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社会科授業をアップデートする(2)

◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。今回も社会科の授業改善を目指して宗實直樹先生の『宗實直樹の社会科授業デザイン』をもとにアウトプットしていきます。
 前回は、そもそも社会的な見方・考え方とはどのようなものか、問いづくりの視点について書きました。


1.振り返りノートの実際

 これは他教科でも言えることですが、振り返りの定義をどう捉えるかです。宗實先生は振り返り=まとめ+αとして捉えています。

 まとめとは、学んだことを確認し、定着させることがねらいです。そのため、どんなことを学んだのかが明記できるようにしたいです。ポイントとしては、問いに対する答えが書けるとよいでしょう。その際に、主語を意識させることです。例えば、「聖武天皇はどのような思いで大仏を~」という問いであれば、まとは「聖武天皇は~という思いで大仏を~」と書くことになります。

 振り返りはどうするとよいのか。振り返りには3つのねらいがあると述べられています。①学びを深めるため②学びに「つながり」をもたせるため③自分の変容(成長)を自覚させるための3つです。この3つのねらいを果たすためにさらに10の視点を例示しています。①価値判断②意思決定③変化(成長)のきっかけ④一番の学び⑤感動⑥新たな問い⑦解釈⑧仮定⑨納得・実感⑩発見である。詳細は是非、前掲の著書を読んでみてください。

 私自身、子ども達に振り返りを書かせるときには「振り返りの視点」を大型テレビに映して行っています。ここでの主語は先程のまとめとは異なり「自分(ぼくは、わたしは)」です。こうすることで、まとめで書いた客観的な学びの事実を、さらに自分事として編み直す作業になります。学習内容に留まらず、学習への参加度(発言できたかどうかやノートの書き方、友達の意見をどのように扱えたかなど)も書いてみようと促すことで、次の単元にも学びの姿勢がつながっていくことを実感できます。

 最後に、このような振り返りを書くノートですが、ノートは教師と子どもとで捉え方が異なることを宗實先生は指摘しています。教師にとってノートとは子どもの学習状況を把握するものであり、評価するためのツールです。これはどの先生方も同じでしょう。それだけでなく、子どもと子どもをつなぐツールにもなることを示しています。振り返りに書いてあるよい気付きを共有したり、友達の考えをノートに取り入れられていることを紹介したりするとよいのでしょう。

2.比較する社会科

 『宗實直樹の社会科授業デザイン』の中で特に焦点化されていた内容が「比較する」ことでした。比較することは思考法の中の一つに過ぎないのですが、あえてこれをピックアップするところに宗實先生の思いがあるのでしょう。比較することの利点は3つあります。①具体性の強い思考操作ができる②学習過程が工夫しやすい③視野が広がり、より思考に幅ができることだと示されています。

 ここで重要なのが、単に低地と高地の暮らしを比較するのではなく、そこに自分たちの地域も組み入れたり、寒冷地や温暖地といった違う要素との比較を取り入れたりすることです。比較とは二項対立だけではないことに注意を払う必要があります。

 比較を丁寧に行うことで、大きな違いだけでなく何となく違っていることに気付き、ではなぜだろうと深堀していくことで概念的知識の獲得の連鎖が起こるのです。

 比較を十分に行うためにはやはり教材研究が欠かせません。日頃からアンテナを働かせることもまた有効であると書かれていました。教師自身が「いつから?」「どうして?」を問いをもち、学ぶ姿勢が子ども達に波及していくのだろうと考えます。

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