Sailing Tips

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コースの特徴:歪み(傾き)

風や水の動き以外でストラテジーに影響を与える、人為的な変数が存在する。 「その一つがコースのゆがみである。」 表紙の写真のポート艇は、先にスターボードのタックを走り、その後、多くのオーバーセールをしている艇をしり目に正しくレイラインを見極め、ゲインした。何が起こったのだろうか。 風の変化が正方形上にセッティングされたコースを一方のサイドが極端に有利になるように歪ませる状況がある。 運営側の不備や、一方型のシフトが原因の場合もある。  オレンジ艇とピンク艇が同時にスタート

    • 流れを応用する

      セーリング中に、艇は水の流れ(潮、川)の影響を受ける。 その際、流される影響で、見かけの風にも影響を受ける。 例えば、自転車をこいだとき、風を前から感じるのと一緒で、流される方から風を受けることになる。見かけの風は、風+帆走で受ける風に加え、潮の影響を受けることにもなる。 東京五輪では、スタートラインの場所によって、この影響があったようだ。 基本的には、潮流は、地面が動くように全体が動くイメージで考える。 そのため仮想のコースレイアウトに影響を受けることになる。 その際、

      • 水の流れの影響まとめ

        • 水の特徴(潮)

          しばしば、レースが行われる場所の特徴で、水の流れ(潮流、川の流れ)が重要になることがあります。 風の影響が複雑な場合、こちらの方がコースを選択するうえでの判断材料になることがあります。 余談ですが、英国では、海の潮の流れを”Tide”、川の流れの動きを”Current”と言います。 セーリングにおいて知りたい情報は、主に海面から1m下の流れがどうなっているかということです。 その流れが、現在どうか、これからどのように変わるのか、場所によって違うのか、大きく違う場所があるか

        コースの特徴:歪み(傾き)

          風の特徴 加速/減速 収束/発散

          加速/減速 高い崖を越えて海上に風が吹くと、崖のすぐ影では、風が弱い部分ができると予想されますが、そのそれた風が最終的に海上に当たる場所では風が強くなり、さらに沖に出ると風が弱くなることがあります。 風が岬の周囲に吹くと、ベンドが予想されるのと同様に、障害物の周囲で圧縮されより強いプレッシャーになることがあります。 風下と岬の沿岸は比較的穏やかになる傾向があります。 風の強い/弱いエリアは、コースの周りやコースを横断して動くことがあります。 しばしば雲のパターンによって

          風の特徴 加速/減速 収束/発散

          永続的なシフト、強弱の変化

          レース運営にとって、永続的なシフトが続くことは悪夢の一つです。 監視艇は、コース全体を走り回り、また、風の情報を集めたり、レースエリアを何回も移動したりすることがあります。 最終的に、なんとか風が落ち着き、レースを開始できます。  永続的なシフトは、通常、陸風がシーブリーズに変わることが原因で起きますが、その丘の天候的要因もあります。 岸寄りのレースで永続的なシフトの中での戦略を立てることは事実上不可能です。 天気予報がどんなに優れていても、いつ発生するかは正確にはわかり

          永続的なシフト、強弱の変化

          ウィンドベンド

          ウインドベンド(Wind Bend)、風が曲がる現象です。 局地的な風向は、地形の影響を常に受けます。 通常、岬の周りや谷の曲がり方に沿って風は曲ります。 北半球では、たくさんの樹木やビルを超えてくる風は、海上の風向よりもさらに左にシフトします。  南半球では、右にシフトする可能性があります。 それゆえ、オフショア(陸から海に吹く風)のセーリングの場合、陸に向かっていくとベンドを期待できるでしょう。しかし、オンショア(海から陸へ吹く風)の場合、ベンドでセーリングすること

          ウィンドベンド

          持続的シフト

          一定時間、持続的に一方向に風がシフトします。 上図では、持続的に右にシフトしています。 オレンジ艇は、スタートしてシフトする風向に向かって走ります。 この艇は、上りレグの半分を徐々にヘッダーする風の中を走りましたが、結果的にピンク艇よりもはるかに短いコースをとることができました。 もし、振動型シフトに慣れてしまっている場合、ヘッダーの中を走るのは、変な感じがするでしょう。 しかし、風が一方向にシフトしていることが分かっている場合は、一番速いレーンは、そこに向かうことで

          持続的シフト

          スウィングする振動型シフト

          風は、160度から200度の間で段階的に「スウィング」しています。 上図において、艇は、平均風向180度からスタートしました。オレンジ艇はポートタックから始まり、風がその左方向に160度スウィングすると、最初はリフトになります。 その後、風は、右の風にだんだん変わっていきました。 風向が180度の平均より右になったときすぐにオレンジ艇はすぐにたっくしました。このプロセスを繰り返しました。 オレンジ艇は、各タックの平均ヘッディング角を下まわるたびにタックすることで、スウ

          スウィングする振動型シフト

          環境要因:戦略的ツールの概要

          レース海面の特性、伸び方(ゲイン)の特徴、自然条件、これらはすべて気象、地理的条件等の効果を説明される用語であり、コースに影響を与えます。 以降から、コース選択に影響を与える主要な変化要因を紹介し、基本的な戦略の提案をしてみます。 振動型シフト 平均値を中心に左右にシフトするのが特徴です。 上図の例では、平均値は180度です。 各艇はイーブンでスタートし、スタート直後のポジション②では、平均値の10度左からシフトが入っています。 オレンジ艇は、タックし、ポートタックでリフ

          環境要因:戦略的ツールの概要

          なぜ戦略に煩わされるのか?

           鈴木君(オレンジ)は、スタートラインのポートエンド近くで堅いスタートを切りました。最初のタックで、ポートで3艇の後ろを通り、5分間ポートのまま走りました。 5度のポートヘッダーが入り、スターボーにタックバックします。 2艇がポートでスターボーのレイラインに向かって走り続けます。風はスターボーにリフトし続け、鈴木君はフリートの大部分よりも優位になり、今やフリートは風下に見えます。 風上マークに近づきながら鈴木君はポートにタックを返します。 右艇団の一部はスターボードレイライン

          なぜ戦略に煩わされるのか?

          ヨットレースのコース戦略資料の紹介

          ヨットレースをやっていて、ぶつかる課題、「コース引き」、これについて理論的な考察をしている資料をまとめてます。 少しずつ紹介していきます。

          ヨットレースのコース戦略資料の紹介