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東京から1人で佐賀に来たら“家族”みたいな人と場所に出逢えた話

「おはようございます」「いってらっしゃい」「久しぶりだね」「最近はどう」こんな何気ない会話を誰かと交わすことはどれだけあるだろうか。玄関先を出た先でお隣さんと。出かけた先で顔馴染みのあの人と。ぶらりと立ち寄ったお店で知り合いと。例えひと言だったとしても、そんなやりとりには人同士がお互いを気づかうちょっとした優しさや豊かさがある気がしている。そんな暮らしを求めて、人との関係性を紡ぎたくて。私は佐賀県に1人でやってきた。

佐賀駅へ初めて向かう車窓からの景色  写真:草田彩夏

自己紹介

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草田彩夏(くさだ あやか)
東京都出身。「家族」の在り方に興味を持ち、新卒で発達障害や不登校傾向の子どもやその家族の支援に従事する。1人ひとりが困りを抱える前に頼れる存在が近くにあるまちづくりに興味を持ち、佐賀県庁地域おこし協力隊の「子どもの居場所立ち上げサポーター」募集をきっかけに移住。
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縁もゆかりのない中で佐賀にやってきた

少しだけ、来る前の話を。
物心がついた頃から電車で遠方まで通学していたので、車内の混雑に舌打ちをするおじさん達やため息をつくサラリーマンを眺めながらスーツとスーツの間に揉まれる日々が当たり前。目の前の人に気遣って声かけする余裕なんて無かった。さらに、社会人になって間も無く広がったコロナの感染が人との出逢いすらも更に遠ざけたことで誰かと会話を楽しむ機会も少なくなっていった。次第に仕事や暮らしをより豊かにしていきたい気持ちがどんどん膨らんでいき、その着地が ”地方移住” だったのだ。とはいえ仕事の興味関心を優先して選んだので佐賀県自体には足を踏み入れたことがなかったし、東京の友達に「佐賀に引っ越す」と告げると「佐賀ってどこだっけ」と言われるものだから正直不安でしかなかった....

                   写真:草田彩夏

佐賀は1つの大きな村のような感じ

佐賀県は九州地方の中で最も面積が小さく人口も少ないコンパクトな県だ。全国的にもその具合は上位を争う(面積42位、人口41位※)。

※2021年10月1日の国土交通省国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」/ 2021年10月1日の推計人口より

つまりここから何が言えるかというと、県内のどこにでも直ぐに行けるし知り合いに出逢う遭遇率が非常に高いということだ。まるで一つのムラで生活するかのように、お互いが顔の見える関係性を作りやすい。ムラと聞くと排他的や閉鎖的な印象を持つ人もいるかもしれないが、裏返せば一体感があり仲間意識を強く持っているとも言える。私は佐賀に1人で来た時、知り合いも友達もいわばゼロの状態だった。そんな私が色々な人に出逢いながら一緒に時間を過ごすことによって、少しづつ何気ない会話ができるような仲間に入れた心地がしてきている。まるで自分の家族が増えたような気分。

今回は、そんな家族の1人のような気分にさせてくれた佐賀での1コマを少しだけ紹介をしようと思います。先ずは私の住んでいる佐賀市エリアでのお話し。どうかお付き合いください。

佐賀市の温泉街古湯/がばいばあちゃん家のホームパーティ

「うちの近くに温泉で仲よくなった80歳を超えるおばあちゃんがいて、面白いから是非会ってみてよ。」そんな友達のお誘いによって梅雨のある日、なんと10人を超える人たちが集まった。集合場所は佐賀市の北に位置し、市内より車で30分ほど走らせた山の中にある温泉街古湯。旅館が連なる上品で厳かな雰囲気の街並みから少し入ったところに、その一軒家はあった。家の中に入ると「良い匂い...!」台所に立って料理の準備をするおばあちゃん(通称:せっちゃん)は「よく来たね」と笑顔で迎え入れてくれた。案内された居間に座ると机の上にはご馳走がずらり。みんなが揃うと、それはまるで映画サマーウォーズの世界に入り込んだよう。

