米と粟」の御飯(おんいい)です。なぜ「米と粟」なのか、なぜ「粟」なのか?
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

粟餅を食べたら、ふたたび疑問が湧いてきた──粟の御飯の調理法(令和4年12月26日、月曜日)

粟餅を食べたら、ふたたび疑問が湧いてきた──粟の御飯の調理法(令和4年12月26日、月曜日)

年内最後の実験を試みた。

国産のもち粟を使用し、12時間吸水させたのち、今回はお茶の粉末を入れ、よくかき混ぜて、炊飯器の白米おこわモードで炊いた。炊き上がったら、すりこぎで餅につき、半分はそのまま丸め、残りは粒あんをつき入れてから丸めた。

画像の手前が前者で、奥が後者である。粒あんをつき入れたのは、神武東征のおりに作られたという「つき入れ餅」の故事を思い出したからである。にわかに船出することに

もっとみる
神道学への疑問。なぜ「粟」の存在が見えないのか?──真弓忠常「大嘗祭」論を読んで(令和4年12月4日、日曜日)

神道学への疑問。なぜ「粟」の存在が見えないのか?──真弓忠常「大嘗祭」論を読んで(令和4年12月4日、日曜日)

新嘗祭・大嘗祭は明らかに「米と粟の祭り」である。先々週、宮中の聖域で行われた新嘗祭で、陛下は神前に「米と粟」の新穀を供饌され、直会されたはずである。神事のあり方は古来、変わっていないはずである。

ところが、正確な情報を社会に提供しているはずの神社検定の公式テキストや著名神社の宮司を歴任した神道学者までが、新嘗祭=「稲の祭り」説に固まっている。そのため、前回、書いたように、これらを参考文献とするS

もっとみる