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育成の3本柱(その1)#18

「バレーボーラーの一貫育成メソッド」 制作の第18回です。前章では、本メソッドにおけるコーチング行動指針について解説をしてきました。

本記事ではLTADをベースにした本メソッドにおける育成の3本柱となる考え方についてまとめていきたいと思います。

育成の3本柱

本メソッドでは、育成の考え方について下記の通り3つにまとめています。

1. 『世界トップレベルの当たり前』から逆算した育成
2. 勝利と育成の両立を志向する育成
3. セルフコーチングができるプレーヤーの育成

ここからは、育成の在り方について詳しく解説をしていきたいと思います。

1.『世界トップレベルの当たり前』から逆算した育成

本メソッドはLTAD(Long Term Athlete Development /長期的視点でのアスリート育成)の考え方をベースにして、将来的に世界で活躍できるバレーボーラーの育成を一つの大きな方向性として策定されています

ただ、当然ながらすべてのバレーボーラーが日本代表チームに入って世界と戦ったり、日本を出て海外のトップリーグでプレーしたりするわけではありません。生涯にわたってバレーボールを愛し、様々な立場からバレーボールに携わるバレーボーラーを育成するということも本メソッドの目指す方向性の一つです。

しかし、だからといって育成に関わるコーチとプレーヤーが世界トップレベルのバレーボールを知らないままバレーボールをコーチング、またプレーしていていいというわけではありません。どのカテゴリーやレベルであったとしても、世界のトップが今やっていることを知り、なぜそうするようになったかの経緯を知ることは、何がプレーヤーの成長にとって有効なのか、プレーヤーたちのバレーボールライフにとって何が大切なことなのかを教えてくれます。技術的にも戦術的にも「世界トップレベルの当たり前」を知ることはとても重要です。

日本のすべてのバレーボーラーの「未来」を豊かなものとしていくためには、コーチが世界を知り、そこに向けて「今」から準備をしていくことがとても重要なのです。

それでは、具体的にコーチは一体何をしなければならないでしょうか。

まず、日本国内のバレーボールに関する情報や知識を収集しているだけでは不十分でしょう。常に海外のバレーボールの動向に目を向けて情報収集を行い、学ぶ習慣を確立していくことが必要です。コーチは継続的に世界のトップリーグやネーションズリーグ、オリンピックの試合等を観て、世界トップレベルのプレーヤーやチームが共通して当たり前にやっていることや世界的なトレンドを常に追いかけて把握し、自分なりに分析・整理し続けること、そして、日本のコーチに限らず、海外コーチの実践や考えなどの情報をインターネットを使って収集したり、SNSなどのツールを使って実際に議論したりすることなどができるでしょう。

そして、コーチには世界トップレベルのプレーヤーの当たり前にやっていること(世界標準)から逆算してプログラムをデザインし、体系的にコーチングを実践していく能力が求められます。

また、プレーヤーのカテゴリーが上がるにつれ、プレーヤー自身が自然と世界のトレンドを確かな知識として獲得していくことも大切です。そのために、コーチはプレーヤーが世界トップレベルの試合を観戦する機会をつくったり、座学で学ぶ機会を設けたりする工夫もしていく必要があるでしょう。

コーチがこうした機会を提供することで「将来世界で活躍したい。自分は活躍できるんだ。」というモチベーションや自信をプレーヤーから引き出すことができるでしょう。そうすれば、プレーヤーは自発的に自身の課題を克服し成長していこうとする態度を形成していくと思います。

(続く)

▶︎雑賀雄太のプロフィール

バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。