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子どもと仕事、どっちが大切なの?問われて私は泣くしかなかった

産休開始から5日目、予定日より3週間早い出産だった。

地上に舞い降りた天使!
この世の宝!
世界の純真をかき集めた存在!

言葉を尽くしても足りないほどかわいい我が子とともに過ごした、怒涛の産褥期(産後身体が元に戻る期間をこう呼ぶらしい)から2ヶ月。

職場に復帰した。

この葛藤を忘れたくないので、産後のなまった脳みそでnoteしておきます。

全部取りの選択

今の会社から内定をもらったちょうどその日、妊娠が分かった。

面接中に「現在新婚で、子どもも近いうちにと思っています」なんて話していた矢先の発覚だった。

まもなく産休に入ることが確定している人間を受け入れてくれた会社には、感謝してもしきれない。

色んな選択肢がある中で、転職も出産もその後の仕事も!と、私は何一つ諦めることなく全部取りを選択をした!と、この時は若干ドヤ顔だったと思う。

仕事が好きだし、働く自分も好きだった。

時給1000円、お茶汲み

少し話がそれるけれど、私の会社員としてのキャリアは浅い。

23歳で入った会社を2年で辞め、突然モデルになり1年ほど生活し、「彼氏と経済的に対等でいたいから」という理由で、アルバイトとしてWebメディアで働き始めた。

そこでITベンチャーの基礎(ってなんだよ)を学び、次の会社で本格的に会社員になった。

完全未経験、なんなら社会人経験もほぼない27歳の私は、「時給1000円で雑用をやる人」として採用されたのだ。ありがたい話である。

広報も人事も総務も専任者がいなかったので、バックオフィスをまるっと触らせてもらう中で、おそらく求められていた以上に何でもやらせてもらった。

これが4年前だ。

今では「採用広報」としてプロっぽく働いている。

大志ある起業家のみなさんや、大企業で大きなお金を動かすみなさん、メガベンチャーで寝ずに働くみなさんほどではないかも知れないけど、

学歴も資格も才能も経験も、“好きなこと”すらなかった私は、血を吐きながら(物理)頑張ってここまでやってきた。

結婚しても出産しても、仕事は絶対に辞めたくなかった。

今の仕事や会社、メンバーが大好きだし、私は仕事を取り上げられるのが怖かったのだ。

これまで懸命に生きてきた証明

成し遂げたいことや実現したい世界がある人にとって、仕事は手段でしかなくて、むしろ生活、もはや呼吸なのかも知れないけど、

何も持たない私にとって仕事は、それだけで人生の成果でもあった。

自分が頑張ってきた証としての仕事があって、その仕事にまた明日の自分が積み上がっていく。

ちょっと何言ってるかわかんないですかね……

語弊を恐れずに言うなら、私は仕事をある種の「ステータス」として、とても大切に思っているんだと思う。

(もちろん仕事の先に生まれるものが重要なんですけど、今日ばかりは置いといて)

仕事=これまでの人生の上に、今の人生がバランスよく乗っかっていて、それを取り上げられてしまったら自分がグラグラになってしまうのでは?

そんな不安があった。

女性はこういう「自分が積み上げて大切にしてきたもの」を、出産からの育児というライフステージの変化で、めちゃくちゃライトに捨てることを迫られる。(と思う)

短い社会人生活の中で、たくさん目にしてきた瞬間が自分にも訪れようとしていた。

保育園が見つからない

自分の居住する地域は特に難しいようで、驚くほど保育園が見つからない。

認可保育園を諦めて、認可外保育所の見学に行ったら、100人待ちで選考基準は“ヒミツ”だと言われてしまった。

保育園待機問題を雑に説明すると、0歳児の入園倍率はおよそ10倍で、1歳児以上のクラスは下からの持ち上がりがあるので、空き枠はほぼ出ない。

やっと見つけたインターナショナル保育園!は、月謝が10数万円だった。(見学で赤ちゃんが電動揺りかごでユラユラされているのを見て、絶望的な気持ちになった)

「保育園落ちた日本しね」よろしく、仕事を辞めなければならない可能性に直面しのだ。

子どもより大切なこと

産後の不安定なメンタルと睡眠不足、さらに2ヶ月間社会と分断されてほぼ赤ちゃんとしか対峙していない脳みそに加え、

家族(主に母)からの

「いったん仕事辞めて落ち着いたらまた働けば?」
「そんなにお金が大事なの?」
「仕事はいつでもできるけど、このかわいさは今だけなんだよ?」

「子どもと仕事、どっちが大切なの?」

ハイきたーーーーー!!

選択不可の理不尽な二者択一ーーー!!!

いつか言われる日が来るとは思ってたけど、産んでひと月できたーーーー

そんなの、命より大切なものなんてない。言ってることも分かる。けど今そういう話してるんじゃないんですけどもーーー???

と、序盤こそキレ返し(?)ていたものの、

目の前で劇的成長を続ける我が子、自分だけに向けられる天使の笑顔との合わせ技で、繰り返されているうちにボディブローのように効いてきた…

二者択一しか許されないのか

私、自分のことしか考えていないのかな?

子どものことを考えられていない、ダメな母親なのかな?

こんなにかわいい我が子より大切なことなんてある??

ただでさえ不器用で授乳も寝かしつけもうまくできないのに、母親失格だよな…(産後うつ感)

と、あれだけ

「保育園に預けた方が成長速い」
「プロと二人三脚で育てた方がいい」
「経済的にも今仕事失うのは得策じゃない」
「子どもは覚えていないし、そばにいたいのは親のエゴ」
「実際少しくらい離れた方が良い」

と産前は言ってきたのに、全部働くための言い訳に聞こえてきた。

いざ子どもを預けて働こうとしてる自分が鬼、悪魔、守銭奴に思える。

この天使と過ごせる、一生に一度の時間を失う価値が、私の仕事にあるんだろうか?

そもそも何で働きたいんだっけ??

子どもがいちばん大切に決まっている。毎日毎日泣いて自分を責めた。

息をするだけで尊いし、偽りなく「産まれてきてくれたそれだけでありがとう」なのだ。

子どもと仕事を両天秤にかけて考えることすら、母親失格なのでは?

そう思わせる世の中を恨んだ。

散々悩み倒して、「悩んでいるまま、一時の感情で結論を出すことは避けたい」という暫定的な答えを出して、予定通り復帰した。

(幸いリモートで働かせてもらっている。会社の皆さんには頭が上がらない)

復帰してみて、やっぱり私は仕事が好きだし、目を離すとすぐに泣いてしまう我が子もかわいい。 (赤ちゃんって、信じられないくらいかわいいんですね)

まだ夜間も2時間おきの授乳と、1日6時間抱っこが必要なので、正直どこまで身体もつか不安ではある(鍼灸院通い出したよ!)。

数ヶ月後には、やっぱり子どもと過ごす時間には何も変え難い!誰に何を言われても主婦になるぞ!と言い出しているかもしれない。

それでも納得のいく結論が出るまでは、出なかったとしても、考えるのをやめて諦めることだけはしたくない

そう思っている産後3カ月なのでした。

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