【イベントレポート】「成長サービスの“PdMのリアル”」について、プレイド/セーフィーの現役PdMがパネルディスカッションで語る
こんにちは!
セーフィーでエンジニア・PdM(プロダクトマネージャー)職の中途採用を担当している堤です。
今回は2023年4月19日に開催された、弊社とPLAIDさんとの「PdM職種向けイベント」のレポートをご紹介させていただきます。
企業のプロダクト開発・提供に欠くことのできない重要ポジションとして認知されつつあるPdMは、エンジニアやデザイナーなど、プロダクト開発チームのメンバーと密に連携するだけでなく、ビジネスサイドのメンバーとも協調し、ユーザーやステークホルダーからのフィードバックをプロダクトに反映していく役割も担っています。
そんなPdMについて、今回プレイドさんとセーフィーで、「どう顧客と向き合うのか。成長サービスの“PdMのリアル”お話しします」と題し、PdMのリアルな声や働き方、仕事としての魅力に迫る共催イベントを開催しました。 本記事では、各社におけるPdMの役割や業務内容、チーム構成、日々の業務における苦悩・面白さなどについて、両社で活躍するPdMがパネルディスカッション形式で語り合った模様をご紹介します。
登壇者プロフィール
プレイドとセーフィー、両社におけるPdMのミッションとは
--まずはお二人のキャリアと所属会社・サービスに関するご紹介をお願いします。
プレイド・橋谷氏:新卒でNTTコミュニケーションズへ入社し、法人営業やプリセールスを経て、金融系のSEを担当するなど、約10年働いていました。その後、クラウドワークスを経て、2017年にプレイドへジョインしました。現在は自社プロダクトである『KARTE』のコア機能のプロダクトマネジメントを担当しています。
次に株式会社プレイドについてご紹介します。2011年に創業し、顧客データ解析の「KARTE」を2015年にリリースしています。「データによって人の価値を最大化する」というミッションを掲げており、人の創造性を引き出すテクノロジーで世界を変えていくことを目指しています。
プレイドのメイン事業である『KARTE』は、あらゆる顧客接点で1st Party Customer Dataを価値に還元するというビジョンのもと、『KARTE』『KARTE Talk』『KARTE Datahub』『KARTE for App』『KARTE Blocks』といったプロダクトをリリースし、2018年には『CXプラットフォーム KARTE』へとリブランディングを行いました。現在はマルチプロダクト化構想に向け、コアとなるデータを中心とするアプリケーションサービスを単体プロダクトとしてラインナップしている状況です。
セーフィー・石川氏:新卒で入社したメーカーにて、エンジニアとして複数のプロダクト開発やプロジェクトマネジメントを経験した後、「HowよりもWhyやWhatに向き合える仕事がしたい」と考え、DeNAに入りました。DeNAではタクシーアプリ『GO』の前進となる『MOV』というサービスのプロダクトマネジメントに携わり、事業が0→1から10→100のフェーズに移ってきたタイミングでセーフィーにジョインしました。現在はエンタープライズ向けソリューションのプロダクトマネジメントを担当しており、日々、プロダクトの価値最大化を実現するための業務に取り組んでいます。
セーフィーは、クラウド録画型の映像プラットフォームの開発・運営および各種関連サービスを提供している会社です。設立は2014年、現在の社員数は353名です。「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げるセーフィーでは、カメラ等、あらゆる映像デバイスとインターネットをつなぎ、データ化することで、人々が日々の意思決定をスピーディーかつ効率的に行うことができる社会の実現を目指しています。
セーフィーのプロダクトは、カメラとクラウドプラットフォーム、映像を閲覧するビューアーの3つから成り立っており、いつでもどこでも映像を簡単かつセキュアに確認できることが特徴です。現在のところクラウド録画サービスとしてはシェアNo.1の状況であり、個人、SME、エンタープライズを問わず、様々な業種・業態のお客様にご利用いただいています。今後もあらゆる業種・業態の「不」を解決するソリューションを生み出しつつ、ゆくゆくはこれらのアプリケーションの基盤となるプラットフォームを構築していく予定です。
--それではパネルディスカッションに入っていきます。最初は「PdMって実際何してるんですか?」というテーマです。プレイドとセーフィーでプロダクトの特徴が異なるので、各社におけるPdMの仕事内容などについて教えていただければと思います。
