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妊活で大切なこと

特に高齢妊活で大切なこと

西洋医学的には35歳以降のいわゆる「高齢妊活」においては、時間をいかに効率よく使うかが大切になります。必要以上に焦る必要はないものの、何か効率の良い方法があれば・・・と思われている方は多いと思います。

高齢妊活をされている方同様、なかなか妊娠しない方にも意識して欲しいことがあります。

それは、どうやって「卵」や「体・心」に対する「マイナス」を取り除き、「プラス」を増やすかということです。

卵の質は基本的に年齢に依存するといわれ、高齢になると統計的には妊娠・出産率は低下します。

2021年のARTデータブックが公表されています 。

報告では、体外受精で約6万9800人の子どもが生まれています。これは1年間に生まれる子どものおよそ11人に1人の割合です。不妊治療のため体外受精を行った件数は、2021年は49万8140件で、前年から4万8000件増えて過去最多です。

一方、日本の体外受精の「件数」は多いものの、「出生率」が低いことに世界からの指摘もあります。

このグラフで重要なのは緑のラインの「生産率」です。生産率は「35歳」では「約20%」にとどまっています。40歳を超えると一桁になります。

しかし高齢であっても、妊娠に至るまでの全ての過程で問題が生じているわけでは無く、卵巣にあるすべての「卵」がダメなのではなく、潜在的には妊娠できる力を持っています。

ただし、年齢を重ねていくと「工夫」が必要になってきます。

使用する薬の種類・量・組み合わせ、刺激の方法、トリガーの種類・組み合わせ・タイミング、採卵のタイミング、培養液の選択・培養庫の種類、移植のタイミング、受精の方式、凍結胚移植か新鮮胚移植か、初期胚移植か胚盤胞移植か、1個移植か複数胚移植かなどを「その人に合わせた」工夫をします。

男性因子の影響が大きい場合は精子回収法を ZyMōt にしたり、顕微授精の場合はより負担の少ない Piezo ICSI にするなども必要かもしれません。
ZyMōt は先進医療に4月から追加されています。

培養には培養庫から出さずに状態を確認できる設備(タイムラプスインキュベーター)があれば利用したい設備です。最近はほとんどの施設で使用されるようになっていると思います。

もちろん全ての方法、設備が選択できるわけではありませんが、うまくいかない場合、どこに問題がありそうなのかを推測しながら、一人ひとりに合わせた方法考えたり、必要に応じてオプションを試すことも重要で、できるだけ卵や体に負担をかけずに行う必要があります。

このとき「病院・クリニックの方針」に振り回されてしまわないことが重要です。

実際にあったことですが、病院の方針が「胚盤胞」での凍結しか行っていないため、「胚盤胞」での凍結ができず、採卵数が3桁に届きそうなのに「胚盤胞」で凍結できたのは1個だけというケースがありました。何度か主治医に相談しましたが「 "うちは" 胚盤胞凍結しかやっていない、その方が成績が良い」の一点張りでした。

後にその方は転院して分割胚(初期胚)の複数胚の移植で妊娠しています。

体外受精・顕微受精の技術が生まれてからまだ 40 年程度です。新しい検査方法、新しい治療法など、日々技術は進化していますが、確立された方法というものは多くありません。良いと話題になっている検査方法や治療方法は全ての病院で行えるわけではありませんし、のちに「有効ではなかった」とわかった治療や検査法もこれまでにいくつもあります。

妊活・不妊治療の世界は研究と臨床の同時進行です。しっかりとしたエビデンス(根拠)のある治療法・検査ばかりではない中、思考錯誤しながら行なっているのが現状です。

そのため病院やクリニックの治療は施設間で異なることも多く、言っていることが異なることもしばしばです。

転院して混乱することも多くあります。

日々世界中の研究者が「妊娠するための方法」を研究していますが、妊活・不妊治療そのものが研究の側面もあるため、現在のところ、すべての人に共通する妊娠するための「必勝法」というものがありません。

