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御代替わりの儀式──践祚、大嘗祭そして改元まで

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平成の御代替わりでの議論は徹頭徹尾、政教分離がテーマでした。そして令和の御代替わりもまたしかりでした。天皇がなさる儀礼には宗教性があるということなのですが、それは如何なるものなの…
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2023年1月の記事一覧

「天照大神、また天神地祇、諸神明」を祀る天皇の「資格」(令和5年1月15日、日曜日)

「天照大神、また天神地祇、諸神明」を祀る天皇の「資格」(令和5年1月15日、日曜日)

知り合いの経営者と皇位継承について、ちょっとした議論をした。「愛子さんは天皇になれないのか? 愛子さんで良いではないか?」と言う。「そのあとはどうなるのか?」と聞き返すと、返答に窮している。「愛子さま天皇」の是非で、思考が止まっている。

「愛子内親王が継承すれば、あとは女系化することになる」と指摘すると、「それで良い。日本を変えよう」と来た。要は、安易な気分優先の革命論である。それで良いのかどう

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大嘗宮の神座に座す神(令和5年1月2日、月曜日)

大嘗宮の神座に座す神(令和5年1月2日、月曜日)

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

さて、昨年来、大嘗祭・大嘗宮の儀の神饌御親供の実態から、天皇による「米と粟の祭り」の意味を考えてきた。テキストに使用したのは、真弓常忠・皇學館大学名誉教授の『大嘗祭』である。考察を深める過程で、ひとつの大きな謎として浮かび上がってきたのは、先生が問いかける、大嘗宮の神座である。中央に置かれた神座はただひとつ、そこに座するのは如何なる神

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記紀神話から読み解く大嘗祭論の限界(令和4年12月31日、土曜日)

記紀神話から読み解く大嘗祭論の限界(令和4年12月31日、土曜日)

大嘗祭の「粟の御飯(おんいい)」を再現する実験を繰り返し、真弓常忠・皇學館大学名誉教授の『大嘗祭』をテキストにしつつ、「米と粟」が捧げられる意味について考えてきた。

今日は大晦日なので、ここでひと区切りとしたい。

真弓先生の大嘗祭論は、事実に基づいて考察しようとしている。祝詞の文面、古典の記述を客観的に踏まえようとしている。しかしもっぱら「米」にばかり捉われ、大嘗祭、新嘗祭で「粟」が供される事

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