プレイド・橋谷氏:プレイドでは、「Product」「Core Feature」「Core Platform」というレイヤーごとに開発チームを分けています。「Product」は各プロダクト単位の開発チーム、「Core Feature」は各プロダクトの共通機能やコアとなるデータに関する開発チーム、「Core Platform」は解析基盤やセキュリティ対応などの開発を行うチームといったイメージです。
この3つのレイヤーのうち、「Product」レイヤーのグロースフェーズにWeb、Appのプロダクトを担当するPdMとPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)が5名ずつ所属しています。PdMはデザイナーやエンジニアなど、社内の開発組織と接続するのに対し、PMMはビジネス組織と接続することで、グロースフェーズのプロダクトをマネジメントする仕組みとなっています。
一方でPMF探索フェーズ(新規事業立ち上げフェーズ)のプロダクトに関しては、事業責任者を中心に、ビジネス側のメンバーやエンジニア、デザイナーなどが1チームに入っており、PMF探索における検証をクイックに回せるような体制となっています。
PdMの業務は「プロダクトマネジメントプロセス」に沿って進めています。チームを結成した上でPdMとエンジニア、デザイナーでプロダクトを開発していくことになりますが、PdMはプロダクトに方向性をつけ、価値あるプロダクト機能を見つけていきます。また、プレイドはtoBの顧客を対象とするSaaSを扱っているため、プロトタイプを作った時点でお客様に使っていただきながら、ユースケースを分解し、アウトカムの確認・評価を行っています。Beta-GA提供以降はPMMの担当領域となり、ポジショニングやメッセージング、パッケージング、プライシング等を経て、マーケットにデリバリーしていく流れとなります。
セーフィー・石川氏:セーフィーにおけるPdMの仕事は、顧客課題ドリブンと言えると思います。まずはお客様の課題を特定するところからスタートし、課題の解決策や市場への適合性を考えていきます。
また、個別のお客様の課題特定からスタートするものの、単なる「個別最適な解決策」ではなく、「他のお客様に再現性があるか」という部分を重視して解決策を探していきます。その理由ですが、セーフィーのプロダクトは、小売・サービス・建設・製造など、様々な業界とのタッチポイントがあるほか、直販・代理店・OEMパートナーなど、商流も多岐にわたっており、様々なVoC(Voice of customer)が入ってきます。そのため個別最適の課題解決だけでは大きな価値を生み出しにくく、できる限り業界・業態・業種・商流に共通する課題を探していく必要があるのです。
そのようにして再現性のある課題解決策を考えた後に、プロトタイピングを行いながら市場への適合性を検討し、事業計画に織り込みながらプロダクトの要件定義・開発を進めていきます。最終的には価格設定をしたり、マーケティング部門と協力してプロモーション・広報などを行ったりしながらローンチしていくという流れになります。また、新規サービスの立ち上げに際しては、各部門との合意形成や運用への落とし込みなどもPdMが担当します。
会社やプロダクトごとに変化するPdMのチーム編成
--続いては「どんなチームで働いていますか?」というテーマです。PdMは様々なロールのハブになる役割を担っていますが、実際にはどのようなチームで働いているのでしょうか?
プレイド・橋谷氏:基本的にはPdMとデザイナー、エンジニアでチームを組んで開発を進めていますが、プレイドでは会社全体の状況・優先度に応じて3カ月ごとにチーム構成が変わっていきます。たとえば開発のピーク時にはメンバーが増え、リリースに向けては収縮していくといったイメージです。
チーム内におけるPdMの役割は、先ほどの「プロダクトマネジメントプロセス」にあった役割が基本となりますが、カスタマージャーニーに沿ったマルチチャネルのシナリオ設計機能の開発を行った「Journeyチーム」の事例をご紹介します。同チーム内でPdMである私が担当した業務は、プロダクトのミッション・ビジョン・バリューの策定から、プロトタイプをお客様に試してもらいながらの価値検証、開発における要件定義、ロードマップ作成、チーミング、ユーザーインタビュー、β版の検証、さらにはリリース時のLP作成、使っていただいたお客様企業のロゴの掲載許諾、最終的には営業の提案支援・活用支援にも携わりました。
もう一つのチーム事例として、ノーコードエディタ「ActionEditorチーム」についてもご紹介させていただきます。こちらはバージョンアップ開発となるため、よりエンジニアリング寄りのチーム構成となっています。このチームにおけるPdMとしての私の役割は、既存ユーザーの要望整理、社内検証、既存機能からの移行プラン検討などがメインであり、チーミング等はエンジニアリーダーの方が担当されました。
セーフィー・石川氏:3カ月ごとにチーム構成が変わるとのことですが、誰がどのような判断で意思決定をされ、メンバー構成が変わっていくのでしょうか?
