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道徳授業をアップデートする(4)

◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。引き続き、授業てらすさんの「磨け授業力」からの学びをアウトプットしていきます。教科は道徳。講師は加藤宣行先生です。昨年度から書籍を読み始め、実践に移してきましたが、ようやく加藤先生ご本人のお話を直に伺うことができました。読んで学んできたことが指導を受けて血肉化するとはこういうことかと実感。直に指導を受けるというのはやはり大事なことですね。


1.生命尊重を考える

 今回の題材は命について。「命」の前後に言葉を付け足すとすればどんな言葉が思い浮かぶだろうか?大切な命、命をつなぐ、命をかける…
 では、なぜ命は大切なのか?一つしかないから、限りがあるから、替えが利かないから…
 では、どうしたら「大切にした」と言えるか?「大切にする」とはどういうことか?

 このようにして思考を広げていく。大事なことは以上のような問いに即答できるかどうかである。もちろん即答できない方がよい。「考えたことなかった」「うーんと…」「時間ちょうだいよ!」と声があがるような発問。予め用意された答えを述べるのではない。面接で聞かれたことをスパッと応答していくのとは真逆な、当惑する、それこそ何とか絞り出して自分の言葉で述べる営み…本来社会の中で人と人とのかかわりの中で大事にしなければならないことはこういうことなのだろうと思う。「命は大切なものである」という通念、常識に穴を開けてみる、チクリと針で刺してみる、そんな導入であった。

 あらためて命を大切にするとはどういうことか教材を使って(利用して)考えていく。教材文は『500人からもらった命』。すかさず問う。命をもらうとはどういうことか?文から考える。文に書いてないことにも思考を広げていく。広げていくための発問と問い返し。読めばわかることは問わない。

 空間・時間・仲間の3つの間を意識していく。そのために軸が分かる横書き板書。今回は患者さんを中心にしたウェビングマップ。そこに「自分(達)」が加えられるか。加えられるならば自分(達)にできることは何なのか。ここに行き着きたい。最後にもう一度立ち戻る。命の前後にくる言葉は何か?どうして大切だと言えるのか?命に関わっていこうとする見方・考え方の変容を見られたなら…

2.指導改善の工夫とポイント

 先述した「自分(達)にできることは何か」に気付かせるために教材を利用したい。ポイントは以下である。

  • 子どものよき心にはたらきかける

  • はじめから分かってることは問わない

  • 「そもそも考えたことなかった」状態にする

  • 引き出された気付きを意味付けし、価値観の変容にもっていく

 このためにやはり重要なのが教師の内容項目理解である。「これってこうだよね」今回で言えば「命って大事だよね」というような概念をどう崩していくか。なんとなくわかっていたつもり、知っているつもりが実はわかっていなかった、知らなかった、考えてもみなかったというズレにもっていきたい。子どもの「でも」「だって」「だから」をたくさん引き出したい。

 今回の生命尊重においても視点はたくさんある。たまたま生を授かったという偶然性や神秘性。命は受け継がれていくものだという連続性。たくさん人たちに支えられているという関係性、その人にしかない一度きりしかない唯一性、いつかは死を迎える有限性など。この中からどの観点で命について考えさせたいのか。教師の意図、思いとたしかな理解が必要となってくる。そのためには教材をどう読むか、分析もまた必要である。

 「わかる」知的理解⇒「心が動く」情的理解・実感⇒「よりよく生きようとする」実践意欲の【知情意】を意識したい。変容を見とるために、子どもたちには「~がわかった」「~がいいなと思った」「これから~」の3つをもとに振り返りの視点として提示する。書きながら考えることで子ども自身が自己の変容が分かるだと加藤先生は強調していた。

 考える道徳にするためにまずは教師が考える。これなくして子どもが真に考えることは不可能だろう。

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