せっちゃんが用意した料理の数々。   写真:長谷川晶規

もちろん、乾杯の音頭はせっちゃん。「私はね、古湯で育って。20歳以上年の離れた主人と結婚したけど今は1人で猫と暮らしてるの。仲良くしてね〜!乾杯!」溌剌としていてキュートなその姿に思わず癒される気持ちで、そこに集う皆んなとの会話はあっという間に弾み、お箸もすすんでゆく。次第にほろ酔い気分のせっちゃんが「私の主人との馴れ初めはね〜」なんて少し下ネタ混じりに(笑)愛らしい物語を話し始めるから全員うっとり。と思えば、「皆んなはどうなのよ!」と集う全員の恋愛事情を把握しようとするせっちゃんのパワフルさに驚かされつつ、その場は本当に盛り上がった。「今日はすごい楽しかった〜またやろうね〜」と1人1人にハグしながらニックネームで呼んでいるから凄まじい記憶力。

そんなせっちゃんは私にとっておばあちゃんのような存在になって、定期的にお家にお邪魔してはのんびりさせてもらっている。夏は扇風機を回しながら、一緒にスイカを食べたり花火を見たり。そしてこれからも、きっと続くせっちゃんの昔話に恍惚とするに違いない。

佐賀市の子ども食堂/フルで働く習字の先生による栄養満点の冷凍保存食

手が悴むくらい寒い冬の頃だったと思う。まだ、私が佐賀に来たばかりの時期に仕事の関係で地域の子ども食堂にお手伝いに行った時のこと。既に何人かのボランティアの方が集っていて、忙しそうに料理の準備を進めていた。あらかた人も揃ったところで、分担をして調理していくことに。私はひたすらキュウリを切っていく工程に配置となり、あるおばあさんと一緒になった。さすがに黙々と切り作業をするのは何だか気まずくて、「ついこの間、こちらに来たんです」なんて私から自己紹介を切り出した。すると、相手も気さくに会話を続けてくださり、まち中で習字教室を長らく開き続けている先生(通称:先生)であることが分かった。どうやら殆ど毎日が仕事で、合間を縫って子ども食堂のお手伝いに来ているらしい、とのことだった。それでも、「自分の好きなことはちゃんとやるし、今の暮らしに大満足しているよ」と。(働きながら地域の活動まで....!)思わず、フルで働き続けながら元気に過ごせる秘訣を聞くと「栄養のある食事よ!自作の冷凍食品を休みに用意しているの」とその場で色々なことを教えていただいた(笑)

子ども食堂で一緒に刻んだキュウリの山    写真:草田彩夏

後日、交換した先生の連絡先から突然電話がかかってきた。「この間の休みに料理をしたんだけど、あの時の話を思い出して。あなたの分も作ったから渡してもいい?」と。
指定された駐車場に向かうとそこに先生は立っていて、例の冷凍保存食がたくさん入った紙袋を渡してくれたのだった。しかも調味料付き。「1人暮らしで用意が無いと思って」と。ありがたい気持ちでいっぱい。まるでお母さんのような優しさだった。

丁寧に個包装された先生自作の冷凍食品。  写真:草田彩夏

それからというもの、月に1回開催される子ども食堂でお会いすると「こっちには慣れました?」と声かけをしてくれる。先生が毎回自作のスイーツを持ってきてくれるので、実はそれが楽しみだったりする。

豊かに暮らすとは?

さて、東京から知り合いゼロの状態で佐賀に1人でやってきた私がまるで家族のような人たちに出会えたエピソードを少し紹介させていただいた。きっと、私の家族はこれからもどんどん広がっていくと思うし、佐賀県が大きな村のようになっていく感触を得ながら過ごすことになるだろう。

あなたにとって、豊かに暮らすとはどんな状態だろうか?もしその答えの1つに、人との繋がりや関わり合いがあって、求めているのであれば佐賀県をオススメしたいなと思います。決して外から見た時の所謂、非日常を求めた観光地が多いわけではないかもしれないけれど、日常を愛する人たち、佐賀を愛する人たちやそんな人が織りなす景色にきっと出会えるはずです。

どこまでも広がっている青い空と緑の田園風景は息を呑む美しさ。写真:草田彩夏

(企画/編集:草田彩夏)
(撮影:草田彩夏 提供:長谷川晶規)

少しでも興味を持った人は佐賀県の移住情報を覗いてみては!?

●TURNS 佐賀県の移住支援制度まとめ!住まい・仕事の探し方もご紹介!
https://turns.jp/61632

●佐賀県の移住情報ポータルサイト「サガスマイル」
https://www.sagasmile.com/

●佐賀県の移住関連イベント情報「サガスマイル」
https://www.sagasmile.com/event/

●佐賀県の移住PR特設サイト「佐賀暮らスイッチ」
https://sagakuraswitch.com/index.html

●佐賀県のU・J・Iターン就職情報サイト「さがUターンナビ」
https://saga-uturn.jp/

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