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コーチのためのコートマネジメントを考える

本記事には、USA Volleyball(米国バレー ボール協会)サイトに掲載されていたコラム『Court Management for Coaches』の 日本語訳(私なりの解釈を入れています)と私の感想が書かれています。

実際に育成現場でコーチングをされている方に読んでいただくことを目的に、本記事は執筆されています。本記事が日々のコーチングについて振り返る機会となり、そこから改善点や新しい発想が生まれるのであれば幸いです。

コラム原文はこちら:Court Management for Coaches 

いかに選手たちを忙しくさせ、暇を作らないか?

Keep Players Busy

1つのコートに子どもたちは20人。そしてコーチは1人。この状況下で「選手たちみんなを忙しくさせる」というのは非常に高い要求だと思えるでしょう。しかしこの要求に応えようとすることは、良いコートマネジメントへのファーストステップとして不可欠なのです。

目的志向になると選手たちに「練習内容」を明確に伝えることと同じくらい、彼らにその「目的」を与えることは重要です。彼ら自身がボールに1回触ることが、正しいゴールに向かって前進していることと同義で、ボールに触れる1回1回全てが重要な課題であると感じているべきなのです。

こうした理由から、練習ドリルは時間で区切るよりも、設定したゴールをクリアすることで完結するようなものがより効果的であると考えます。彼らは熱心にバレーボールの練習に取り組めば取り組むほどに、喧嘩したり、悪ふざけするような無駄なエネルギーや欲求をもたなくなっていきます。

たくさんボールを触れる工夫として、まず初めに彼ら自身でボール出しができるような練習ドリルや状況を考えてみてください。そうした練習ドリルを組むことで、子どもたちはもっとたくさんボールに触れることができ、さらに彼らの自立心を育てるのことにも繋がります。

初心者にとって、最初は難しくうまくいかないこともあります。そのため、パートナーとの練習ドリルにしたり、簡単で親しみやすくシンプルな練習ドリルにしたりするなどしてみると良いかもしれません。

練習の目的を伝える際、まず最初に次のことを説明してください。

ボール出しをすることは、手と目のコーディネーション要素の一つであること。そして、ボール出しをするのは正しい位置(ポジション)からボールを出すための練習の一部であること。さらに、出されたボールをパス・レシーブする人はボールに素早く反応し、より良いボールを次のターゲット(プレーヤー)に向けて運び出すこと。

このようにして、練習の目的を具体的にあらかじめ伝えてほしいと考えています。

グループ分けによって効率化を図り、練習時間の価値を最大化する方法として、大勢いるメンバーを3つに分けるということがあります。まず、練習するために求められる技術項目をリストにしてそれぞれのグループに渡してみてください。そして、実際に分かれて練習してみてください。すると、そのリストに書かれた技術項目を3つのグループがローテーションする前に、選手達が習得することはおそらくできないでしょう。

そのため、グループ毎に「セッターにボールが入る」「ボールを触ることができる」「3本目までつなぐことができた」などの具体的な小目標を持たせて、得点をつけてあげてください。

最も重要なことは、練習は常に忙しく、ゴールが明確であるこということです。何も考えずにコートのライン際で立っているだけだったり。自分の順番が来るまで無駄にボーッと待ったり。そんなのはもったいない!

コーチのみなさんは、練習内容をより良いものにしていくために、常に自身に対する挑戦をしてください。そうすればもし選手たちが厳しい練習ドリルに取り組む中で呼吸が十分に整っていなかったとしても、20秒以上コートの外で休憩しているような選手は一人もいないでしょう。

雑賀的解釈

私自身、コーチとして選手育成にこれまで関わってきましたが、上記コラム中で書かれているように、選手自身を「目的思考」にさせることが十分にできていなかったのではないか?という反省があります。練習計画を立てる私(コーチ)はもちろん目的を持って練習を組んでいますが、実はその意図が選手に伝わっていない。

こうした状況が多かったように思います。また、特に「20秒以上コートの外で選手を休憩させているようなことはないか?」という点については、正直ドキッとしました。いかにして練習時間中の暇を排除していけばよいのかということを真剣に考えなければならないと反省しました。


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バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。