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【ドラマShrink 第2話 感想】双極症当事者の私が感じたこと

初めましての方もいつも読んでくださっている方も
こんにちは!セラピストの下田です😊

NHKの土曜ドラマ Shrinkは
精神疾患患者と精神科病院に
スポットをあてたドラマ
です。

このドラマ1話が50分くらいなんですが、
内容がめちゃくちゃ濃ゆい!

精神科医療のリアルや
精神疾患を持つ人&周囲の人の心の葛藤を
非常に丁寧に描いてくれています。

以前に第1話 パニック症を見た感想
noteで書かせていただきました。

今回は第2話 双極症を見て感じたことを
双極症(双極性障害)を持つ私が書いていきます。

※一部ドラマの内容にも触れていますので、知りたくないという方は
ドラマ視聴後にこの記事に帰ってきてくださったら幸いです。


ドラマの主人公と私の同じ所と違う所

この話の主人公 ラーメン屋店長の玄さんは双極症I型です。

私は双極性II型で、
玄さんのような強い躁(ハイテンションな状態)の症状は出たことがありません。

ですが

  • 周りが気づく程のいつもと違うテンションの高さ

  • アイディアが次々に浮かぶ

  • なんでもできる気分になる

  • 多幸感

  • 睡眠時間が短くても平気

  • 外向性が増し、お金使いや人付き合いに変化が出る

  • 人の意見に耳を傾けにくくなる(キレやすい)

といった症状は経験があります。

また玄さんと同じく精神科病棟へ入院したことも
あるのですが、

玄さんが躁状態(躁メインの混合状態かも?)の時に入院したのに対し、
私はうつメインの混合状態(うつと軽躁の症状が同時期に出る)の時に
入院しました。

抗うつ薬によって躁状態になるケース

ドラマで登場した玄さんと同じく、
私も強いうつの症状が出て
最初はうつ病と診断されました。

症状としては結構重かったので
薬を大量に処方されて飲んでいました。

半年ほど自宅療養をして、
その後人との交流が増えたタイミングで
気分が自然と上がる日が増えました。

ですが、その時飲んでいた抗うつ薬の量は変わっていませんでした。
そのため気分が上がりすぎてしまい躁転(躁状態・軽躁状態へと変化すること)してしまったのです。

明らかに様子が変わった私の様子を主治医が見て
「これは双極性障害(双極症)ですね~」と言いました。

おそらく、双極症の人の多くは
精神科受診の最初はうつ病と診断されます。

それは本人が体調が悪い、辛いと感じて精神科に行くのがうつ状態の時だから。

その後うつから躁や軽躁に
切り替わったタイミングで
病院受診をした際に双極症と診断されるケースが
非常に多い
のだと思います。

精神科病院での入院生活

Shrink 第1話 パニック症にはなくて、
今回の第2話 双極症であったのが
精神科病院での入院生活のシーンです。

これはよくぞ描いてくださった!と思いました。

ドラマの中の玄さんは
初めての精神科病棟への入院で
他の患者さんの言動にかなり戸惑っている様子でした。

また他の患者さんの様子を見て
『自分はあそこまでおかしくなっていない。正常だ』という気持ちが見え隠れする発言をしていました。

精神科病棟は他の科の病棟と雰囲気がまったく違います。

特に入院生活に慣れるまでの期間は
そこにいなければいけない辛さ・恐怖心が凄まじい
のです。
(慣れても正直しんどかったですが・・・)

  • いきなり叫び始める人

  • 幻聴や幻覚が見えて、いきなり大きな声で話しかけてくる人

  • 病室の壁を思い切り叩きまくっている人

  • 他の患者さんの言葉や行動にカチンときてブチぎれる人

  • 廊下で座り込んで泣いている人

色んな病気、症状、経緯を抱えて入院に至った人たちが集まって生活する精神科病棟の院内は・・・カオスです。

私は入院したばかりの頃
入院から数か月経っている人とお話して
他の患者さんのことや暗黙のルール的なことを
知っていきました。

あと精神科病院は持ち込める物の制限が
非常に厳しくなっています。

生活習慣を乱す・ストレスの原因になるものや
自傷行為の原因になり得るものの持ち込みは禁止。
(例えばスマホ、ハサミやカッターなどの鋭利なもの、紐)

なので娯楽やリフレッシュの方法は
限られています。

病棟に1つしかないテレビを見たり、
他の患者さんと雑談をしたり、
週に何度かあるレクや運動療法に
参加することくらいしかありません。

あとは家族に本を持ってきてもらって読んだり、
勉強したりすることくらい。

すごく自由な時間は多いけれど、
やれることが制限されているのが
大きなストレス
になります。

ですが、休む練習や自分の病気を学ぶことに
集中できるのが入院治療のメリット
です。

そして何より、患者の家族が
精神疾患患者を支える・関わることから
解放される時間を持てることが
入院治療の大きなメリット
です。

私は精神疾患当事者で
病気と闘う・一生付き合っていく
大変さを感じていますが、
支える、一緒に生活する人の方が大変だと思っています。

当事者側から『入院したい』『私とは距離を取った方がいい』と
言い出すのが難しい場合も多いでしょう。

いまこの記事を読んでいる方の中で
ご家族や大切な人に精神疾患を持っている方がいましたら、

可笑しいなと思ったときに病院や
他の人にSOSを出すことを
どうか躊躇しないでください。

支えてくれる人の有無で病状は大きく変わる

私は3か月ほど精神科病棟に入院していました。
入院中他の患者さんと生活する中で
支えてくれる人・頼れる人の有無で
その後の病状は
大きく変わる
と痛感しました。

私はありがたいことに家族が
入れ替わりで面会に来てくれたり、
私の病気を知った後も繋がってくれている友達がいました。

なのでストレス源だった仕事から離れ、
入院してからは体調の回復は非常に速かったと思います。

ですが、私より前から入院している人の中には
最初は元気そうで笑顔を見せていたのに
どんどん顔色が悪くなり、ご飯も食べられなくなり、病状が悪化していく人もいました。

