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長崎市滞在-2022/12/06

昨日の午後散々寝たにも関わらず、朝まで爆睡。永遠に寝ていたいが、部屋の清掃をしてもらうためには11:00までにホテルを出ないと行けないので、出発の準備をする。清掃で他人が部屋に入ると思うと、ある程度荷物を片付けてから出られるので良い。途中、髪を巻いていた160℃のコテが落ち、思わず鷲掴みしてやけどしてしまった。初めてのことで動揺しながら外へ出る。

丸善団地以外行くところを決めていないのだが、まずは街を把握することが必要だと思い、近くの観光地をまわることにする。今日は長崎県美術館へ。ホテルから徒歩すぐだ。

建物の近くまで来ると、目の前に大きな海が広がる。昨日とは打って変わって、とても天気が良い。晴れているうちに写真を撮ろうと、美術館に入る前に寄り道することにした。

風が強いが、そこまで寒くはない。尾道より大きな船が多い気がする。個人所有の漁船というより、"事業"の香りを感じた。向こうの方に、しまなみ海道のような橋が見える(女神大橋というらしい)。この辺りの建物は新しく、景色も開けていて開放感があった。真後ろには広い芝生の公園があり、犬の散歩やピクニックをしている人、お洒落なベンチや小川が佇んでいる。

存分に海のそばを散歩した後、「長崎県美術館」へ。入口で手に消毒用アルコールをかけた瞬間ヒリヒリした痛みが走り、今朝のコテ事件を思い出す。
チケットを買った後、展示を観る前にすぐ横のミュージアムショップに寄った。欲しいものを旅の勢いで衝動的に買ってしまいそうなので、先に商品の目星をつけておき、展示を観ているうちに熱を冷ます魂胆である。

2階へ上がり、企画展「イスラエル博物館所蔵 ピカソ―ひらめきの原点―」を観る。ピカソの小さい版画作品が中心で、技法や画面構成など見どころがたくさんあった。しかし絵のモデルの彼女がいつの間にか変わっていたり、不倫するわ45歳で17歳に手を出すわ、61歳で21歳に手を出すわ、72歳で27歳に手を出すわの大わらわで、絵が頭にはいってこない。こうやって展示を斜に構えて観るのが、良くないところである。

ピカソと同じチケットで入れる、コレクション展「ジュリオ・マンフレディ ―見えない黄金」も観た。イエスの12使徒をジュエリーで表現した作品が並んでいて、アクセサリーの展示はあまり経験がなかったので面白かった。常設展「須磨コレクション2―名品選」も鑑賞。大戦中、スペイン特命全権公使だった須磨彌吉郎という人の西洋美術コレクションで、イエスの磔がテーマの絵画などキリスト教のものが多い。ずっと生で観てみたかったアントニオ・ロペスの作品があり、偶然出会えて嬉しかった。

鑑賞後は、美術館のカフェでサンドイッチと長崎産ほうじ茶をいただく。暑いくらいの陽光の中、目の前には大きな公園が広がり、真下には川が光っていた。あとで知ったことだが、この美術館は隈研吾建築である。クラシックのピアノが流れていて、「ラヴェルとリストって、事務かよ」というレベルの低いツッコミを思いついたが、誰かに言うわけにもいかないので無表情を決め込む。

ミュージアムショップで散々吟味した後、長崎の季刊誌「樂(らく)」の、坂が特集されている号を買った。

美術館を出て街をうろうろ歩いていると、目の前に「オランダ坂」が現れた。長崎の洋館が立ち並ぶ、居留地への入り口である。この時わたしは何の知識もなかったのだが、ここは東山手居留地界隈という、洋風建築がわんさかある地域だった。

軽い気持ちで足を踏み入れたものの、次々に美しい建物と大量の展示パネルが登場し、とんでもないところに来てしまったと嬉しい悲鳴をあげる。大阪の人間なので「神戸の異人館みたいだな」という感想が浮かぶ。しばらく洋館の立ち並ぶ東山手地区をうろうろ歩いた。建物内にある展示パネルを逐一読んでいて全然進まないが、長崎とはどんな場所なのか知らずにきたので、とにかく知識を入れたかった。

周辺にはたくさんの教会がある。長崎では、私が目にしただけでもプロテスタントやカトリックをはじめとして、英国聖公会やロシア正教、メソジスト、イエズス会、キリスト教団などが狭い範囲に詰まっており、キリスト教ならなんでもござれのちゃんぽんである(長崎の人に、ごちゃ混ぜの状態をちゃんぽんと言われることは嫌ではないか?と聞いたところ、「別に大丈夫ですよ」とのこと)。

居留地近くにある昭和会病院の建築が素敵だ。病院の建物が美しいのは、個人的には良いことだと思う。歩いているうちに、中華風の大きな屋根が見えた。「孔子廟」だ。入場料に全国支援割引の地域限定クーポンが使えたが、おつりがでないため、迷った結果今回は立ち寄らずに帰る。街の案内看板を見るに「グラバー園」も近くにありそうだったものの、日が沈みそうなのでこちらも後日行くことに。

さて帰ろうと横断歩道を渡ったら、目の前にホテルが見えてびっくりした。少し歩き足りないので、ホテル近くにある唐人屋敷跡と新地中華街をうろうろする。夕暮れの空にトンビが飛んでいた。襲われない限りは風情があって良い。

暮れるにつれ寒くなってきたのでホテルへ戻ることにし、昨日も寄ったファミリーマートで晩ご飯と朝ご飯を調達する。尾道ラーメンが売っていて、なんだか故郷に会った気持ちになりカゴに入れた。クーポン券の足が出た昨日の反省を生かし、電卓片手に1000円ぴったりになるよう計算したが、レジで割引商品がカウントされておらず「1020円です」と言われる。思わず「20円引きでなかったですか?」と確認を入れてしまい、無事にクーポン1枚ジャストでお支払い。みみっちいと思われただろうか…恥ずかしいから明日はこのコンビニを避けよう…と思いながら、そそくさとホテルへ帰る。
尾道ラーメンは、麺がちゅるちゅるしていておいしかった。育ち盛りの20代なので更におにぎりを二つ食べ、テレビを流しながら絵の仕事を進める。

寝る前に、今日買った長崎の冊子「樂(らく)」を読む。長崎のカフェギャラリーやテレビマンの取材が載っていた。今日が楽しかった名残で気持ちが前向きになっており、いつか連絡してみようかな、と思いながら、0:40ごろ就寝。


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