プレイド・橋谷氏:各開発チームのメンバー構成に関しては、社内のプランニングチームが主導で行っています。基本的には各開発チームのリーダーとプランニングチームが話し合い、状況に合わせて調整していくイメージです。
セーフィー・石川氏:状況に応じてフレキシブルにアサインを行っているのですね。柔軟性がある組織を作るのは難しいと思いますが、それを実践されているのは凄いことだと思います。
プレイド・橋谷氏:プランニングチームの方々も毎回頭を悩ませているようです(笑)。ただ、最近では特にPMF探索フェーズのプロダクトには一定の時間を割いていく必要があるとのことで、グロースフェーズのチームについても、以前よりもチームを固定化していこうという動きになりつつあります。
--「どんなチームで働いていますか?」というテーマに関して、石川さんはどうでしょうか?
セーフィー・石川氏:私はEnterprise Solution Teamに所属しています。同チームは『Safie Viewer』『Safie Manager』『Agency Tool』『Safie Entrance2』といったセーフィーの根幹となるプロダクト群を担当しています。
実際の組織構造としては、PdM、デザイナー、エンジニア、QAに関して、それぞれチーム組織があり、プロダクトごとに横串でメンバーをアサインする形を採用しています。Enterprise Solution Teamには私も含めて6名のPdMが在籍していますが、エンジニアやデザイナーからPdMにキャリアチェンジしたメンバーも少なくありません。
プレイド・橋谷氏:プロダクトごとにチームを組んでいるということですが、メンバーは固定化されている感じでしょうか?
セーフィー・石川氏:そうですね。プレイドさん程の柔軟性はないと思います。とくにエンジニアに関しては固定化して動いていくイメージです。ただし、ここ1年で100名以上も社員が増えている会社なので、実際のところは会社や組織の拡大に合わせる形でアサインが変わっていたりします。
--エンジニアやデザイナーからPdMにジョブチェンジされている方も少なくないとのことでしたが、本人のWill以外に理由やきっかけがあったりするのでしょうか?
セーフィー・石川氏:社員一人ひとりのキャリアを重んじる会社の文化があるので、「これがやりたい」という要望が叶いやすい環境であることは確かです。お客様の課題に触れる機会も多いので、現場の不に向き合ってソリューションをつくっていきたいという方がPdMになっている印象がありますね。
VoC(Voice of customer)の収集方法とプロダクトへの反映方法
--続きまして「VoCをどう集め、プロダクトに反映していますか?」というテーマについてお聞かせいただければと思います。
プレイド・橋谷氏:プレイドでは「Product Feedback Cycle」というサイクルを回しています。セールス、サクセス、サポートといった組織ごとにフィードバックオーナーと呼ばれるポジションを立ててもらい、この人たちが各組織のお客様からの声を取りまとめ、優先順位を付けた上でPdM、PMMに接続してもらうという流れになっています。このサイクルの良いところは、細かな改善要望にもクイックに対応し、機能追加を実現できる点にあると考えています。
セーフィー・石川氏:実際には、どのくらいのスピードでサイクルを回されているのでしょうか?
プレイド・橋谷氏:毎月月初めにフロントから声を聞く会議を設けており、月中くらいにはPdM、PMMでイシューを整理し、月末には開発に接続するという流れなので、1カ月くらいでサイクルを回していることになります。
セーフィー・石川氏:セーフィーでは、各業界・業態を担当するセールス、カスタマーサクセス、サポートの方々からスラックのチャンネルにお客様からの声を投稿してもらっています。
以前は誰もが閲覧できる仕組みではありませんでしたが、それをあえてオープンな形にしたことで、多くの社員が顧客目線になったと実感しています。また、機能要望だけではなく、日々の活動で感じたことや新たなユースケース、さらには競合情報なども投稿できるような仕組みにしたことで、投稿のハードル自体がグッと下がり、投稿数もかなり多くなりました。
--そのようにしてVoCを集めていく中で、最終的には優先順位を付けて対応していく必要があると思います。どのようなポイントを重視して優先順位を決めているのでしょうか?