ある人にはうまくいっても、別の人には効果がないこともあります。

病院やクリニックの方針、医師がすすめる治療法が必ずしもベストとは限りません。どの治療を選択するか、どの検査をうけるかは担当医としっかり相談しながらも、自分自身でも不妊治療について学び、自分にあったものを選んでいくことが大切です。

病院・クリニックの治療以外でできること

妊活・不妊治療では、日常生活をどう過ごすかも重要になります。つまり「体の基礎」をどう作っていくかも病院やクリニックでの治療と同じくらい大切です。

ストレスを避けること、睡眠を十分に取ること、運動すること、高タンパク低糖質の食事にすること、必要なサプリメントを摂ること、適性体重を保つこと等々、たくさんあります。

実際にこれらの妊活・不妊治療への影響について研究した報告も増えています。

これらは妊活・不妊治療において年齢などの「マイナス」部分を埋めるための「プラス」の部分になります。

妊活・不妊治療ではスケジュール管理も大変で、「そんな余裕はない」と感じている方も多いと思いますが、ぜひ取り組んで欲しい部分です。

自分に合った方法を見つけるために

多くの方が自分に合った方法がどのようなものなのか、どこの病院へ行ったらそれが分かるのか、この選択で正しいのか不安や迷いがあると思います。

特に西洋医学的に出産率が低下するとされている 35 歳以上の方はとても悩むと思います。

日本は生殖補助医療が盛んで、それに係る施設は世界一多い国です。しかし、治療法については保険適用が開始されたことを受けてある程度整備されたものの施設間格差も大きいです。

そして、保険診療では負の側面が見え始めています。

保険適用により治療の裾野が広がりましたが、一方で保険外での治療が必要と思われる人に対しても保険診療の上限まで保険診療を続け、その結果難しい方がより難しくなってしまっているということが起こっています。

あるクリニックでは現時点でですが、35歳を超えた場合は保険では扱わず、自費で治療するという方針を打ち出しています。

高齢妊活の場合は治療がうまくいかないことも増えてきますので、今のその人にあった妊活・不妊治療を選べるように、継続できる形をしっかりつくって、その先にある妊娠・出産に繋げていかなければなりません。

自分に合うのはどういう施設なのか、どういう治療法なのか、アドバイスをしてくれる公的な施設があるわけでありませんので、病院のHPを見たり、説明会に参加したり、インターネット検索、妊活・不妊治療ブログ、知り合いからの紹介などから自分自身に合いそうな病院を選んでいることが現状かと思います。

もし近隣の不妊治療専門の病院やクリニックの方針に詳しい専門家がいる施設があればぜひ相談してみてください。治療について相談できたり、治療のサポートがあるのとないのとでは結果はもちろんのこと、治療に対するストレスもかなり減るはずです。

漢方を1つの選択肢に

妊活、特に35歳を超えたいわゆる「高齢妊活」では、時間を効率よく使うために自分の体に合ったクリニック選びと、「プラス」をどう積み重ねていくかが重要です。

その「プラス」の積み重ねに「漢方」を取り入れてみてください。妊活・不妊治療では、中医学的な視点で自分自身の体をチェックしたり、病院・クリニックの治療をサポートとして漢方を取り入れることは非常に役立ちます。日本発の報告は多くありませんが、海外では「中医学」を取り入れた不妊治療での研究報告も増えています。

西洋医学での妊活・不妊治療では見えない部分、わからない部分へのアプローチには、西洋医学とは異なる視点をである中医学が突破口になることもあります。

漢方の処方は、従来の古典的な使い方に加え、生薬の成分を考慮した処方であったり、エビデンスを元にした処方であることも重要です。いわゆる「現代中医学的アプローチ」です。

卵や体のポテンシャルを最大限発揮できる環境を整えるために、病院やクリニック選び、治療の工夫、日常生活での「プラス」の積み重ね、そして「漢方」を組み合わせで、妊娠・出産にたどり着いて欲しいと思います。


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タナココ

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