ある社長さんとのおはなし
いまの職場でとっても頼りにしている方が今月いっぱいで退職するという事実に内心ひどく不安&ガッカリしている猫目です。みなさま、こんばんは。
きょうは先日、ある経営者(観光業)の方とお話ししたときに「なるほどな」と胸を打たれた内容を断片的にご紹介しようと思います。
その方はいつも猫目にひらめきと勇気を与えてくれる、尊敬する経営者のひとりです。
経営者は弱音を吐けない
まずはこれ。経営者はかんたんに弱音を吐けないよねというお話です。じつは猫目は以前その方の会社で働いていた従業員のひとりなのですが(現在は文章のご依頼をいただいて繋がっています)、当時社長は笑顔を絶やさずスタッフに接しており、しかも毎日のように目標を高く掲げておられました。
きっと今でもそうなのでしょう。
その頃、猫目が社長に抱いていた印象は”心の折れない強いひと”です。ちょうどコロナの打撃もあって売り上げが芳しくない時期でした。
飲食店や観光企業などがつぎつぎと経営難でお店のシャッターをおろしていくニュースがあとを絶たない最中、わが社長はけろっとした顔つきで、いささかの憤りや不安もこぼさずに「今日の目標」「今週の目標」「今月の目標」といった具合にひたすら前向きにあかるく目の前の課題(あるいは未来の課題)に取り組んでいました。
その姿は控えめに言ってかっこよかったですし、おかげで働いていて不安を感じることは一切ありませんでした。
これって相当すごいことだと思うんです。
・いま飲食店はあぶない
・いつ沈没してしまうか知れない
・この船に乗っていたら危険だ
そんなふうに不安が頭をよぎったことはただの一度もありませんでした。それもこれも社長の勇ましい姿勢にあったのだと思います。
そんなわけで
猫目は、てっきり社長は”なにか問題や悩みごとがあってもすぐに解決あるいは吹き飛ばしてしまうひと”なのだと思いこんでいたのですね。
しかし考えてもみてください。
世の中にそんな鋼の精神を持った人間がいるでしょうか?
そう、いないんです。
今回こうしてご一緒にお話をさせていただいて明白になったのですが、当時、社長はかなりの焦燥を感じていたそうです。それでもスタッフ(ひいてはその家族)を路頭に迷わせるわけにはいかないという精神のもと、ヒヤヒヤしながら、あれやこれやと策を考えては行動に移していったというのです。
さらに社長は数字の可視化に努め「日」「週」「月」の売上をスタッフ全員と共有していました。そうすることで現在地(置かれている状況)を把握し、より団結しながらみんなで目標にむかって進んでいくことができました。
このとき、猫目は改めて数字の強さを実感しました。数字にはひとを動かす力が秘められているのだ、と。
見事、売上が目標金額に達成したときの嬉しさといったら! むしろスタッフのほうが社長より喜んでいたのではないでしょうか。
ともあれ、社長はそのあいだずっと耐えていたわけです。スタッフ、支えてくれている家族、経営者の友人に弱音ひとつ吐きださずに。
いえ、弱音ひとつ吐きだすことを許されない状況の中で、といったほうが妥当でしょうか。
それは現在も変わらないといいます。それから、ほとんどの経営者は弱音を吐きだせない状況にあるのだともおっしゃっていました。
ただ、中にはうまいタイミングでカードを切って弱音をいえる経営者もいるのだとか。
なるほど。猫目の住んでいる世界とはまったくちがった世界で生きているのだなとひしひし感じました。
人間は本来とても弱い生きものです。にもかかわらず、こうして”強い自分”でいつづけることの強さに猫目は胸を打たれずにはいられませんでした。
ファンづくり
企業を安定して継続、あるいは成長させるためにもブランディング(企業をブランド化して他社との差別化を図ること)やファンづくりは極めて重要だと社長はいいます。
そこで浮上するのが”どこからファンをつけるのか”という問いです。
最近では○○書店の社長がオススメするX本よりも、○○店舗のアルバイトスタッフ田中さんがオススメするY本のほうが売れると聞きます。
(これは、とにかく本が好きでたくさんの本を読んでいるという田中さんの言葉の信憑性が高いということがあげられます。と同時に、より身近で親近感を覚えるというものひとつの理由でしょう)
そこで、猫目は訊ねました。
「いったいどこからファンをつけたらいいんでしょうか?会社なのか、それとも個人なのか?」
その問いに社長は一も二もなく即答しました。
「いや、どれでもいい」
ほう。どれでもいいんだあ。例にもれず猫目は口をあけ放ち、阿呆顔でさらに深堀りします。
「といいますと?」
「会社でも個人でも、その土地でも、ファンを集められるのならどれでもいいんですよ。肝心なのは内容であって順番じゃないんです。つまり個人が先でも会社が先でもいいということですね」
なるほど。猫目は阿呆面を保持してひっきりなしにうなずきました。
「だって個人にファンがついてくれたらそれは=会社としてのファンにもなるわけだし、会社にファンがついてくれてもそれは変わらないですよね。むしろ個人にファンがついてくれてこそ会社の株もあがります」
たしかに。
水族館に足を運ぶのはイルカに会いにいくのが目的なのか、それとも水族館自体が好きでそこへ足を運びつづけているのか。たしかに順番はどちらでもいいのかもしれません。あるいはその両方があって水族館のファンになっているのかもしれない。
「あくまでキッカケはキッカケということですね。大事なのは中身であって順序はそれほど重要じゃないんです」
はい。
「そこを気にしていたら、なんていうか、こだわりすぎて逆に動きにくいんです。会社としてもそこで働く個人としても、ただ共通した目的を持っているというのは大切ですよね」
後半、猫目が馬鹿の一つ覚えと思わしき「なるほど」と「たしかに」しか口にしなかったことはここだけの秘密です。
つながり/人脈
さいごに人と人とのつながりについてお話します。
結局のところ、企業を成長させるのも、ファンを増やしていくのも繋がりを持つことが第一だといいます。
人脈をつくるにはとにかく行動あるのみ、と社長はいいます。いまの時代はオンラインが主流となるケースも多いけれど、結局は対面で会って話して(飲んで🍺)といったふうに肌感でのつながりを持つほうがはるかにその糸は強いのだとか。
たしかに猫目もそれは感じていました。
「オンラインは事をスムーズに進めることができるし、会議をするにしたって効率がいいですよね。けど、雑談はそれほど生まれない」
この雑談にこそ、人と人のつながりを深める最大の鍵だそうです。
「だから自分はチャンスがあれば、とりあえず会って話すようにしてますね」
そうしてじっさいに行動することで、ひょんなつながりを得ることができるのだとか。一つひとつの出会いを大切にしていくことが企業ひいてはファンを増やすことに直結する。そのためにはまず行動。誘われたらすぐに駆けつける行動力を持つことが肝心なのですね。なるほど。
・・・と、いうことで今回は尊敬する社長さんとのお話をもとに執筆させていただきました。企業を経営している方とお話する時間は猫目にとって非常に有意義でたのしいひと時です。今後もあたらしい発見や気づきがありましたらこちら(note)に書き記していきたいと思います。
本日もさいごまおつき合いいただき、みなさん、ありがとうございました!
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