そういう人たちに共通しているのがこの2点↓

  • 面会に来る人がいない

  • 担当医師や看護師と合わない


同時期に同じ病棟に入院していた方で
すごく親切で優しい患者さんがいました。

最初は笑顔が多く他の患者さんよりも健康そうに見えていたのに
体調が日に日に悪くなり、苦しんでいる様子がその背中から
伝わってくるように。

少し顔色が良くなってきたかな?と感じたタイミングで
話しかけお話をしたのですが、

その時に
「僕は下田さんがうらやましいよ。先生も看護師も良い人で、家族も面会によく来てくれて・・・」と本音を言われました。


私はこの言葉に何も返せませんでした。


私はただ辛い現状・心情を聞いたり、
一緒にトランプしたりすることしかできませんでした。



同じ病棟に入院していると
どうしても他の患者さんとの病状の違いや
支えてくれる人の違いが見えてしまう。

だから余計辛くなるし、落ち込みやすいのだと思います。



ドラマの中での玄さんも
妹さんや柔道の師匠、
そして寄り添ってくれる医師や看護師がいました。

だからこそ病気を短期間で受け入れて
前に進んでいこうという気持ちになれたのだと思います。
(普通あんな短期間で病気を受け入れられません。)

ですが、実際はそういう恵まれてた状況にある
精神疾患患者は少ない
です。

だからずっと精神科の病院に入院している人や
退院しても再発を繰り返す人も多い
のだと思います。

自分のヒドイを隠すために他人をヨワイ・オカシイと言う社会

第2話の主役のラーメン屋店長の玄さんの
ラーメン店の運営会社はいわゆるブラック企業。

ノルマや現場への態度が厳しく、
それが原因で玄さんはうつ状態になってしまいます。

このパターンって日本社会でめちゃめちゃ多い
うつ病発症パターンではないでしょうか。

  • 睡眠時間を削って必死に働く

  • 努力しても罵倒されるばかりで褒められることがない

  • もっと頑張れと言われ続ける

こんな環境では
身体と心が崩壊するのは当たり前
です。

私はパワハラ受けて数週間、数か月で値を上げてきた人間です。

だから、こういう過酷な環境下で
長い期間頑張り続けて、
精神疾患を発症してしまった方々は
非常に強くて優しい人たち
だと思っています。

こういうケースの場合、
精神疾患にさせたのは会社や上司ですよね?

なのにその後お金と心と身体をすり減らして
肩身の狭い思いをして
ずっと生きていかなければならないのは
うつになった被害者の方。

頑張りすぎや我慢のしすぎで
うつ病やその他の精神疾患を発症したのに
「弱い人間」「あの人は何かおかしい」と言われる始末。

『なーんだよ、それ。
控えめに言ってふざけんな。』

私はひどい扱いを受けたり、発言をされた時に
毎回心が痛くなります。

体調もすぐ崩すし、プロジェクトから外れたり、
仕事を失ったこともありました。

ひどい扱いを受けた時は辛くなるのですが、その直後に毎回

『でもまあ、こういう恐ろしいことを平気で他人にできる側じゃなくて良かった』

と心の中で思っています。


私は周りから見たら繊細すぎて弱い人間だと
思われてきたことも多かったと思います。

けれど、傷つけようという意思を持って
酷いことを平気な顔で言ったり、
酷いことをし続ける
【心が貧しい人】になるよりはずっとマシです。

どうかこの社会が
ひたむきに努力する人の心と身体に
異常が出た時に

切り捨てるのではなく、
寄り添って支えてあげられる社会に
なってほしい

そう強く願っています。

そういう社会の実現に繋がるかは分かりませんが、
私は今後リラクゼーションサロン経営者として、セラピストとして、
頑張りすぎて辛くなっている人に
もっと寄り添える存在になっていきたい
と考えています。

Shrinkの弱井先生のように
症状が重くなった人を薬の処方で
楽にしてあげたり、入院の判断をすることはできません。

ですが、【心と体を癒すリラクゼーションセラピストとして、心が弱っている人にできることは
何か】
を考え続け、提供するサービスに
反映していこうと思います。

最後に

Shrink第2話 双極症を見て
双極症当事者の私が感じたことをお話してきました。

このドラマは日本の精神科医療の現実、
病院風景、患者の辛さ、社会問題などを
丁寧に描いている作品だと思います。

あと1話で終わってしまうのが寂しい😢

次回はパーソナリティ症ですね。

私も深く理解できていない病気なので
また新しい発見、気づきがあるのが楽しみです。

長い文章、最後まで読んでいただきありがとうございます!

またnoteを通じて、あなたと再会できますように☺️

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