【備忘録】京都の文化・産業の魅力を持続的に発信する障害のある方の「ものづくり」&「デザイン」のチカラ
2019年3月13日に開催された京都市・市民フォーラムにふらっと寄ってみたんだけど、面白い話が聞けた♪
特に印象に残っているのが、ジュリア・カセムさんが行っている「インクルーシブ・デザイン」への取り組みと、ディスカッションの中で少し触れられた障害者が作った商品を購入する人が「誰が作ったのか知ることで生まれることと、知らないことで生まれること」の見解と相違であった。
今回のフォーラムへの登壇者は障害者に関わる組織の代表や研究者だけであった。今回のフォーラムのタイトルにある『障害のある方の「ものづくり」&「デザイン」』から、現場の声を市民に届けることが目的であれば、それは達成できているんだけれど、ここで生まれた課題やその先を議論する機会としては、実際には時間が足りないし、受講される側の知識や経験も足りない。それも見込んで課題を投げかける機会ではあったので、やや悶々としている。
特に商品を購入する人が「誰が作ったのか知ることで生まれることと、知らないことで生まれること」の見解と相違はもう少し整理したかったのが本音。
中村ローソクの田川さんは障害を持つ人を雇っており、その方にローソクの絵付けをしてもらっているんだけれど、「障害者が作っています」とか同情を誘って購入してもらうのではなく、その他の商品と同様に消費者が気に入って購入してもらうことを大切にされている。それに対して、カセムさんはその製品やデザインに関わる人を公表し、消費者にはそれを知ってもらうことが大事という見解をされていた。
どちらも障害者の社会との接点には違いないし、どちらが正解という話ではない気もするが、歴史・背景だけでなく当事者の声が要点には違いない。それは、カセムさんが「今回のフォーラムに当事者がいなくて残念」と言われた言葉にも通じている。つまり、「当事者はどうしたいのか」で良いんだけれど、それを如何に聞き出すかという別の課題が生まれている。
例えば、自分の知識・経験から思うに、自閉症など精神的な障害を持つ人によって生み出された作品に価値を見出すカテゴリーとして「アウトサイダー・アート」や「アート・ブリュット」という言葉もあって、それは作品を通じて作り手が社会と接点を持つ機会として機能している。
しかし、今回の論点から生み出されているものはアートではない、商品としてその対価に見合ったモノを作り出すことがキモというのはカセムさんも田川さんも同じであったとは伝わっていたし、今回、障害者が作るものは質が低いから安価であるとか、漠然としたチャリティーとしての購入ということがゴールではないということも理解できる。
社会との接点の持ち方を掘り下げていくと、自活するだけでもなく、依存することも含め、さまざまなスタイル(方法)があって健全者や障害者を分け隔てることもないだろう。
僕が思っていたのが、人の購買欲に対して後押しするのは「商品に伴う文脈」であるということ。この10年ぐらいだろうか、ファッションや家電など多くの商品はコモディティ化が進み、表面的な情報と価格が購入時のきっかけになっているが、そろそろそんな雰囲気も変わりつつあるようで、誰が何のためそれを作ったかという背景や文脈を理解して購入するケースが増えて来ていると感じている。
購入するとは「その文脈へ投資する」という考え方と言い換えても良いかと思う。作り手やその製造組織へ投資することが購入者にとっても価値があることと考えると、先程の「誰が作ったのか知ることで生まれることと、知らないことで生まれること」の見解は、売り手が知ってもらいたいではなく、買い手が知りたいということに整理できるのではないか。
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以下は、ただのメモ書き...
第一部
インクルーシブ・デザインで京都を魅力的にする「ものづくり」
国立大学法人京都工芸繊維大学 特任教授 ジュリア・カセム 氏
・ウォシュレット型トイレの原型はアメリカの医療機関で使われていた!
