ザスパクサツ群馬のスタジアムまでの道のりが、凡ミスのおかげで忘れられないものになったお話
「春眠暁を覚えず」とはよく言ったものでして、冬が終わりの気配を見せて少し暖かくなってくると朝寝坊はおろか、日常の至るところに眠気と不注意が入り込んできて、許すまじ凡ミスとバグをそこかしこで繰り返します。
今回の旅のお話は、春眠暁を覚えなかった35歳の男が、旅路のいたるところで凡ミスを繰り返すという、何とも春暁な珍道中でございます。前後編2記事でお送りします!
凡ミスその1・予約した宿がすっごい山奥
2022年12月にカタールワールドカップを控え、開催が少し早くなった2022年の明治安田生命Jリーグ。お仕事の関係で開幕節は直接現地に見に行けなかったものの、第2節はどこかのスタジアムに行きたいと思い、ザスパクサツ群馬の試合観戦を決定。前夜に酔っ払いながら良さげな宿を予約しました。
いや、あのね、出発の朝になってビックリしましたよ。今晩の宿はどこだったっけ? そういえば、昨晩じゃらんのサイトを見ながら予約したな。宿の案内には「自然の静寂に包まれながら、前橋市の夜景を高台の当館からお楽しみください」。
お、ええやんけ! ナイスな宿やんけ!
ん、静寂? 高台?
市内の夜景を眺められる?
ってことは山奥なんじゃないのか?
前橋駅から20㌔離れてる!!!!!!
20㌔おおおおおおお!!!!
あ?
すでに!!!
クレジット決済してて!!!!!
当日のキャンセル料80パーセントおおおおお!!!!!
朝から絶叫を繰り返してしまいましたが、もうこの山奥の宿に泊まるしかありません。失意のなか、2022年最初のJリーグ旅は幕を開けました。酒を飲みながら宿の絶景写真だけを見て、もう予約はしないことを誓いつつ。
それでも旅に出てしまえば前向きになるもので、せかせかした日常とは違う心持ちになります。道中、赤羽駅に電車が停まれば発車メロディにはエレファントカシマシの『今宵の月のように』が流れます。
赤羽で飲んだ人たちは、地元出身のエレカシの名曲を聞きながらこの駅を後にします。彼ら彼女らは酒場でどんな話をして、どんな感情を共にして、ここを去るんでしょうか。「明日もまたどこへ行く」なんて、これからの自分に不安と期待を抱きながら一日を終えるんでしょうか。
そんな妄想をして勝手に目頭を熱くさせながらも、大宮駅を経由して、群馬県は高崎駅に到着。ザスパクサツ群馬の本拠・正田醤油スタジアム群馬のある前橋市まで後少しです。
駅の改札階では群馬の誇るスターたちがお出迎えしてくれました。左はみなさんご存知の「ぐんまちゃん」。群馬のご当地キャラだから、かわいい馬ってのもなかなか単純にして王道ですね。右は高崎市の名産・ダルマ。先ごろの選挙では一体いくつの必勝ダルマがこの地を後にしたんでしょうか。
よくわからない2トップの歓迎を受けて、電車は一路、前橋駅へ。高崎駅の発車メロディは布袋寅泰の『さらば青春の光』。布袋は高崎出身なんだそうですね。これまた名曲の後押しを受けた若者たちは、社会の荒波に揉まれていくことになるんでしょうね。青春に別れを告げ、「全ては明日の夢に」と漕ぎ出すんでしょう。
本日2回目のよくわからない妄想に目頭を熱くさせながらも、前橋駅に到着。旅程1日目の目的地です。発車メロディはここでも平成初期の「俺たちの名曲かな」と予想しましたが、なんと童謡の『チューリップ』です。作曲の井上武士が前橋出身なんだそうです。
チューリップのメロディではエモい妄想が浮かんでくるはずもなく。ただただ、幼稚園の園庭でお遊戯に励むかわいい園児たちが頭に浮かんできて、今日も思いっきり遊んで、いっぱい食べていっぱい寝ろよという何だかよくわからない親心を抱きつつ、前橋駅改札前でトリッキーなお出迎えをかまされました。
市内で多く出土した、はにわのオブジェです。柔和な表情をしているので、こちらを歓迎しているかと思いきや、「歓迎」などのメッセージは近くになし。ただただ両毛線の案内の横に鎮座しておられます。もしかしたら、ここを訪れる人たちを監視している守り神的な存在なのかもしれません。
はにわさん、滞在は短い間で、特に悪さもせず酒を飲んで帰るだけなので、そんなに警戒しないでください。あと、今日の宿のキャンセル料を0パーセントにしてください……!
凡ミスその2・スタジアムの席を間違える
駅を出て、シャトルバス乗り場に向かうと「この街にはザスパクサツ群馬がある」。熱いメッセージがお出迎えしてくれました。そうです、今日はそのザスパクサツ群馬に会いに来たんです。
シャトルバスに乗り、向かうは正田醤油スタジアム群馬のある敷島公園。利根川の沿岸にある公園なんだそうで、スタジアムの近くに着いたら、防風林らしき松の大群がスタジアムを守っておりました。
利根川の近くということは、ここら一帯は風の通り道になっているんですね。なんでも、今日の試合は強風が予想されるらしく、横断幕を掲げるのはもちろん、なんとタオルマフラーをブンブン振り回すのも自粛を求められるという意外なパークファクターが待っておりました。
松林が守る正田醤油スタジアム群馬。ケヤキやイチョウといった街路樹とはまた趣が違う松の木陰をくぐりながら、スタジアムの中に向かいます。
ここで、本日2つ目の凡ミスを発動してしまいました。普段、試合観戦をする際は、メインかバックスタンドの端っこの席でお酒を飲みながら試合観戦するのが僕なりの流儀なんですが、前夜に酔っ払った僕がとった席はホーム側の自由席! あろうことかホーム自由席! なぜそんなミスをやらかしたのか昨晩の僕は!
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