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ポストコロナの組織づくりと働き方【人事コンサルの視点#1】

皆様も実感されている通り、コロナ禍は私達の生活を一変させました。
歴史をなぞれば、今回のコロナに限らず、人類は幾度もの環境変化を乗り越え、文明を発展させてきたことはわかりますが、「まさか自分の生でそれを目の当たりにするようになるとは思わなかった…」という人も多いのではないでしょうか。

特に東京勤務の会社員は、現在毎日のように在宅勤務をしている方も多いです。先端的な企業を除いて、これだけ多くの会社が、(今だけかもしれませんが)本格的に在宅勤務を選択したことは、働き方史の大きな転換点になるでしょう。

一方、国内では、感染者数も徐々に減少し、部分的に非常事態宣言が解除され始めています。徐々に経済活動も上向くことと思います。

ところで、経済活動のメインプレイヤーである企業は、コロナ明けにどのようになっていくのか?
コンサルティング現場における、最近の動向を踏まえ、予想をしてみたいと思います。

【1.BCP(事業継続計画)への取り組み強化】

投資家から、今回のような全国規模、世界規模の災害を想定した取り組みへの要請が強くなるでしょう。災害が起きても、すぐに非常事態を想定した体制に移行して、安定して事業を継続できる組織内環境を構築していることが、安全な企業としてのアピールとなります。
その一環として、在宅勤務のためのシステムは継続的に投資されるでしょう。ただ、そのシステムを、社員に日常的に使用させるかどうかは、経営者の考え方に大きく依存します。

【2.固定費削減】
今回のような大規模災害では、否応なしに経済活動は停滞します。一部の業界を除いて、減収は避けられません。その中でも会社を存続させるには、非常事態下の固定費を削減する必要があります。
このコロナ禍において、全面的に在宅勤務を採用した会社で、コミュニケーションや業務進捗、成果物に大きな支障が見られなかった会社は、経営者が固定費削減のため、オフィスの減床も視野に入れることでしょう。
もちろん、特殊な機材を使用するような業種では難しいですが…。

【3.成果主義か、管理主義か、諦観か】
今回、全面的な在宅勤務を採用した会社は、「仕事をしていない(仕事がない)社員が浮き彫りになった」のではないでしょうか。いくら業務量が減ったとは言え、もしかしてコロナ以前から人件費を無駄払いしていたのではないか…?なんて考え始める経営者もいることでしょう。
そうした場合に、今後どのようなマネジメントを行なっていくか。考えられるのは以下の3つ。
①成果主義を強化し、本当に必要な人材を厚遇、そうでない人材の出口戦略を立てる
②管理主義を強化し、怠け者ゼロを目指す
③集団である以上、どうしようもないことだとして諦観し、対策を打たない

①を採用するには、高度なマネジメントを要求されます。仕事ごとの成果を定義し、品質を管理し、納期を遵守する。これらを、全ての管理職の必須スキルとして一様に求めることになります。「部下が成果を挙げられないのは、管理職の責任」ということが、より明確になります。
また、どれだけ教育しても成果を挙げられない部下がいた場合、「労務上の問題なく、双方が納得した形で、部下の円満退職を促す」というスキルも問われるようになります。

②を採用した場合、管理システムのための経費が追加されます。全員のPCの動作を記録するようなシステム導入が行われるでしょう。突き詰めると、職場に監視カメラを置くようなところも…?

そして実は一番多いのは③かも? 経営者が働きアリの法則を信奉している場合、この選択もあり得ます。ただ、そうした場合、一番割を食うのは真面目に働いている社員です。他の怠け者社員を食わせるために、本来自分が受け取れた報酬が食われていると思うようであれば、転職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

以上、ポストコロナの組織づくりと働き方についての考察でした。

一つ、間違いなく言えることは、それまでの当たり前が当たり前でなくなるということ。
変わるべきところ、変えざるべきところを検討しない会社は、ポストコロナの時代変化に乗り遅れる事でしょう。日本の多くの会社が、新たな局面へ適応できることを望んでいます。

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