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奇岩・親子熊岩
北海道には綺麗な風景や素晴らしい景色が沢山ある。
私は、北海道の全ての東西南北の端っこにあるコンビニでタバコを買うという企画を自主的に、勝手に、誰に頼まれたわけでも無く、どこかで発表するわけでもなく実施していたことがあるのだが、その道中で見つけたのがタイトルの奇岩・親子熊岩だった。
その時は確か、西の端っこのコンビニを目指して、日本海側を南下していた。
北海道の最北端は言わずと知れた「宗谷岬」。日本本島の最北端でもあるため、有名だ。
北海道の最東端もあるていど知名度はあるだろう。御存じ「納沙布岬」だ。日本本島の最東端でもあり、天気が良ければ北方領土が見える。
北海道の最南端は「襟裳岬」……と思われがちだが、実は違う。真ん中の下より、下に伸びている逆Y型の足の方に最南端がある。実は青森の最北端よりも南に位置するこの岬の名前は「白神岬」という。これは豆知識。
そして、最西端は「尾花岬」というらしい。らしいというのも、この岬、他の3つに比べて全然知名度が無い。なぜならば、まともには行けないからだ。
車に乗ったままだと、トンネルをくぐっている間に通り過ぎてしまう。多分、トンネルになっている山の上にあるんだと思う。だから、看板とかも特に無いし「やったー最西端に着いたぞー!」みたいな達成感も全くない。
なので、最西端の話は特に無いのだ。北海道の最西にはそもそもコンビニなどなく、小さな商店が1個あるだけ。しかも、店に入るとお婆ちゃんがご飯を食べていて「どした?」という挨拶で出迎えてくれる。画一的でシステマチックな「いらっしゃいませ」という挨拶よりも人間味あふれる挨拶である。さらに、この周辺の集落は民家も少なく、タバコも吸う人が決まっているので、特定の銘柄のタバコしか入荷していない。多分、三種類しかなかったはず。
ただ、私は「北海道の東西南北の全てでタバコを買う」という目的で動いているので、特に欲しいタバコで無くとも買わなければならない。
店にある三種の中から一番無難そうなのを買って、車に戻った。
さて、このまま札幌に戻ってもいいが、せっかく4時間ほどかけてだいぶ南まで来たのだから、このまま南を目指そう。そう考えて南下を再開する。
そして、最西端からしばらく海岸線を南下したところに、それは何の前触れもなく、突然に現れた。
前触れなどあるわけもない、岩なんだから。
トンネルを抜けた瞬間、視界の右側に違和感を感じて視線を向けると、いきなりこれがあるのである。
何か、いる!?
そんな驚きで危うく急ブレーキを踏みそうになったところを堪え、申し訳程度にある駐車スペース(崖っぷちの空き地)に車を止める。
変な形の岩。ただそれだけなのだが、これが非常に面白い。
なんだこれは、と困惑しているとこの文章の頭に貼ってある看板が目に入る。
奇岩・親子熊岩
確かに、言われてみればこの岩、親熊に小熊が寄り添っているように見える。気の遠くなるような時間をかけて、風雪と波しぶきに曝され続けた岩が偶然北海道の象徴ともいえる動物の「熊」の親子を思わせる形状になったのだ。
本当にただそれだけ。「いや、ただの岩じゃん」と言われれば、返す言葉も無い。
ただ、全く何も無いと思っていた最西端のすぐ近くにこんな面白いものがあるということに、非常に嬉しくなった。
何よりも、この岩。これを目的に来るには移動距離のハードルが高すぎる。札幌からおよそ4時間。約220キロかけてただの岩を見に来る奴もそう多くはあるまい。ああ、これは良い『無駄』だ。
北海道には素晴らしい景色や、風景が沢山あるが、こんなふとした時に目を奪われる面白風景もあるのだ。
是非北海道に来た際には、この奇岩・親子熊岩を見に来てほしい。
見に来ては欲しいが、その他の全ての予定は諦めることになるだろう。何せ周りには、何もないのだから。
どうだ、ハードルが高いだろう。やれるもんならやってみろ。
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