プレイド・橋谷氏:優先順位を付けるのは非常に難しい作業だな、と感じているのが正直なところです(笑)。お客様へのリーチ、インパクト、コンフィデンスでスコアを付けた上で、やるorやらないの判断をしてはいますが、それはあくまでも参考程度にしかならないんですよね。最終的には「この機能の追加によってお客様に価値を感じていただけるのではないか」という定性判断にならざるを得ないところはあります。とはいえ「Product Feedback Cycle」を回し始めたことで、各組織が重視しているポイントを把握できるようになったことは、非常に大きな意義があると感じています。
セーフィー・石川氏:ここは本当に難しいところですよね。私も日々悩んでいるところではあります。まずはビジネスサイドから優先順位を付けてもらいつつ、開発サイドとして「すぐに対応できるものか否か」「この機能を実現することで市場に対してインパクトがあるか、アウトカムが得られるか」ということを検討しながら意思決定を行っています。
正解がない中で「いかに価値あるプロダクトを作るか」を模索していく
--続いては「PdMとしての苦悩・面白さ」についてお聞かせいただければと思います。
プレイド・橋谷氏:一番難しいのは正解がないことですね。正解がない中で「いかに価値あるプロダクトを作るか」を模索していくのがPdMの役割なので。長期の視点で理想に向かうことと、短期の視点で目の前の課題を解決することを、常に行き来しているようなイメージです。もちろん、こうした苦悩を感じながらも、それが楽しくてPdMをやっているのですが(笑)。
PdMの面白さについては、単純にプロダクト作りを楽しめる環境で働けることに尽きますね。会社のカルチャー的にも、プロセスやルールを固定化せず、チームの中で「どのようなプロダクトを作るべきか」ということを考えながらモノづくりができますし、チームメンバー各自の強みを活かしながら取り組めることにも面白さや楽しさを感じています。
セーフィー・石川氏:苦悩というか難しいところは、業種・業態の幅が広いことですね。ワンプロダクトにも関わらず業界・業態ごとに異なる使われ方をされているケースもあり、多種多様な要望に答えていく必要があります。その分、様々な業界の知見を得られるチャンスでもあるでもあるので、面白さのポイントにもなっています。
ただし、そのような多種多様なお客様のご要望に応えていくと、どうしてもUIが複雑になってしまいがちです。それでもいかにしてシンプルかつ使いやすいUIを追求していくかが重要なのですが、デザイナー泣かせな部分はありますよね(笑)。
これも苦悩や難しい仕事の話になってしまいますが、プロダクトの本質的な価値を磨き上げなければ、社内にもお客様にも伝わらないことがあります。本質的な価値を磨きつつ、プロダクトの価値を「伝えた」だけではなく「本当にしっかり伝わっているのか」という領域まで追っていくことが重要になります。非常に難しい仕事ではありますが、社内外のステークホルダーを巻き込みながらプロダクトを磨いていくプロセスを経験できることこそ、PdMの醍醐味であると感じます。
--それでは最後のテーマに移ります。PdMとして「こういう人と働きたい!」と考えていることがあれば教えてください。
プレイド・橋谷氏:まずはプレイドや『KARTE』のビジョンに共感いただける方がいいですね。あとは人が好きな方、データが好きな方。さらには私たちが最近スタートしたマルチプロダクト構想に興味がある方、PMM×PdMで事業グロースを考える仕事に興味がある方にも来ていただきたいですね。
また、プレイドはまだまだスタートアップのフェーズです。カオスな環境を楽しめるようなスタートアップマインドがあり、チャレンジ精神を持って仕事をやり切れる方に期待したいです。エンジニアを大切にするカルチャーもあるので、Tech PdMの方にもオススメできる環境です。
セーフィー・石川氏:「映像から未来をつくる」というセーフィーのビジョンに共感いただける方、さらにはSafie Diagramに示している私たちのカルチャーに共感してくださる方に来ていただけると嬉しいですね。
あとは「社会貢献がしたい」という熱いパッションを持っている方やIoT、ハードウェア、AI、Web/モバイル、管理ツールなど、幅広い技術領域に興味のある方であれば、楽しく仕事ができる環境だと思います。
また、今回お話しした通り、セーフィーは多種多様な業界・業種に対してソリューションを提供しているので、そのようなお客様に対してサービスやプロダクトを0→1で考え抜く起業家精神を持っている方にも期待したいです!
--石川さんのお話にもあったように、エンジニアやデザイナーからジョブチェンジする方も多いロールなので、現在PdMとして活躍している方はもちろん、「これからPdMにチャレンジしたい」と考えている方も、ぜひ2社にコンタクトを取ってみてください。本日はありがとうございました。
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