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背骨のアーチと筋トレ【1】~カーブの数の二乗+1~


筋トレという言葉があります。


これは筋力トレーニングの略称で、筋肉を強化するものです。


代表的なものには、腕立て伏せや腹筋などの自体重を使ったトレーニング、またダンベルやバーベルなどの重さを使ったウェイトトレーニングがあります。


ピラティスやヨガという言葉も聞いたことがあるかもしれませんが、これは端的に言えば健康体操法で、筋トレとは少し違いますが、「筋トレ」という側面が全く無いわけではありません。

(※先生や団体によっては、筋トレという側面は全く無い、という方もいるかもしれません)


ピラティスやヨガの主目的は「調和のとれた体操(=体を操る動作)を行えるようにし、心身を含めた身体自体へも調和を持たせること」になります。


筋トレは、ふた昔前は「とにかく筋肉を鍛える」という風潮が強くあったと思います。
最近では筋トレ自体も発展してきて身体の調和を踏まえている印象もありますが、まだまだ一般的ではないかなとも感じます。


さて前置きが長くなりましたが、今回は背骨と筋トレ、特にウェイトトレーニングのお話です。


イメージとしてはバーベルを肩に担いだ「バックスクワット」を思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。


重さを扱うウェイトトレーニングは、その重さの下(物理的に下とは限りませんが)にあるものを良くも悪くも、何でも強化してしまいます。


つまり身体はその重さに耐える形で、筋肉の発火や肥大、骨格のたわみ、関節の圧迫、また呼吸のパターンまでも適応させようとするからです。


ウェイトトレーニングであれば、これは高負荷であるほど顕著にその効果を出しますし、トレーニングではなくても日常的に繰り返し行われる動作や習慣の力は強力ですので、それでも適応、形成されます。


これを聞き慣れた言葉ひとことでいうと「クセ」です。


背骨は身体の軸骨格であり大黒柱でありますが、基本的にはウェイトトレーニングの時も同じことが言えます。


この背骨には一次湾曲と二次湾曲と呼ばれるアーチがあり、それらがS字のカーブをつくっています。


背骨の強度は「カーブの数の二乗+1」になるといわれているので、それに単純に当てはれめば、背骨がまっすぐな一本だと強度は1、カーブが3つあると強度は10となります。


バックスクワット、肩にバーベルを担ぐタイプのスクワットであれば頸椎を除く二つのカーブですので、単純に考えれば強度は5になりますね。


このことは、「背骨のカーブが適正で無いと高負荷のトレーニングが行えない」と言い換えられます。


そしてもう一つ非常に大切なことは「単純に頸椎を除外して考えてはならない」ということです。


構造力学的な考え方でテンセグリティというものがあります。
これは引っ張る力=張力が相互に関連し合うことによって3次元的な構造物を成り立たせるものです。


まだまだ研究段階であるようですが、背骨や筋膜もテンセグリティで調和がとれているとする考えがあります。


肩にバーベルが乗っているから、脊柱の強度は頸椎を除いた強度で5になる、という考え方ではなく、身体を一つのユニットとしての考え方が重要になります。


もちろんこれにも善し悪しがあるでしょう。


(背骨のアーチと筋トレ【2】~美しいスクワット~ )



染谷 清行

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