水産基本法は特に水産物について述べる条文があるが、森林・林業基本法にはそういう条文がない

しばらく、水産基本法と森林・林業基本法の比較を続けます。

水産基本法第2条

水産物は、健全な食生活その他健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な水産物が合理的な価格で安定的に供給されなければならない。

第3条

水産業については、国民に対して水産物を供給する使命を有するものであることにかんがみ、水産資源を持続的に利用しつつ、高度化し、かつ、多様化する国民の需要に即した漁業生産並びに水産物の加工及び流通が行われるよう、効率的かつ安定的な漁業経営が育成され、漁業、水産加工業及び水産流通業の連携が確保され、並びに漁港、漁場その他の基盤が整備されることにより、その健全な発展が図られなければならない。

つまり、水産基本法では、第1条で「水産」について述べた後、

第2条で水産物、第3条で水産業について述べると言う構成になっていますが、森林・林業基本法では、林産物について、事新たに述べる条文がありません。

森林・林業基本法

第2条

森林については、その有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能(以下「森林の有する多面的機能」という。)が持続的に発揮されることが国民生活及び国民経済の安定に欠くことのできないものであることにかんがみ、将来にわたつて、その適正な整備及び保全が図られなければならない。

第3条

林業については、森林の有する多面的機能の発揮に重要な役割を果たしていることにかんがみ、林業の担い手が確保されるとともに、その生産性の向上が促進され、望ましい林業構造が確立されることにより、その持続的かつ健全な発展が図られなければならない。

森林・林業基本法の第1条と水産基本法の第1条を比較した場合、両者は同一の構文になっており、構文上、前者の「森林・林業」の位置に後者の「水産」があることは既に述べたとおりです。

しかし、次の第2条では、林産物と水産物が同じような構文上の位置を与えられているかと言うとそうではないようです。

この辺、もう少し、2つの法律の「構文」を比較していきたいと思います。


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