・チャリティーや同情じゃなくて、フラットで勝負する。
・ユーザーでなくクリエィティブパートナー
・エキストリームを理解するとメインストリームにつながる
・背景(文脈:コンテクスト)の可能性と限界を理解する
・テクニカルレベル
・マケドニアはフェルト文化
・準備は半年、ワークショップは5日間
・イスラエル ローソク文化
・industrial と craft work
・質への探求
・プロセスを設計する
・不完全の美しさ
・リサーチの話。どういう人、もの、可能性
・クロアチアの文化
・動物、町、伝統模様、文字、数字
・カラーパレットで指針を定める
・障害者が生み出した素材をデザイナーが加工する
・インクルーシブデザインという発想
・伝福連携
・Inclusive 包括的
**障害のある方の働くチカラを活かす京都の産業の振興
龍谷大学 政策学部 教授 白須 正 氏
**
・Society 5.0 工業経済から創造経済へ
・狩猟→農耕→工業→情報→創造
・量(マス)から個へ
・SDGs
クリエイティブな働き方と包摂的な社会
同志社大学経済学部 特別客員教授 佐々木 雅幸 氏
(文化庁 地域文化創生本部事務局 総括・政策研究グループ 主任研究官)
・ユネスコ音楽都市 イタリア・ボローニャ
・ウニヴェルシタス ボローニャ
・組合のラテン語 ウニヴェルシタス
・ユニバースの語源か。
・職人のオペラ
・オペラはワーク
・ラボーロ(奴隷的労働)とワーク(仕事)は違う
・フェラーリ ランボルギーニ マセラッティ に紐づく
・アルティジャーノ
・アルス
・技芸 学芸 芸術
・創造的 オペラ(仕事)
・Cooperativa
・アグリツーリズモ
・農業→レストラン→教育
第二部
株式会社 種田(絞彩苑 種田) 代表取締役 種田 靖夫 氏
京鹿の子絞振興協同組合 事務局長 井本 喜代親 氏
有限会社 中村ローソク 代表取締役 田川 広一 氏
特定非営利活動法人 Salut(サリュ) 理事長 吉川 陽子 氏
特定非営利活動法人 チュラキューブ 代表理事 中川 悠 氏
・加賀・前田藩の施策
・工芸で江戸に勝つ!
・金沢はユネスコ・クラフト創造都市
・国立工芸館は金沢に移転する。
・金沢が工芸文化首都としての役割。京都は文化首都。
・伝統産業の高齢化ー。
・障害者や若手人材らをフラットにつなげる。
・デービッド・アトキンソンさんが漆の国産材を推進。
・国際工芸サミットの開催は北陸。
・工芸ハッカソン
・おりん造作のモーションピクチャをスマホで行い技術を残す。
・和ローソクの職人は全国に10人ほど 素材はハゼ(漆の種類)
<京鹿の子絞・絞彩苑 種田>
・鹿の子絞り 下職さん、職人さんも後継者の育成に悩んでいる。
・海外にも仕事を委託するなど。
・もともとは愛知県が産地、自動車産業が発展して人材に変化がー。
・需要がないのか?
・その産業を残すとして、何かネックになっているのか?
・お金のための仕事と、やりがいを持った仕事では、向き合い方が違う。できるものが違うかー。
・通常の就業規則だと、障害者に合わない。
・高校で絞り体験をしてもらっている。
・その際は分業ではなく、なるべく通しで全体を体験する。そりゃ、分業はつまらないね。
<中村ローソク>
・辞める続けるを曖昧にすることで、継続になる。
・作り手の役割と、売り手の役割。
・チャリティーグッズからプロダクトへの変化
<Salut(サリュ)>
【ものづくりの効用】
・手ごたえ→生きている実感
・反復→回復と挫折
・家族、生活→チームワーク、絆
【はたらくことの効用】
・できる→自己承認
・うれる→他者承認
・役割→復権
どんな優れた技術も、生かし方次第。
<ディスカッション>
・多様性とはマッチングがキモ。
・誰が作っているかをオープンにする。同情を誘うのではなく、作り手に尊厳を。
・それがフラット。
・記号を素材として作ってもらいアイコンにしたプロセスに大きな意味があるよねー。
・天才アート というグループ
・わざわざ言わないと、買い手が変わる
・障害者と伝えないこと。それを伝えること。どちらが良いかは、買い手とどのように繋げていくかがキモ。
・いろんな手段がある。
・伝え方、その順番とか。
・伝統は革新の連続。
・伝統産業って言葉使わなくても良いよね。
・伝福連携って、行政用語やな。
・障害者アートなのか、現代アートなのか。それは当事者に聞いたからええねん。(決められない人もいるよね)
僕のnoteは自分自身の備忘録としての側面が強いですが、もしも誰かの役にたって、そのアクションの一つとしてサポートがあるなら、ただただ感謝です。