見出し画像

日常雑記:春、別れの季節。

3月下旬。
この時期、私の職場では毎年職員の異動がある。

この職場に赴任して丸3年になる私。
今年、私に異動辞令はなかった。

昨年9月に一緒にロビーコンサートをやったピアノのY先生、クラリネットのK先生は異動となった。
ロビコントリオは解散だ(音楽教室じゃないよ笑)。

そして、私の直属の上司も。

ここぞというときに、大変頼りになる上司。
私が今までに出会った上司の中で、一番信頼の置ける方だった。

人事発表の翌日。
私はその上司の部屋に呼ばれた。

「ご栄転、おめでとうございます...でも、私は残念でなりません。私のチームスタッフのみんなもそう言っています。」
私は上司に、正直な気持ちを話した。

上司、やや困ったような表情をした。
「私も本当に残りたかったんだ。でも、許してもらえなかった。心底残念な人事だよ。」

上司は独身で、自宅で認知症の母親の介護をしている。この職場は上司の自宅から近く、通勤面からも良かったのだそうだ。

「次の職場に夜先生はいないし、ね。出来れば、一緒に連れて行きたかった。」
言って、上司は顔をしかめた...泣きそうなのだ。
「部長...。」
私もつられて泣きそうになった。

上司、ふと視線を下げて、引き出しから一枚の紙を取り出した。
「ココに来てもらったのは、これを渡すためだよ。昇給辞令です。」

この時期に?通常の昇給辞令は1月だ。

「辞令なら1月にいただきました。しかも、少し多めに昇給していました。」
「アレはお小遣い程度だろう。今回のは特別昇給だ。生活の足しになるくらい出る。」

上司が差し出したソレを、私はうやうやしく両手で受け取った。
見ると、号俸が面食らうほどUPしていた。
驚いた私、思わず上司を振り仰いだ。
上司、ニヤリとする。

「夜先生には、最前線でかなり頑張ってもらった。ありがとう、お世話になりました。
来年度もこの現場をどうぞよろしくお願いします。」

上司、私に向かって深々と頭を下げた。
私も慌てて礼をした。
「こちらこそ…本当にありがとうございました。」
言いながら、白衣の袖で涙を拭いた。

           ★

研究会幹事のY先生から電話があった。

Y先生は市研究会会長の選考役員。
その選考経過報告だった。

報告によると、驚いたことに私は最終選考に残っているという…なんてこった。

委員の中には、私を会長に、しかも地方代表にするにはまだ若すぎてもったいないという意見があるようだ。正論だと思う。

Y先生からまた「引き受ける気はあるのか、考えを聞きたい。」と言われた。

もちろん「No .」と即答した。

Y先生は電話の向こうで笑った。
「わかったよ。最終選考は4月中旬だから、その頃オレから連絡がなければ、残念ながら・・・・・落選ということで。」

「じゃあ、次は夏に電話ちょうだい。」
私も笑った。

今年のお盆の頃は、私はどうしているだろう?
今からもう待ち遠しい。




この記事が参加している募集

仕事について話そう